西山豊
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西山 豊(にしやま ゆたか、1948年 - )は、日本の数学者、応用数学者。大阪経済大学名誉教授。ブーメランの研究と普及をライフワークのひとつにしている。滋賀県出身。
来歴
[編集]伝記の記載を年譜形式のみとすることは推奨されていません。 |
1967年 滋賀県立膳所高等学校を卒業、1971年 京都大学理学部数学科を卒業。
1971年-1985年 日本アイ・ビー・エム にてシステムエンジニアとして勤務。
1985年 大阪経済大学に情報処理概論の経営学部講師として転任、1995年同経営情報学部教授。
2005年-2006年 ケンブリッジ大学客員研究員、ミレニアム数学プロジェクトに参加する。
2012年 大阪経済大学情報社会学部教授、2019年 大阪経済大学名誉教授。
人物
[編集]- 「生活の中の数理」が研究テーマで、卵はなぜ卵形をしているのか、扇風機はなぜ逆に回って見えるのか、階段のスイッチはどうして1階でも2階でも点滅できるのか等、身の回りの不思議を探求した記事を『数学セミナー』(日本評論社)等に発表している。また、NHKの「チコちゃんに叱られる!」にも出演し、「鉛筆はなぜ六角形なの?」(2018年11月30日)、「ニワトリのたまごはなぜこの形?」(2019年5月31日)、「指ハブが抜けない理由」(2020年9月11日)などを自身が研究した数式をもとに解説した。
- 予測式電子体温計(1987年当時)は欠陥商品であることを指摘し[1]、計量法改正(1992年)で意見を述べている[2]。
- ヒトデの腕はなぜ5本か、花びらはなぜ5枚が多いのか、ヒトの指はなぜ5本かを探求した、自然界にひそむ「5」に関する研究がある[3]。
- 数学では、不動点の作図に関する「西山の定理」がある[4]。
- ヘキサフレクサゴン(折り紙六角形)に関する研究があり[5]、19面折りの型紙と折り方を考案している[6]。
- ブーメランの研究は、ライフワークのひとつであり、紙製ブーメランの解説書を世界70言語に翻訳して普及活動に勤めている[7]。ロシア語の子供向け科学雑誌 Kvantik の2014年12月号に、紙ブーメランの記事が掲載される[8]。
- 公開特許として「戻ってくる紙製ブーメラン」がある[9]。
- 2005年のケンブリッジ留学は、DAMTP[10](応用数学と理論物理学の学部)で、研究室はスティーヴン・ホーキング博士と同じ研究棟にあった。室内で正確に戻る「紙製ブーメラン」をホーキング博士に手渡す。
- 同、ケンブリッジ留学中に、オンライン雑誌プラス[11]に「不思議な数6174」を英訳して投稿したところ、それが掲載され[12]、世界中の読者が、その英語記事を母国語に翻訳して読んでいる。また、留学中にイギリスでSudoku(数独)がブームになっていることを知り、帰国後その様子を伝える[13]。
- 二千円紙幣が普及しない理由は、東西における奇数の文化と偶数の文化の違いにあるのではと考えている[14]。
- 面白い確率の話題(ペニーのゲーム)[15]や、単位分数の和を用いた興味あるパズル[16]をケンブリッジのPlus Magazineに紹介している。
- 『数学セミナー』の「エレガントな解答をもとむ」欄に出題している[17]。最近の出題に三角形三色問題がある。
- 日本科学者会議のeマガジンに「ブーメランで世界平和を」[18]がある(2012年8月)。
- 『理系への数学』に数学コラムを執筆している[19]。
- 『数学を楽しむ』(現代数学社)ISBN 476870381X の30の記事を英訳し、"The Mysterious Number 6174: One of 30 Mathematical Topics in Daily Life" ISBN 4768761747 というタイトルで出版した(2013年7月25日)。この本は世界大学ランキングトップ200のうち、オックスフォードなど139の大学図書館で蔵書登録されている(2018年3月6日現在)[20]。
- 組体操・人間ピラミッドの巨大化にともなう重大事故に警鐘をならすため[21]、数学の立場からコメントしている[22](2015年9月)。また、組体操の事故件数を都道府県別に分析すると、地域によって極端な差があることを示している[23]。以上をまとめた論説 [24]。
- 笹子トンネル天井板落下事故について、天井板のトンネル全体にわたる連結構造が大惨事をまねいたとして、設計ミスを指摘している[25][26]。また、車両の天井板接触事故(2005年、2008年、2012年)が天井板崩落の引き金になったのではないかとしている[27][28]。笹子トンネルの内空計測を踏まえて、大月側L断面内の非常駐車帯(A-3)の設計と施工が、崩落に大きな関係があるのではとしている[26]。
- 組体操に関する論考 "西山豊「2016年広島移動ピラミッド死亡事故を検証する」『大阪経大論集』第69巻第5号、大阪経大学会、2019年1月、1頁、doi:10.24644/keidaironshu.69.5_1、ISSN 0474-7909、NAID 130007614413、2021年11月29日閲覧。" が掲載される(2019年1月)。
- BBC放送のスペイン語版で「不思議な数6174」が紹介されると[29]、多くの母国語に翻訳され[30]、Youtube動画配信[31]など、6174が世界中で話題となる(2019年8月25日)。
- 西山豊 10 Articles をまとめる。今まで発表した記事の中から独創性の高いものを10本選び、英語文のリンクも貼り付けた[32](2021年6月27日)。
