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湧網線

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湧網線
網走川を渡る9600形牽引の貨物列車 (昭和49年頃)
網走川を渡る9600形牽引の貨物列車
(昭和49年頃)
概要
現況 廃止
起終点 起点:中湧別駅
終点:網走駅
駅数 駅:16、仮乗降場:11
運営
開業 1935年10月10日 (1935-10-10) [1][2]
全通 1953年10月22日[2]
廃止 1987年3月20日 (1987-3-20) [1][2]
所有者 鉄道省運輸通信省運輸省
日本国有鉄道
路線諸元
路線総延長 89.8 km (55.8 mi)[1]
軌間 1,067 mm (3 ft 6 in) [1]
最小曲線半径 200 m (660 ft)
電化 全線非電化 [1]
最急勾配 25
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湧網線(ゆうもうせん)は、日本国有鉄道(国鉄)が運営していた鉄道路線地方交通線)。北海道紋別郡上湧別町(現・紋別郡湧別町)の中湧別駅名寄本線から分岐し、サロマ湖オホーツク海能取湖網走湖の沿岸を通って網走市網走駅に至る路線であった。

1960年代より沿線の過疎化やモータリゼーションの進行で利用者が減り、国鉄再建法の制定(1980年)により第2次特定地方交通線に指定され、国鉄分割民営化直前の1987年3月20日[1][2]に全線が廃止された。なお、営業末期の列車本数は、全線直通が1日5往復と浜佐呂間発中湧別行きの区間列車1本[3]まで減らされていた。

遠軽駅 - 網走駅間は、名寄本線と当線を経由する方が内陸を通る石北本線経由より営業キロが若干短く、ある時期においては当線の最終の網走発遠軽行き普通列車は、石北本線経由の網走発札幌行き夜行急行列車「大雪」(北見駅までは普通)より遅く出ても遠軽駅に先着するダイヤになっていた[4]

路線データ(廃止時)

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  • 管轄:日本国有鉄道
  • 路線距離(営業キロ):中湧別 - 網走 89.8km [1][2]
  • 駅・仮乗降場数:27(起終点駅を含む。駅:16、仮乗降場:11)
  • 軌間:1067mm [1]
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:なし(全線非電化[1]
  • 閉塞方式:タブレット閉塞式
    • 交換可能駅:3(計呂地、佐呂間、常呂。以前は、芭露駅・床丹駅・知来駅・浜佐呂間駅・卯原内駅にも交換設備が設置されていた)
1966年の網走支庁地図。
1966年の網走支庁地図。

歴史

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停車場・施設・接続路線(廃止当時)
exSTR
名寄本線
exBHFq exABZqr+r exSTRq
0.0 中湧別駅
exSTR
名寄本線
exHST
(2.6) 五鹿山仮乗降場
exHST
(4.3) 福島仮乗降場
exBHF WDOCKSa-R
9.9 芭露駅 サロマ湖
exhKRZWae WFILL
芭露川橋梁 芭露川
exHST WFILL
(15.3) 志撫子仮乗降場
exhKRZWae WFILL
志撫子川橋梁 志撫子川
exBHF WFILL
16.5 計呂地駅
exhKRZWae WFILL
計呂地川橋梁 計呂地川
exHST WDOCKSe-R
(19.2) 浜床丹仮乗降場
exBHF WASSER
21.0 床丹駅
exhKRZWae WASSERr
床丹川橋梁 床丹川
exHST
(25.0) 若里仮乗降場
exBHF
29.3 佐呂間駅
WASSERq exhKRZWae WASSER+r
第1サロマベツ川橋梁 佐呂間別川
WASSER+l exhKRZWae WASSERr
第2サロマベツ川橋梁 佐呂間別川
WASSER exHST
(31.8) 堺橋仮乗降場
WASSER exHST
(33.7) 興生沢仮乗降場
WABZg+l exhKRZWae
知来川橋梁 知来川
WASSER exBHF
36.0 知来駅
WASSERl exhKRZWae WASSER+r
第3サロマベツ川橋梁 佐呂間別川
exHST WASSER
(39.1) 紅葉橋仮乗降場
exBHF WASSER
41.4 仁倉駅
exBHF WDOCKSaq
46.0 浜佐呂間駅 サロマ湖
exBHF
49.4 北見富丘駅
exHST
(51.9) 東富丘仮乗降場
exBHF
54.0 北見共立駅
exHST
土佐仮乗降場 -1972
exSKRZ-G2u
道道1033号
exBHF
59.5 常呂駅
exhKRZWae
常呂川橋梁 常呂川
exHST
常呂港仮乗降場 -1972
exBHF WDOCKSa-R
66.7 能取駅 能取湖
exhKRZWae WFILL
黒沢川橋梁 ルートモトイエナイ川
exhKRZWae WFILL
ピラケシヨマナイ川橋梁 ピラケショマナイ川
exHST WFILL
中能取仮乗降場 -1972
exhKRZWae WFILL
イルオナイ川橋梁 イルオナイ川
exhKRZWae WFILL
沢見川橋梁 ポンコナイ川
exBHF WFILL
73.1 北見平和駅
exhKRZWae WFILL
多蛟川橋梁 ソオラルオツナイ川
exhKRZWae WFILL
オンネナイ川橋梁 オンネナイ川
exhKRZWae WFILL
住吉川橋梁 ニタテヨコツナイ川
exBHF WFILL
76.6 卯原内駅
exhKRZWae WFILL
卯原内川橋梁 卯原内川
exhKRZWae WDOCKSe-R
東卯原内川橋梁 オンネニタツ川
exHST
(80.2) 二見中央仮乗降場
exBHF
82.1 二見ヶ岡駅
exhKRZWae
網走川橋梁 網走川
exHST
(87.9) 大曲仮乗降場
STRq eABZql BHFq
89.8 網走駅
石北本線釧網本線

