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吸入剤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

吸入剤(きゅうにゅうざい)は、口から吸い込むことで体内に薬物を投与する剤形。ネブライザースチームなどの吸入器を用いる。主なものに、気管支喘息治療薬のブデソニド・ホルモテロールサルメテロール・フルチカゾンインフルエンザ治療薬のザナミビルラニナミビル慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬のチオトロピウムなどがある。

口腔内やのどへの吸着を防ぎ、決まった量を正しく投与するためには、吸入器具を適切に設計する必要があり、MDI(metered dose inhaler、定量噴霧吸入器)などが採用されている。


分類

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エアロゾル製剤(MDI)

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最も一般的な吸入剤は、加圧式定量噴霧吸入器(pMDI: pressurized metered dose inhaler)によって吸入されるエアロゾル製剤である。薬物は、容器(ボンベ)の中に液剤または懸濁剤の形で入っていて、容器を押すことで定められた量の薬剤をエアロゾルにして噴出し、吸入する。吸入手技が難しい場合は、吸入用補助器具(スペーサー)を製剤と口の間に入れる。喘息の発作をすぐに止める薬などに用いられる。 使い方は、まず容器をよく振り、息をすべて吐き出す。マウスピースを口の中に入れ、ゆっくり吸い込みながら容器の底を強く1回押す。 エアロゾル状の薬剤が肺の中に入っていくように息を吸い続け、さらに気管支にいきわたるよう、5秒ほど息を止める。

ドライパウダー製剤(DPI)

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ドライパウダー吸入器によって吸入する粉末製剤(DPI: dry powder inhaler)は、日本では2000年頃から普及しはじめた。ディスカス、ロタディスク、エリプタといった吸入器を用いる。エアロゾルとは異なり、自分の力で吸い込む必要があるため、喘息発作時に用いる治療薬には向いていない。ステロイド単剤や、ステロイドとβ2作動薬との合剤がある。

  • ディスカス - 円盤型の装置に粉末の製剤が充填されており、水平に持った容器を回しながらカバーを開けることで、1回分の吸入準備ができる吸入器。カウンターで残り吸入回数がわかる。フルタイド(プロピオン酸フルチカゾン)、セレベント(サルメテロール)、アドエア(サルメテロールとプロピオン酸フルチカゾンの合剤)など。
  • ロタディスク - 粉末の製剤が入ったディスクに穴をあけ、1回分の吸入準備をしてから吸入する吸入器。操作の手数は多いが、ディスクを目視することで残量がわかる。
  • エリプタ - 容器のふたを開けることで1回分の吸入準備ができる吸入器[1][2]。カウンターで残り吸入回数がわかる。アニュイティ(フランカルボン酸フルチカゾン)、レルベア(ビランテロールとフランカルボン酸フルチカゾンの合剤)、エンクラッセ(ウメクリジニウム)、アノーロ(ウメクリジニウムとビランテロールの合剤)、テリルジー(フランカルボン酸フルチカゾンとビランテロールとウメクリジニウムの合剤)など。
  • タービュヘイラー - 吸入器を垂直に立てた状態で、回転グリップを回してから吸入する。パルミコート(ブテソニド)、オーキシス(ホルモテロール)、シムビコートおよびブデホル(ブデソニドとホルモテロールの合剤)など。
  • ツイストヘラー - タービュヘイラーにカウンターがついた剤形。アズマネックス(モメタゾン)など。
  • ハンディヘラ―、ブリーズヘラ― - カプセル入り薬剤を容器に移し、穴をあけてから吸入する。吸入後カプセルを廃棄する必要がある。スピリーバ(チオトロピウム)、シーブリ(グリコピロニウム)、オンブレス(インダカテロール)、ウルティブロ(グリコピロニウムとインダカテロールの合剤)、アテキュア(モメタゾンとインダカテロールの合剤)、エナジア(モメタゾンとインダカテロールとグリコピロニウムの合剤)など。

ネブライザー

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ネブライザーを用いて薬剤を霧状にし噴霧し吸入するための、液状の薬剤。

ソフトミストインヘラー(SMI)

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液状の薬剤を吸入するという意味ではネブライザーと同様であるが、カートリッジから高圧スプレーを噴霧することで霧状にする。European Respiratory Society (ERS) はソフトミストインヘラー(Soft mist inhaler)をネブライザーに分類し、 hand driven nebulizer、hand driven pMDIとも呼ばれる。

  • レスピマット - 容器を立てたまま回転させることで定量の液剤の準備をした後、ふたを開け、噴霧ボタンを押しながら吸入する。スピリーバ(チオトロピウム)、スピオルト(チオトロピウムとオロダテロールの合剤)など。

脚注

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関連項目

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外部リンク

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