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最新パーツ性能チェック 第464回

マルチフレーム生成がなくても十分?

Radeon RX 9070シリーズの仕上がりは想像以上だったことがゲームベンチでわかった

2025年03月19日 10時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

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 本稿は3月11日より発売が開始されたRDNA 4アーキテクチャーを採用した新世代のRadeon「RX 9070シリーズ」は「RX 9070」および「RX 9070 XT」の後編レビューである。前編はスケジュールの都合上テストを絞らざるを得なかったが、今回は前編で紹介できなかったデータをすべてご覧いただこう。

 RX 9070シリーズはRTX 4070〜RTX 4070 Ti SUPER、RTX 5070〜RTX 5070 Tiといった“xx70”番台のGeForceと戦うために特化したGPUだ。RDNA 4ではRTX 5090のような怪物じみたスペックに展開することを諦めたかわりに、xx70番台のGeForceにコストパフォーマンスで上回ることを強く志向したアーキテクチャーである。

 RTX 50シリーズにおける「DLSS MFG(Multi Frame Generation:マルチフレーム生成)」のような“飛び道具”はないが、レイトレーシングやAI処理性能の強化だけでなく少ないCU(Compute Unit)数でも高い描画性能(ラスタライズも含まれる)を獲得している。

 RDNA 4に盛り込まれた新設計が実際のアプリやゲームではどのような働きを見せるのか? さっそく検証していきたい。

今回テスト用カードはASRockよりお借りした。RX 9070 XT搭載カードは「AMD Radeon RX 9070 XT Taichi 16GB OC」を使用した。補助電源コネクターに12V-2x6コネクターを使用し高負荷時の電力供給の安定度にもこだわったパフォーマンス志向のファクトリーOC(オーバークロック)モデルである

RX 9070カードはASRock「AMD Radeon RX 9070 Steel Legend 16GB OC」を使用。こちらの補助電源コネクターは一般的な8ピン×2構成である

RTX 4070〜RTX 5070 Tiまでまとめて比較

 今回の検証環境は前編と同一である。前編のデータはGeForce RTX 5070のレビューとほぼ同時期に進行していた関係上、データも環境も共通である。比較用ビデオカードとしてRX 7900 XTとRX 7900 GREのほか、RTX 5070 Ti/ RTX 5070/ RTX 4070 Ti/ RTX 4070を準備した。GeForce系の“xx70”番台からRTX 4070 Ti SUPERが抜けているがこれは時間的制約から除外したまでだ。

 RTX 5070をはじめRTX 4070 Ti/ RTX 4070といったVRAM 12GB勢に対しRX 9070シリーズはVRAM 16GBと余裕がある。またRX 7900 XTは製品の“格付け”としてはRX 9070シリーズよりも上であり、さらにVRAM搭載量も多く(20GB)メモリーバス幅も広い(320bit)。RX 9070シリーズがどういった状況で優位に立つのか、RX 7900 XTに対しどこまで食らいついていけるのかなどが注目ポイントとなるだろう。

 ドライバーはRX 9070シリーズのみAdrenalin 25.3.1のβ版を、それ以外のRadeonは25.2.1、GeForceはGameReady 572.50を使用した。Resiazble BARやSecure Boot、メモリー整合性やHDRなどは一通り有効化、ディスプレーのリフレッシュレートは144Hzに設定した。

検証環境
CPU AMD「Ryzen 7 9800X3D」(8コア/16スレッド、最大5.2GHz)
CPUクーラー EKWB「EK-Nucleus AIO CR360 Lux D-RGB」(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASRock「X870E Taichi」(AMD X870E、BIOS 3.18.AS02)
メモリー Micron「CP2K16G64C38U5B」(16GB×2、DDR5-5600で運用)
ビデオカード ASRock「AMD Radeon RX 9070 XT Taichi 16GB OC」(RX 9070 XT、16GB GDDR6)
ASRock「AMD Radeon RX 9070 Steel Legend 16GB OC」(RX 9070、16GB GDDR6)
AMD「AMD Radeon RX 7900 XTリファレンスカード」(RX 7900 XT、16GB GDDR6)
ASRock「AMD Radeon RX 7900 GRE Steel Legend 16GB OC」(RX 7900 GRE、16GB GDDR6)
Palit「GeForce RTX 5070 Ti GamingPro」(RTX 5070 Ti、16GB GDDR7)
NVIDIA「GeForce RTX 5070 Founders Edition」(RTX 5070、12GB GDDR7)
ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC」(RTX 4070 Ti、12GB GDDR6X)
NVIDIA「GeForce RTX 4070 Founders Edition」(RTX 4070、12GB GDDR6X)
ストレージ Micron「CT2000T700SSD3」(2TB M.2 SSD、PCIe Gen 5)
Silicon Power「SP04KGBP44US7505」(4TB M.2 SSD、PCIe Gen 4)
電源ユニット ASRock「TC-1300T」(1300W、80 PLUS TITANIUM)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(24H2)

 また、ゲーム中に各ビデオカードが消費する電力を直接計測するHWBusters「Pownetics v2」を接続して検証するが、その際PCI Express x16スロットに流れる電力を計測するためのライザーカードを接続する必要がある。このライザーカードを接続する関係でCPU→ビデオカードのPCI ExpressリンクはGen 5ではなくGen 4としている。ただGen 4に下げたところで性能にほぼ影響はない(多くて2%程度)ため、問題ないと判断している。

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