名寄本線の中湧別と網走本線(現在の石北本線)の網走を短絡する鉄道として計画されたもので、改正鉄道敷設法別表には第146号に「北見國中湧別ヨリ常呂ヲ經テ網走ニ至ル鐡道」として規定されている。

建設は網走側、中湧別側両方から進められ、1935年からそれぞれ湧網東線(ゆうもうとうせん)、湧網西線(ゆうもうさいせん)として順次開業した。太平洋戦争により中断したが、1953年に全通し湧網線となった。

1980年に国鉄再建法が成立すると、第2次特定地方交通線に指定され、1987年3月に廃止された。

湧網西線

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湧網東線

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  • 1935年(昭和10年)10月10日 網走 - 卯原内間 (13.2km) を湧網東線として新規開業[2][7]。二見ヶ岡駅・卯原内駅を新設[1]
  • 1936年(昭和11年)10月10日 卯原内 - 常呂間 (17.1km) を延伸開業[2][8]。能取駅・常呂駅を新設[1]
  • 1949年(昭和24年)10月20日? 北見平和仮乗降場を新設[1]
  • 1952年(昭和27年)12月6日 常呂 - 下佐呂間間 (13.5km) を延伸開業[2]。北見共立駅・北見富丘駅・下佐呂間駅を新設[1]

湧網線

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  • 1953年(昭和28年)10月22日 佐呂間 - 下佐呂間間 (16.7km) を延伸開業し、全通[2]。中湧別 - 網走間を湧網線とする[2]。知来駅・仁倉駅を新設[1]。中佐呂間駅を佐呂間駅に改称[1]
  • 1954年(昭和29年)1月1日 北見平和仮乗降場を駅に改める[1]
  • 1955年(昭和30年)12月25日 福島仮乗降場・志撫子仮乗降場・若里仮乗降場・興生沢仮乗降場・紅葉橋仮乗降場・大曲仮乗降場を新設[1]
  • 1956年(昭和31年)
    • 1月7日 土佐仮乗降場・常呂港仮乗降場・中能取仮乗降場を新設[1]
    • 5月1日 東富丘仮乗降場・二見中央仮乗降場を新設[1]
    • 8月20日 浜床丹仮乗降場を新設[1]
    • 12月20日 堺橋仮乗降場を新設[1]
  • 1958年(昭和33年)7月1日 五鹿山仮乗降場を新設[1]
  • 1963年(昭和38年)10月1日 下佐呂間駅を浜佐呂間駅に改称[1]
  • 1972年(昭和47年)2月8日 土佐仮乗降場[1]・常呂港仮乗降場・中能取仮乗降場を廃止。
  • 1984年(昭和59年)6月22日 第2次特定地方交通線として廃止承認[9]
  • 1987年(昭和62年)3月20日 全線 (89.8km) を廃止し[2][1]網走バスのバス路線に転換[10]

駅一覧

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接続路線の事業者名・駅の所在地は湧網線廃止時点のもの。全駅が北海道網走支庁(現:オホーツク総合振興局)管内に所在。

駅名 営業キロ 接続路線 所在地
駅間 累計
中湧別駅 - 0.0 日本国有鉄道:名寄本線
(一部湧別方面、遠軽方面直通)
紋別郡上湧別町
(現:紋別郡湧別町)
五鹿山仮乗降場 - (2.6)  
福島仮乗降場 - (4.3)   紋別郡湧別町
芭露駅 9.9 9.9  
志撫子仮乗降場 - (15.3)  
計呂地駅 6.6 16.5  
浜床丹仮乗降場 - (19.2)   常呂郡佐呂間町
床丹駅 4.5 21.0  
若里仮乗降場 - (25.0)  
佐呂間駅 8.3 29.3  
堺橋仮乗降場 - (31.8)  
興生沢仮乗降場 - (33.7)  
知来駅 6.7 36.0  
紅葉橋仮乗降場 - (39.1)  
仁倉駅 5.4 41.4  
浜佐呂間駅 4.6 46.0  
北見富丘駅 3.4 49.4   常呂郡常呂町
(現:北見市
東富丘仮乗降場 - (51.9)  
北見共立駅 4.6 54.0  
土佐仮乗降場* -    
常呂駅 5.5 59.5  
常呂港仮乗降場* -    
能取駅 7.2 66.7   網走市
中能取仮乗降場* -    
北見平和駅 6.4 73.1  
卯原内駅 3.5 76.6  
二見中央仮乗降場 - (80.2)  
二見ヶ岡駅 5.5 82.1  
大曲仮乗降場 - (87.9)  
網走駅 7.7 89.8 日本国有鉄道:石北本線釧網本線
  • 仮乗降場には営業キロが設定されていなかった。括弧内に実キロを記す。
  • *: 1972年2月8日廃止。
  • 大曲仮乗降場付近では石北本線も並行していたが、ホームは当路線のみに設置されていた。

