おそらく短期的には侵略を避けられた可能性はあるが、長期的にはロシアの支配が強まり、結局どこかで衝突していたと思われる。
2014年のクリミア併合後、ウクライナが「中立国」としてNATO加盟を放棄していれば、ロシアの警戒心は和らいだ可能性がある。
フィンランドやスウェーデンが長年NATOに加盟せず中立を保っていたように、ウクライナもその道を選んでいれば、戦争回避の余地はあった。
2014年、ウクライナの親ロシア派大統領・ヤヌコーヴィチが追放され、西側寄りの政権が誕生。
もしヤヌコーヴィチ政権が続いていれば、ロシアの影響力が維持され、武力侵攻はなかった可能性がある。
しかし、親ロシア政権を維持するには国民の意思を無視する必要があり、内戦状態になるリスクも高かった。
2014年のクリミア併合を正式に認め、さらにドンバス地方(東部)をロシアの影響下に置くことを許容していれば、ロシアはさらなる軍事行動を控えたかもしれない。
しかし、これは**「譲歩すれば次も取られる」**という危機感をウクライナ国内に生み出し、独立志向を逆に強めることになった可能性もある。
それでも長期的にはロシアの影響下に置かれる
ロシアの目的は「ウクライナの完全な支配」ではなくても、少なくとも「西側の影響を排除し、自国の勢力圏にとどめること」だった。
ウクライナが従属的な関係を受け入れていれば、当面の戦争は避けられたかもしれないが、
ロシアが政権をコントロールし続ける必要があり、ウクライナの独立は実質的に制限される。
いずれ国内の反ロシア感情が高まり、ロシアの圧力に耐えられなくなったとき、どこかでまた対立が激化する可能性が高い。
つまり、ウクライナはどのみち「ロシアの支配を受け入れる」か、「西側との関係を深めてロシアと対立する」かの選択を迫られ、どちらに転んでも完全な安全は得られなかった可能性が高い。