日本を代表するアスリートが腕を磨く味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC、東京・北)の施設内で、2024年11月に突然発生した壁の崩落事故。通常は構造部材などに溶接する壁下地の軽量鉄骨を、接着剤で固定していたことが判明した。関係者や専門家が「あり得ない」「違和感しかない」と指摘したお粗末な固定方法の詳細と、事故の原因をひもとく。 事故当日のナショナルトレーニングセンター・イーストのエントランス。崩落した壁材が床に散乱した。2024年11月14日撮影(写真:日本スポーツ振興センター) 事故現場となった屋内トレーニングセンター・イースト(NTC・イースト)は、オリンピック・パラリンピック競技の競技力強化を図るために整備された施設だ。地下1階・地上6階建てで、延べ面積は3万m2ほど。19年6月に竣工した。設計は松田平田設計・教育施設研究所設計共同体(JV)で、施工はフジタ(東京・渋谷)が担