高性能CPUクーラーはビジュアルの面白さの追求はもちろん、PCのチューンを行なう上では欠かせないパーツ。プロセスルールのシュリンクで低発熱CPUが大人気のご時世に、高性能CPUクーラーとは何の意味があるのかと考えてしまうかもしれないが、オーバークロックはもちろん静音化するにもCPUクーラーは絶対的に“冷える”ことが求められる。
そこで今回は、本サイトで既に2回行なった「CPUクーラー最強王座決定戦」の2007年後半戦をお届けしたい。昨年7月以降登場したCPUクーラーの中から6製品をピックアップし、さらに既に1回の防衛戦に勝利した2006年度のチャンプを交えてガチの勝負をさせてみたい。今回エントリーした製品は次の通りだ。
セットアップ
テストの内容は「StressPrime 2004 ORTHOS」を使いCPUに強い負荷をかけ、「Core Temp」を使いCPU温度を記録、どのクーラーがより低い温度になるかをという単純なものだ。今回はバラック組みではなく実際にPCケースに入れ、実際の利用環境に近い状態でテストを行なってみたい。
各テストはまず電源投入から10分間放置し、安定した状態の温度をアイドル温度として採用する。その後StressPrimeを10分間回し記録する。定格駆動の状態と2.81GHz(FSB350MHz)、コア電圧1.35Vにオーバークロックした状態でそれぞれ記録を行なう。室温は平均18度程度に維持している。
今回の検証で使用したマザーボードは「X38」チップセット採用のASUSTeK製「P5E」。リップル電圧や過電流を抑えることでオーバークロック時の安定性を高めたりするというCPUの電力管理を行う専用チップ「EPU」(Energy Processing Unit)を搭載。新たに第3世代へと進化した8フェーズの電源回路や2フェーズのDDR2メモリスロット用の電源回路を搭載する点、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサの採用などがウリだ
テスト機のパーツ構成は次の通り。CPUの省電力機能「C1E」や「EIST」はBIOS上で無効にしている。
テスト環境 |
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CPU:インテル「Core 2 Duo E6750」(2.66GHz) |
マザーボード:ASUSTeK「P5E」 |
メモリ:Transcend「TX1066QLJ-2GK」(DDR2 1066/1GBx2) |
ビデオカード:Galaxy GeForce 7300GS |
HDD:Seagate「ST3500630AS」(500GB SerialATA) |
OS:「Windows Vista Ultimate」 |
リテールクーラーの実力は?
まずはCore 2 Duo付属のリテールクーラーの実力からチェックしてみよう。筆者としては現在のリテールクーラーが採用している4本のピンで固定する方式は時々上手くはまってくれないマザーがあるため、いい加減脱却して欲しいのだが、E8500世代になってもまだ続くようで少々憂鬱である。
リテールクーラーのCPU温度グラフ
結果は定格で使う限りはそれほど問題を感じないが、オーバークロックすると最後の1分程度は60度オーバーの世界になる。しかし前面と背面で1つずつ回しているファンの片方を止めるとStressPrimeでエラーが出るので、オーバークロック時はかなりカツカツになっていると想像できる。
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