感潮河川
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感潮河川(かんちょうかせん)とは、下流において流速や水位が潮の干満の影響を受けて変動する河川のこと[1][2]。「潮入川(しおいりがわ)[3]」、「有潮河川(ゆうちょうかせん)[要出典]」ともいう。感潮河川でない川は「非感潮河川」という[1]。感潮の影響を受ける区域を「感潮区間[1][4]」あるいは「感潮域[5]」という。感潮区間・感潮域のことを化学・生態学等の用語である「汽水域」と同義[1]とする資料も多いが、研究分野が異なるだけに厳密には異なる概念であり[4][注 1]、該当する区域にも若干のズレがある[4]。感潮の影響を受ける川筋は「感潮河道(かんちょうかどう)」という。
中国語でも「感潮河川」という。英語では"tidal river(日本語音写例:タイダル リバー)"といい[4][6][7]、感潮区間は"tidal reach(日本語音写例:タイダル リーチ)"という[4]。
概要
[編集]感潮区間の範囲は勾配が緩やかな大河ほど大きくなる。感潮区間においては塩分濃度も変化するがごく下流に限られ、流速や水位に比べると変化は小さい。水と海水の比重のちがいから、満潮の時に底部にたまった海水が上流に向かい、上層にある河水は下流に流れる現象が生じることがある。
感潮において、壁状の波が逆流する現象は「海嘯」という[8][9]。
主な感潮河川
[編集]世界にある感潮河川を挙げていこうとすればそれこそ切りがないが、文献で言及されることが多いなど、特筆性の高い感潮河川というものはあり、ここではそういった川を記載する。
- セヴァーン川[6][10] - グレートブリテン島の、ウェールズ地方を流れる。
- セーヌ川[10] - ヨーロッパ大陸の、フランス北部を流れる。
- フーグリー川[11] - インド西部の西ベンガル州、フーグリー地方を流れる。
- 銭塘江[10] - 中国大陸北部を流れる。
- 揚子江(長江の最下流部)[7][10] - 中国大陸南部を流れる。
- 紅河(ソンコイ川) - インドシナ半島北東部を流れる。河口部に紅河デルタを形成する[12]。
- ペティコディアック川[11] - 北アメリカ大陸東部を流れる。
- アメリカのセントジョン川 (en)[13] - 北アメリカ大陸東部を流れる。
- セントローレンス川[14] - 北アメリカ大陸東部を流れる。
- ハドソン川[10] - 北アメリカ大陸東部を流れる。
- ポトマック川[15] - 北アメリカ大陸東部を流れる。
- オリノコ川[10] - 南アメリカ大陸北部を流れる。
- アマゾン川[11] - 南アメリカ大陸北部を流れる。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d “感潮”. 公式ウェブサイト. 国土技術政策総合研究所(国総研). 2019年10月14日閲覧。
- ^ “感潮河川”. コトバンク. 2019年10月14日閲覧。
- ^ 平凡社『世界大百科事典』. “潮入川”. コトバンク. 2019年10月14日閲覧。
- ^ a b c d e 国土交通省 汽水域・河口域の環境調査, p. 2
- ^ “感潮域 - 河川用語集”. しずおか河川ナビゲーション(公式ウェブサイト). 静岡県交通基盤部河川砂防局河川企画課. 2019年10月14日閲覧。
- ^ a b 『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』. “感潮河川”. コトバンク. 2019年10月14日閲覧。
- ^ a b 平凡社『世界大百科事典』. “感潮河川”. コトバンク. 2019年10月14日閲覧。
- ^ 三省堂『大辞林』第3版. “感潮河川”. コトバンク. 2019年10月14日閲覧。
- ^ 三省堂『大辞林』第3版. “海嘯”. コトバンク. 2019年10月14日閲覧。
- ^ a b c d e f 小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』. “感潮河川”. コトバンク. 2019年10月14日閲覧。
- ^ a b c 小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』. “ボア(潮津波)”. コトバンク. 2019年10月14日閲覧。
- ^ 平凡社『世界大百科事典』第2版. “ラクディエン”. コトバンク. 2019年10月14日閲覧。
- ^ “セントジョン川”. コトバンク. 2019年10月14日閲覧。
- ^ “セント・ローレンス川”. コトバンク. 2019年10月14日閲覧。
- ^ “ポトマック川”. コトバンク. 2019年10月14日閲覧。
参考文献
[編集]- 地学団体研究会 新版地学事典編集委員会 編 編『地学事典』(新版)平凡社、1996年10月。ISBN 978-4-582-11506-2。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- “第14章 汽水域・河口域の環境調査” (PDF). 公式ウェブサイト. 国土交通省. 2019年10月14日閲覧。