廃止後の状況

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網走バスターミナルで発車を待つ中湧別行き(2009年4月)
湧網線跡石碑

常呂駅跡の北見共立駅跡寄り - 大曲仮乗降場跡間の線路跡の大半が、サイクリングロードとして活用されている[11]北海道道1087号網走常呂自転車道線)。その他の区間は、路盤跡や橋桁が面影を残す程度となっている。駅跡は当時の駅舎はほとんど残っておらず、一部でバスターミナルとして建て替えられている。中湧別駅、計呂地駅、佐呂間駅、卯原内駅には車両が静態保存されている。

代替バス

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鉄道廃止後は、代替として網走バスにより転換バス「湧網線」が中湧別 - 網走間で運行された[10][12]。運行当初は、全線通しの他、中湧別 - 佐呂間、佐呂間 - 網走といった区間便や、佐呂間を経由しない幌岩経由の便も設定された[12]

しかし、乗客数減少、沿線自治体の財政負担増に加え、佐呂間町でスクールバス混乗による佐呂間町ふれあいバスの導入を行うことから路線廃止の提案が行われ、2010年(平成22年)10月1日に「湧網線」が廃止、網走 - 常呂・サロマ湖栄浦間の「常呂線」「サロマ湖栄浦線」に短縮された[13]

2021年時点では、旧鉄道並行区間に以下のような各バス路線の設定があるが、いずれも代替バスではないため廃止各駅をたどる経路とはなっておらず、町界をまたぐ区間では分断されている。また、一部路線は曜日限定や予約制となっている。

このほか、佐呂間町ふれあいバスが佐呂間 - 常呂間(希望者がいる日に限り網走まで延長)に週1日[18]、2024年(令和6年)6月4日より湧別町営バスが中湧別 - 佐呂間間に予約制で週2日運行を行っている[19]。また、北見市常呂町内を佐呂間町方面へ向かうバスとして、常呂町中心部と佐呂間町浜佐呂間との境界近くにある「サロマ湖入口」を結ぶ北見市営バス栄浦線・鐺沸線[20]がある。

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 今尾恵介監修『日本鉄道旅行地図帳』1号 北海道、新潮社、2008年、p.49
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 宮脇俊三編著『鉄道廃線跡を歩く』IV、JTB、1997年、p.200
  3. ^ 『交通公社の時刻表』1986年12月号、日本交通公社、p.522
  4. ^ 宮脇俊三『時刻表2万キロ河出書房新社河出文庫〉、1980年、143-144頁。 
  5. ^ 「鉄道省告示第457・458号」『官報』1935年10月14日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. ^ 「鉄道省告示第314・315号」『官報』1936年9月22日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. ^ 「鉄道省告示第443・444号」『官報』1935年10月5日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. ^ 「鉄道省告示第312・313号」『官報』1936年9月22日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  9. ^ 池田光雅『鉄道総合年表1972-93』中央書院、1993年、pp.84,98
  10. ^ a b 鉄道ジャーナル』第21巻第7号、鉄道ジャーナル社、1987年6月、99頁。 
  11. ^ 交通新聞 (交通新聞社): p. 2. (1995年10月25日) 
  12. ^ a b 代替バス運行について」(PDF)『広報さろま』第353号、佐呂間町、1987年3月、12頁、2021年12月28日閲覧 
  13. ^ 湧網線代替バス廃止に伴う新たなバス路線について” (PDF). 北見市. 2014年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月23日閲覧。
  14. ^ 町営バス・民営バス”. 湧別町. 2021年12月28日閲覧。
  15. ^ a b 佐呂間町ふれあいバス町内路線時刻表”. 佐呂間町. 2021年12月28日閲覧。
  16. ^ 路線図・常呂線”. 北海道北見バス. 2021年12月28日閲覧。
  17. ^ 常呂・常呂栄浦線”. 網走バス. 2021年12月28日閲覧。
  18. ^ 佐呂間町ふれあいバス町外路線時刻表”. 佐呂間町. 2021年12月28日閲覧。
  19. ^ 湧別-佐呂間結ぶ「足」復活 湧別町営バス 火、木曜に1日2往復”. 北海道新聞 (2024年6月4日). 2024年6月21日閲覧。
  20. ^ 北見市交通ターミナル(常呂)”. 北見市. 2022年2月22日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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