越後つついし親不知
『越後つついし親不知』(えちごつついしおやしらず)は、1962年(昭和37年)に発表された水上勉の小説。また、これを原作に今井正が監督した1964年公開の東映映画。
あらすじ
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映画
[編集]越後つついし親不知 | |
---|---|
監督 | 今井正 |
脚本 | 八木保太郎 |
原作 | 水上勉 |
製作 | 大川博 |
出演者 |
三國連太郎 佐久間良子 小沢昭一 田中春男 佐藤慶 |
音楽 | 池野成 |
撮影 | 中尾駿一郎 |
編集 | 長沢嘉樹 |
製作会社 | 東映東京撮影所 |
配給 | 東映 |
公開 | 1964年5月9日 |
上映時間 | 112分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 2億5400万円[1] |
1964年に東映が製作した今井正監督の映画。水上勉原作の同名小説の映画化作品。公開当時は、映画倫理管理委員会より成人映画(映倫番号13496 )の指定を受けた[2][3]。
雪深い越後の寒村で、京都伏見の酒蔵へ出稼ぎに出た夫を待つ若妻に起こった悲劇を描く[2][3][4][5]。
スタッフ
[編集]出演者
[編集]- 佐分権助:三國連太郎
- おしん:佐久間良子
- 瀬神留吉:小沢昭一
- 九谷育三:田中春男
- 佐藤:佐藤慶
- 伊助:殿山泰司
- 山田:杉義一
- おさと:清川虹子
- おいし:北城真記子
- 留吉の母:北林谷栄
- 伊助の母:五月藤江
- おしんの母:木村俊恵
- 坊ちゃん:石橋蓮司
- 飯屋の親爺:中村是好
- 客の遠藤:東野英治郎
- 古谷きよ:高橋とよ
- 大地主の旦那様:松村達雄
- 大地主の奥様:沢村貞子
- 沖中専造:松本染升
- 近迎えの花婿:明石潮
- 卵買いのおばさん:山本緑
- 中書島の女:谷本小夜子、相生千恵子
製作
[編集]企画は岡田茂[6][7]。映画公開時は東映京都撮影所(以下、東映京都)所長に転任していたが、東映東京撮影所長(以下、東映東京)在任中の企画で[6]、東映東京の後任所長・今田智憲が引き継いだ[6]。佐久間良子は超お嬢様女優で、他のプロデューサーはみな清純派路線しか考えていなかったが、岡田は佐久間に男が色気を感じる、セックスの対象として魅力を感じるとして自身の標榜する"不良性感度"を最も体現する女優と評価していた[6]。今田が岡田の代わりに佐久間に「『五番町夕霧楼』が受けたのは文芸的な面が受けたんじゃない。セックスな面が受けたんだ。それをあなたも我々も文芸色に目を奪われて、受けた本質の不良的なセクシーな面を見忘れていた。あなたのお客は絶対男だということを忘れてはだめだ。男があなたのどこに魅力を感じるか、それはあなたのセックスアピールだ。それを突いた企画をやろうじゃないか」と口説き、意外に佐久間は割り切り、意見の一致を見て製作が決定した[6]。
影響
[編集]岡田茂が本作と同じ、主演:佐久間良子・脚本:八木保太郎・監督:今井正の枠組みで次に企画したのが1967年の『大奥㊙物語』で[8][9][10][11] 、同作で岡田は任侠路線に並ぶエロチシズム路線の導入を企図したが[10][12][13]、八木が岡田の注文を全く聞き入れず[8][9]、八木に賛同する今井も一緒に降ろし[8]、脚本は共作に変更し監督を中島貞夫で作らせた[8][9][14]。『大奥㊙物語』は、"大奥もの"、"集団女性時代劇"、及び"東映ポルノ"の原点といわれる[10][12][13][15]。
ロケ地
[編集]舞台
[編集]本田延三郎の五月舎が製作し、1973年に上演された。翌年、出演者の太地喜和子が本作(および『藪原検校』)により紀伊国屋演劇賞を受賞した。
脚注
[編集]- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)210頁
- ^ a b 越後つついし親不知 - 文化庁日本映画情報システム 2019年4月30日閲覧。
