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驚愕

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

驚愕(きょうがく、: surprise)または驚き(おどろき)とは、動物が予期しない事象を体験したときに起こる瞬間的な感情をいう。他の感情に比べて単純かつ原始的で、生理的反応と強く結びついた情動である[1]。驚いた状態をびっくりしたという。

身体的特徴

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驚きを感じると、がつりあがり、が縦に開かれ、が下がるなどの表情が顔に表れる。驚きに対する反応として叫んだり泣いたりすることもある。さらに、飛び上がる、硬直するなどの全身の動きを伴うこともある。さらに強い場合、気絶する、貧血を起こすなどの場合もある。極端な場合、ショックによって心臓が止まり、死に至る例もある。また、パニックにつながる場合もある。

このような身体的影響も与えるため、例えばしゃっくりはしている者を驚かせてしゃっくりを止めるなどの利用例もある。エレキテルなど初期の電気は治療に使われたが、これも電気の性質と言うより、驚かせるための装置であったと見られる。このような衝撃を治療に使うのを時にショック療法というが、どちらかと言えば通俗的表現である。

心理的特徴

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驚きという感情は自分の予測や予感、習慣を超えた事態が生じたことから的確な行動を即座に起こせない、精神的に受け身に回った状態と言える[2]。「驚きっぱなし」というレトリックがあるが、実際には瞬間的な感情であり、一つの事象に対して驚き続ける事はできないし、過去の驚いた体験を回想して再び驚くこともできない[1]

多くの場合、人間は不測の事態が生じた時に、まず瞬間的に驚き、その後に事態を評価や解釈する思考を行い、回避や攻撃、肯定などの適切と思われる持続的な情念や情動を起こす[2]。つまり、驚きの瞬間は全身全霊で驚いており、知性が介入する余地もない[1]。『情念論』の中で人間の基本的な感情を基本6情念として提示したデカルトは、愛や憎しみ、欲望、喜び、悲しみという他の情念に先立ち、驚きこそが第一の情念であると指摘している[2]。デカルトは過度の驚きを「驚愕」と呼び、驚きの下位概念として対象の大きさに驚く「尊重」、対象の小ささに驚く「軽視」を設定している。また、驚きは反対感情や矛盾感情が存在しない単独の感情であり、他の感情と併存することもないと述べている[1]

心理学では客観的に観察できる驚きを驚愕反応(startle reaction)と呼ぶ。驚愕反応は個体発達の中で発現が早く、生後数時間の新生児で生じる[1]。驚きは学習にとって重要である[3]

脚注

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  1. ^ a b c d e 山根一郎「「驚き」の現象学」『椙山女学園大学研究論集 人文科学篇』第36号、2005年、13-28頁、CRID 1050001202954637056 
  2. ^ a b c 河野哲也『人は語り続けるとき、考えていない 対話と思考の哲学』岩波書店、2019年10月、67-75頁。ISBN 978-4-00-024539-5 
  3. ^ Uncommon Sense Teaching: Part 2, Building Community and Habits of Learning” (英語). Coursera. 2022年8月21日閲覧。

関連項目

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