【今週の1枚】レトロなブラウン管テレビを思わせる曲面を描く「INFOBAR 2」のディスプレー。デザイナーの深沢直人さんが考える「共有感覚」が刺激される
ケータイ業界で、この冬にリリースされる大型新人と言えば「INFOBAR 2」である。名前からも分かるように、「au design project」の皮切りとして2003年10月に発売され、一世を風靡した人気機種「INFOBAR」の後継機だ。
INFOBARがなぜ人気を集めたかと言えば、端末のデザインを語る前に、ストレート型であった点から始まっていると思う。
端末がヒンジで稼働したり、スライドしたりしない。ディスプレーやボタンがすべて表面に集められている。端末のダイアルキーの裏でグリップして使うと、ディスプレーの部分がすらっとまっすぐ手の中から伸びる。そんなストレート型端末を使っている姿も、とても端正に見えるのだ。
そうしたINFOBARシリーズのようなストレート型端末に対して、いつからか僕は「レトロなスタイルである」というイメージを持つようになった。決して古びたと言うわけではなく、機会があれば回帰しうる、懐かしい思い出のようなモノだ。
レトロなストレートに再び出会おう
僕が初めて手に取ったケータイは、ドコモのmova端末「P203」だ。まだアンテナが伸びる時代のストレート端末である。その後、折りたたみ端末が使いたくて「N206S」に機種変更して以来、長らくストレート型はメインに使っていなかった。折りたたみ型の端末を開閉するときの「カチッ」という音に憧れたのだ。
ケータイ業界も同じで、現在に至るまで、折りたたみ型全盛の時代が続いている。「高機能」「大画面」「薄型」という3大キーワードを実現するために、ストレート型はしばらくリリースされなくなったのだ。
一応、Nokia製端末や「SO902i」のように、ボタン部分を詰めて無理矢理コンパクトにして、手の中に収まるようにデザインした製品も登場している。しかし、スタイルや操作性の面で、これらをINFOBARなどの「ストレート型」と一緒にまとめてしまうのは違う気がする。
操作しやすいようにボタン部分にスペースを大きく割いて、ダイアルボタン部分の前後を指で包むと自然にディスプレーが手元から伸びる──。やはりこの形態こそがストレート型端末の醍醐味であり、僕が感じる「レトロなスタイル」というものだ。
そんなレトロなストレート型ケータイに思いを寄せている方にとって、この冬は懐かしい思い出に回帰できる季節となるだろう。
今回紹介するINFOBAR 2だけでなく、ドコモの「D705iμ」も、クールなストレート端末としてラインアップされているからだ。こちらは金属板のようなデザインには惹かれるモノがある。年明け以降のご紹介をお楽しみに。
(次ページに続く)
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