Mojangは3月24日、人気サンドボックスゲーム「Minecraft」の大規模なビジュアルアップグレード「Vibrant Visuals」を発表した。これはゲーム内の視覚表現をより豊かかつリアルに変化させ、単なる見た目の向上にとどまらず、プレイヤー体験全体の進化を促すものである。

Vibrant Visualsでは、ディレクショナルライティング(directional lighting)、体積フォグ(volumetric fog)、サブサーフェス・スキャタリング(半透明素材を通して光が柔らかく透過する現象)など多数のビジュアル要素が導入され、以下のような変化が見られる。

  • 光と影の表現:ボリューメトリックライティングにより、太陽光と太陽の動きによる変化がリアルに描写される。すべてのブロックが独自の影を落とし、窓越しに差し込む光、水面や金属の反射など、光の演出が格段に向上する。サブサーフェス・スキャタリングにより、葉や草を透過する柔らかな光を実現。暗所では松明などの光源がより明るく周囲を照らし、没入感を高める。
  • 水の表現:周囲の風景をよりリアルに反射し、水の透明感や流れがより自然に表現される。
  • モブやアイテムの視覚表現:暗闇ではクモの目やエンダーマンの目が光り、不気味さを一層際立たせるなど、環境効果にさらなる臨場感が加わる。

こうしたグラフィックス技術は、近年のハイエンド3Dゲームでは一般的に用いられているが、ブロックで構成されたMinecraftの世界に導入されることで、そのギャップがユニークで新鮮な印象を与える。

  • 従来のMinecraftと、Vibrant Visuals導入後の比較

    左が従来のMinecraft、右が「Vibrant Visuals」導入後

Minecraftはこれまで“見た目より創造性”を重視してきたゲームである。そのため、グラフィックの進化に対し、ゲームの世界観やゲーム性が壊れる可能性を懸念するファンが少なくない。その点についてMojang Studiosのクリエイティブ責任者、Jens Bergensten氏は「新しい外観でありながら、(Minecraftの)創造性の原則を守っている」と述べている。

Vibrant Visualsは視覚表現の変更に限定されており、ゲームプレイには影響を与えない。たとえば、モンスターが日光で燃える条件、作物の育成、モブファームの動作、レッドストーン回路の仕組みといった、ゲーム内のロジックやメカニクスは従来どおりである。蜘蛛の目がより赤く輝き、松明がリアルに道を照らし、地底のスカルク系ブロックが幻想的に発光するなど、Minecraftを”雰囲気ゲーム”として楽しめる面は強まるが、それらにプレイヤーの創造性や自由度が損なわれることはなく、より没入感のあるビジュアルでMinecraftを楽しめる。

また、古いワールドとの後方互換性が確保されているため、Vibrant Visualsを使用していないプレイヤーともRealms上で問題なくマルチプレイできる。

Mojangは、Vibrant Visualsによってクリエイター(MODクリエイターやワールドビルダー)にとっても表現の幅が広がることを期待している。反射や光源、空気感といったディテールが追加されることで、建築や演出に新たな可能性が生まれると見られる。

Vibrant Visualsは、まず一部のBedrock Editionデバイスに、初期バージョンのプレビューまたはベータ版が提供される予定である。テスト開始時期や対応機種などの詳細は、公式サイトなどを通じて随時提供していくという。なお、Java Editionへの対応も計画されており、現在その開発が進行中である。