- ^ a b “越後つついし親不知”. 日本映画製作者連盟. 2019年4月30日閲覧。
- ^ 昭和の銀幕に輝くヒロイン 佐久間良子スペシャル/ラピュタ阿佐ヶ谷
- ^ 越後つついし親不知 | 東映ビデオ株式会社
- ^ a b c d e 岡田茂(東映京都撮影所長)・今田智憲(東映東京撮影所長)、聞く人・北浦馨「東映路線の今后の課題 『企画は流行性、スターは不良性感度 岡田・今田東西両所長がさぐる要素』」『映画時報』1965年11月号、映画時報社、30頁。
- ^ 「反戦から時代劇、任侠、実録、エログロまで 欲望する映画 カツドウ屋、岡田茂の時代 『岡田茂さんへ-最後の言葉』 文・佐久間良子」『キネマ旬報』2011年7月上旬号、55頁。
- ^ a b c d 岡田茂『波瀾万丈の映画人生 岡田茂自伝』角川書店、2004年、160-163頁。ISBN 4-04-883871-7。岡田茂『悔いなきわが映画人生 東映と、共に歩んだ50年』財界研究所、2001年、153-154頁。ISBN 4-87932-016-1。
- ^ a b c 岡田茂『クロニクル東映 1947-1991』 1巻、東映株式会社、1992年、220-221頁。東映株式会社総務部社史編纂 編『東映の軌跡』東映、2016年、226頁。
- ^ a b c 増田愛子 (2011年5月31日). “〈ニッポン人脈記〉 時代劇で候:9 男も女も魅せられて”. 朝日新聞夕刊 (朝日新聞社): p. 2
- ^ 佐々木康『佐々木康の悔いなしカチンコ人生』けやき出版、1993年、224-226頁。ISBN 4-905942-20-9。
- ^ a b 春日太一「『大奥』誕生㊙物語」『時代劇マガジン』2007年7月号 No.16、辰巳出版、84 - 85頁、ISBN 978-4-7778-0406-1。
- ^ a b 木全公彦「江戸城大奥 将軍が生まれ、育ち、夜ごとに通う女の園 『大奥映画』の誕生。」『東京人』2007年6月号 No.242、都市出版、68 - 69頁。
- ^ 『私と東映』 x 中島貞夫監督 (第2回 / 全5回)、岡田茂追悼上映『あゝ同期の桜』中島貞夫トークショー(第1回 / 全3回)佐藤忠男 編『日本の映画人:日本映画の創造者たち』日外アソシエーツ、2007年、122頁。ISBN 978-4-8169-2035-6。“(私の履歴書)佐久間良子(14) 出演取りやめ、歯車狂う東映の路線とのズレ広がる”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社): p. 40. (2012年2月15日)(東映カレンダー on Twitter: "2012年2月15日の日本経済新聞)
- ^ 「内外映画封切興信録 『大奥(秘)物語』」『映画時報』1967年9月号、映画時報社、46頁。吉田馨 (2001年8月26日). “〈吉田馨の銀幕の湖国〉 彦根城雰囲気を醸した玄宮園/滋賀”. 毎日新聞滋賀版 (毎日新聞社): p. 22">岡田茂『クロニクル東映 1947-1991』 1巻、東映株式会社、1992年、220-221頁。東映太秦映画村 編『東映京都 ・テレビ映画50年』東映京都スタジオ(東映太秦映画村)、1982年、1頁。藤木TDC「東映『大奥』シリーズ」『映画秘宝』2007年8月号、洋泉社、83頁。中島貞夫『遊撃の美学 映画監督中島貞夫』ワイズ出版 、2004年、102-104頁。ISBN 4-89830-173-8。『掛札昌裕インタビュー』シンコーミュージック・エンタテイメント、2007年、40-44頁。ISBN 978-4-401-75116-7。春よ!映画よ!女たちの饗宴 - 神保町シアター大奥(マル秘)物語、東映が生んだ阿鼻叫喚のエロス時代劇 ラピュタ阿佐ヶ谷で特集上映レイトショー「残酷!妖艶!大江戸エロス絵巻」残酷!妖艶!大江戸エロス絵巻/ラピュタ阿佐ケ谷
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