若狭塗
若狭塗(わかさぬり)とは福井県小浜市で生産される漆器である[1]。
1978年(昭和53年)2月6日に、伝統的工芸品に指定された。特に塗箸は全国シェアーの80%以上を占めていて、米国第44代大統領バラク・オバマを含め多くの著名人に箸が贈呈されている。2015年(平成27年)4月24日、「海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群 - 御食国(みけつくに)若狭と鯖街道 - 」の構成文化財として日本遺産に認定される[2]。
特色
[編集]箸と箸以外の用材と下地の違いや、「卵殻模様」、「貝殻模様」、「起こし模様」が若狭塗独特の模様が特徴である。
若狭塗は若狭塗箸が特に有名であり、現在では国内生産塗箸の80%以上を占めている。
技法
[編集]- 下地
箸以外のものにあっては、トチ、ミズメザクラ、ケヤキ、ヒノキ、ホオ、カツラらと同等の材質を有する用材を素地調整のために布を貼り布目に錆を摺りこみ、生漆に地の粉及び米のりを混ぜ合わせたものを何回も塗付することにより「地の粉下地造り」と呼ばれる下地を作り、生漆を用い下地を摺り仕上げる。 箸については、サクラ、シタン、モウソウチクらと同等の材質を有する用材を生漆又は朱合漆を使用して箸の頭の部分に塗り、朱合漆を用い下地を摺り仕上げる。
- 模様付、研ぎ出し
卵殻を用いた「卵殻模様」、貝殻を用いた「貝殻模様」、松葉、檜葉、菜種又は籾殻等を用いた「起こし模様」の3種類があり、いずれも数十回も塗重ね、砥石を用い「荒研ぎ」、「中研ぎ」、「仕上げ研ぎ」をする。[3]
- 仕上げ
朱漆を用い艶塗りを行い、炭を用い荒研ぎ、中研ぎ、仕上げ研ぎをした後、胴を摺り仕上げ、最後に黒色系の生漆を用い上塗りを行う。
歴史
[編集]若狭塗は、江戸時代初期寛永年間に[4]、小浜の豪商組屋六郎佐衛門が、国外より入手した漆塗盆を藩主酒井忠勝公に献上し[3]、小浜藩の漆塗職人・松浦三十郎(与兵衛)が[4]、小浜湾の海底を模様化をした図案化し、中国の漆器作りを基に「菊塵塗(きくじんぬり)」を考案したのが最初と言われている。
その後、弟子によって「磯草塗(いそくさぬり)」があみだされ、万治年間に現在まで伝わる方法が完成し、当時の小浜藩主がこれを足軽の内職として若狭塗と命名し保護奨励した。
NHK連続テレビ小説『ちりとてちん』でヒロインの実家が伝統的な若狭塗箸職人の家の設定だったため、改めて全国的に知れ渡った。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 財務省北陸財務局経済調査課『北陸財務局統計年報 平成20年版〉』財務省北陸財務局、2008年。
- 福井新聞社『福井県大百科事典』福井新聞社、1991年。