- arXiv(米コーネル大)に「ベンハムのコマに関する動的干渉モデル」(英語論文)[33]を投稿する(2023年1月25日)。
- NHKの番組「ヒューマニエンス」(2022年11月15日放送)に対して、意見書[34]を提出する(2023年10月26日)。
著書
[編集]- 『卵はなぜ卵形か―生活の中に数理を見る』、日本評論社、1986年
- 『くらしのアルゴリズム―情報処理の周辺』、ナカニシヤ出版、1989年
- 『サイエンスの香り―生活の中の数理』、日本評論社、1991年
- 『電子体温計の研究―微熱や低体温で悩むあなたに』、法律文化社、1993年
- 『人とヒトデとサッカーボール―生活の中の数理を解く』、三省堂、1993年
- 『ブーメランはなぜ戻ってくるのか』、ネスコ(文藝春秋)、1994年
- 『自然界にひそむ「5」の謎』、筑摩書房、1999年、ISBN 4-480-04234-2
- 『数学を楽しむ』、現代数学社、2007年、ISBN 978-4-7687-0381-6
- The Mysterious Number 6174: One of 30 Mathematical Topics in Daily Life, Gendai Sugakusha, July 2013, ISBN 978-4-7687-6174-8
- 『エレガントな解答をもとむ 名作セレクション 2000-2020』(共同執筆)、日本評論社、2022年、ISBN 978-4-5357-8976-0
所属学会
[編集]- 日本数学協会(理事)
- 形の文化会(理事)
その他
[編集]脚注
[編集]- ^ 「電子体温計の落し穴」『大阪経大論集』 1987年9月, No.179, 75-84. 『くらしのアルゴリズム 』に所収
- ^ 西山豊『電子体温計の研究―微熱や低体温で悩むあなたに』法律文化社、1993年 ISBN 4-589-01716-4
- ^ 「5弁の謎」『大阪経大論集』 1998年5月, Vol.49, No.1, 41-99. 『自然界にひそむ「5」の謎』に所収
- ^ 不動点のエレガントな作図法 (PDF)
- ^ 西山豊「ヘキサフレクサゴン(hexaflexagon)の一般解 (経営情報学部特集号:経営情報研究科開設記念)」『大阪経大論集』第54巻第4号、2003年11月、153-173頁、ISSN 0474-7909、NAID 120005534175。
- ^ ヘキサフレクサゴンの19面折り(展開図と推移図)
- ^ ブーメラン・国際化プロジェクト2007
- ^ Kvantik, Dec 2014, pp.23-24
- ^ 「戻ってくる紙製ブーメラン」(特開平8-112382)
- ^ Department of Applied Mathematics and Theoretical Phisics (DAMTP)
- ^ Plus Magazine
- ^ Mysterious Number 6174, Mar 2006
- ^ 西山豊「Sudokuがイギリスで大ブレイク」『数学セミナー』(日本評論社), Vol.45, No.5, 40-44, 2006年5月
- ^ 西山豊「二千円札が流通しない理由」(PDF)『数学セミナー』第47巻第5号、日本評論社、2008年5月、35-39頁、ISSN 03864960、NAID 40015985432。
- ^ Winning odds, July 2010
- ^ Having fun with unit fractions, Feb 2012
- ^ 「エレガントな解答をもとむ」『数学セミナー』(日本評論社)(西山出題分)
- ^ JSA e マガジンNo.4
- ^ 「数学コラム」『理系への数学』(現代数学社)
- ^ World University Rankings Top 200 registered "Mysterious Number 6174."
- ^ 西山豊「組体操・人間ピラミッドの巨大化を考える」(PDF)『数学文化』第25号、日本評論社、2016年3月、12-35頁、ISBN 978-4-535-60255-7、NAID 40020789430。
- ^ 人間ピラミッドの負荷計算
- ^ 都道府県別 組体操の事故分析 2015年12月
- ^ 西山豊 2016.
- ^ 西山豊、「天井板の連結構造が大惨事をまねいた―笹子トンネル事故再考―」(2016年9月3日)
- ^ a b 西山豊「天井板崩落は予知できた : 笹子トンネル現地計測を終えて」『大阪経大論集』第68巻第3号、大阪経大学会、2017年9月、1-19頁、ISSN 0474-7909、NAID 120006345932。
- ^ 西山豊、「車両の接触事故が引き金か」(2016年11月11日)
- ^ 西山豊、「リフレッシュ計画延期の謎」(2016年11月18日)
- ^ Ventura, Dalia (2019年8月25日). “El misterioso número 6174 que ha intrigado a matemáticos durante 70 años” (スペイン語). BBC News Mundo 2020年5月2日閲覧。
- ^ “数学黑洞的魅力:6174到底凭什么让你痴迷” (中国語). BBC News 中文. (2019年12月14日) 2020年5月2日閲覧。
- ^ (日本語) क्या है Magical Number 6174 जिसने पूरी दुनिया को कर दिया हैरान | Indian Scientist ने की थी खोज 2020年5月2日閲覧。
- ^ 西山豊 10 Articles
- ^ A Dynamic Interference Model for Benham's Top
- ^ 偽科学「花びらとフィボナッチ数」