神戸市は14日、再整備中の王子公園(同市灘区)の完成イメージ図を公表した。北側に新築移転するスタジアムは、陸上の練習ができる400メートルトラックを4レーン設け、3千席程度の観客席も設置。園内を南北に貫く歩行者専用園路「シンボルプロムナード」には桜を植樹し、新たな桜の通り抜けルートにする。市民が憩い、スポーツを楽しめる場として魅力を高める。
新スタジアムは、アメリカンフットボールやサッカー、グラウンドゴルフなどができる場として、現在と同規模の約6500平方メートルを確保。地域イベントなどでの利用も想定し、災害時は臨時ヘリポートや物資集積場所として使う。
スタジアム西側には、遊具や3人制バスケットボールのコートを設け、幅広い世代が憩える「みんなの広場」として整備。スポーツクライミングができる人工壁のある登山研修所や、弓道場も新築移転する。東側には多目的広場を造る。
阪急王子公園駅前には、公園の玄関口として、芝生広場や遊具、水と親しめる空間などを設けた「緑の広場」を整備する。同広場は2029年春ごろ、スタジアムとシンボルプロムナードは30年春ごろの完成を予定する。
王子動物園のリニューアルも計画しており、サバンナゾーンと爬虫類館は27年夏にオープン予定。動物園全体は45年度完了を目標に整備を進める。
現在のスタジアムは今年8月末に閉鎖する。跡地約3・5ヘクタールは、学校法人関西学院(西宮市)が買い取り、29年の新キャンパス開設を目指す。
神戸市は、動物園と大学を除いた整備事業予定者について、りんかい日産建設大阪支店(大阪市)を代表とする企業グループに決定。落札価格は約156億円という。久元喜造市長は「市民に親しんでもらい、神戸の新たなシンボルとなる公園にしたい」と述べた。(斉藤正志)