「出版月報」(出版科学研究所)が2014年11月号で発表した調査結果によると、2013年のコミックス(紙)の売り上げ金額は、2231億円。前年比1.3%の伸びでした。
これに対して、2013年度の電子コミックスの売り上げは、インプレス総研の調べで731億円。こちらは前年度比27.4%増。
「紙:電子」の比を計算すると、100:33。紙+電子コミックスを「総合コミックス市場」ととらえると、その4分の1は電子になっていることがわかったのです。
そして、総合コミックス市場の規模は2962億円と史上最高を記録しました。ただし、紙の統計が「年」なのに対して、電子の統計が「年度」なので、調査対象時期に「ズレ」があります。とはいえ、集計タイミングをずらしても、結論はそれほど変わらないと思います。
グラフにしてみるとこんな感じ。
わかりやすいように、1998年と2013年だけを取り出してみたのが、以下の図です。
以前、紙の書籍全体のデータを元に、コミック市場を推計してみたことがありました。
◇2014年9月の記事
「出版不況」再び--本・雑誌が売れないのは“活字離れ”のせい?
この時はコミックスの販売金額データが入手できなかったため「推定」とせざるを得なかったわけですが、今回は出版統計の大元締め、出版科学研究所が発表した正式な数字です。
最初は紅ショウガほどの存在感だった電子書籍が、いつの間にか「玉ねぎ」クラスにクラスチェンジしていたイメージ……でしょうか?
そしてここが一番大事! 牛丼の具と違い、「玉ねぎ」が増えたからといって「牛肉(紙の本)」が減ったわけではないのです。
電子書籍が一種の「ブーム」となった2010年以来、日本の出版界は常に、次のような疑問のまわりを、ぐるぐる回り続けていました。
「電子書籍が普及したら、紙の本がその分売れなくなってしまうのではないか? 電子書籍は紙の本より単価が安いので、たとえ全体の販売冊数が同じだとしても、電子書籍が売れた分、全体の売り上げも減ってしまうのではないか?」
マーケティング用語で、自社製品が他の自社製品の市場を侵食し、その売り上げを減少させてしまうことを、生物の「共食い」になぞらえて「カニバリズム」と呼びます。
電子書籍による紙の書籍に対するカニバリズム。これが当初、一部の出版社が、電子書籍に対して懐疑的な姿勢を示した理由だったと言われています。
ところが今回、具体的な数字によって、(少なくとも2013年までは)この懸念が杞憂であったことが示されました。
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