● 「アニソン」というのがあります。要は、アニメ作品に付随する主題歌や挿入歌のこと。テレビであれ映画であれ、いわゆるアニメーションの映像作品に人心を集め注目を集めるためのフックとしてつけられる楽曲の総称、と言っていいでしょう。 商品音楽としての流行歌が、楽曲単体としてよりも映画作品の主題歌という組み合わせでその「流行」の起爆力を強め、射程距離と共に広めていったのは、戦前からの本邦大衆社会化と情報環境の組み合わせの時代状況下での歴史的過程でした。その相乗りする媒体が映画から戦後は民放ラジオの広告に、そしてその後はテレビのCMへと移り変わっても、音声と映像の複合する、そして世間一般その他おおぜい、つまり「大衆(マス)」をまるっと相手取るメディアと手に手を取って「流行」を仕掛けてゆく立ち位置にそれら楽曲が常に同伴してきたことは、〈いま・ここ〉に至る現代史の未だ正面から認識されにくい経緯のひとつか