Cycro
スマートフォンアプリ「Cycro」を使うと、インターネットの接続がない状態でも端末同士をブルートゥースで直接つないでチャットができる。2014年6月16日にAndroid版が登場し、iOS版も近日リリース予定だ。
半径10m以内で通信が可能で、最大の特徴はCycroがインストールしてある端末を経由して数珠つなぎで通信ができるため、10m以上離れた場所でもほかの端末を媒介にして通信できること。開発元である未来少年の米倉千貴CEOによると、Cycroは「メッシュを重ねていくイメージ。使う人が多ければより厚いメッシュになっていき、そうなればネットを使う人のほうが少なくなる。ネット網を置き換えてしまう」と話す。遅延の問題はあるものの、すべてのスマートフォンにCycroがインストールされていれば、通常のメッセージングにインターネットは不要だろう。
インターネットを利用せずに端末間で直接データを送受信するため、例えば災害でネットが使えなくなった場合や、大規模イベントでネットが混み合って機能しない場合でも問題ない。セキュリティーを考慮して、会議室内といった限定的なメッセージングに利用するのもありだ。ただし、米倉CEOはCycroをあくまでベータとしてリリースし、収益化を狙っているわけではないと話す。「技術的な興味があってつくった。重要なのはやってみることで、何ができて、何ができないのか、ブルートゥースで何がつながるかが見えてくるのが重要。ブルートゥース通信がどこもでできるかの実験。中に置いておくよりは外に出そうと思った」とする。
Cycroはあくまで実証実験という未来少年では現在、Cycroの技術を用いた新たなコミュニケーションツールを開発中だ。北米を中心にグローバル展開を2014年秋に開始する予定。米倉CEOも「次のコミュニケーションツールが重要なプロダクトと考えている。そのためCycroをいろいろな人が使える環境にしていきたい」と技術寄りの人たちに試してもらいたいという。将来的にはオープン化して開発者に使ってもらう、駅のデジタルサインページで使えるようなモジュール化なども想定している。次に登場する同社のコミュニケーションツールがどのようなものになるか注目していきたい。