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S級S班の強者からパリ五輪出場組まで…KEIRIN春の注目レース「第9回ウィナーズカップ(GII)」を伊東温泉競輪場で楽しむ

posted2025/03/07 11:00

 
S級S班の強者からパリ五輪出場組まで…KEIRIN春の注目レース「第9回ウィナーズカップ(GII)」を伊東温泉競輪場で楽しむ<Number Web> photograph by More CADENCE/Shutaro Mochizuki

「第9回ウィナーズカップ」は3月20日~23日の4日間にわたって開催される

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近藤隆夫

近藤隆夫Takao Kondo

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歴戦の猛者から台頭する新世代までが集う一戦が近づいてきた。1着回数が多い選手たちが選ばれるこの舞台は、屈指のサバイバルレース。春の到来を感じる現地で、スリルに満ちたバトルを目撃せよ。

「フレッシュ」&「スピーディ」。

 これが「ウィナーズカップ」の魅力だ。

 今大会の出場資格には、1着回数が多いこと、パリ五輪の自転車競技日本代表選手、「ヤンググランプリ2024」出場選手であることが含まれている。よって若く先行力のある自力型選手が多数参戦、従来のグレードレース以上にスピード感溢れる展開が期待できる。

 形式は4日制(3月20~23日)で初日に「一次予選」と選考上位者による「特別選抜予選」が行なわれる。2日目は「二次予選」と特別選抜予選を勝ち上がった選手による「毘沙門天賞」。3日目は「準決勝」3レース、ここでの各3着までが最終日の「決勝」に駒を進めることになる。

 108選手が出場するが、選考基準により上位レーサーが漏れることがあるのも「ウィナーズカップ」の特徴。今年は前年S級S班の佐藤慎太郎(福島/78期・48歳)、山口拳矢(岐阜/117期・29歳)、昨年は郡司浩平(神奈川/99期・34歳)、平原康多(埼玉/87期・42歳)が出場権を得られなかった。高い競走得点を持つも上位のレースで闘い続けていたために1着回数が少なかったからである。

 代わって台頭するのが新世代だ。

 まず注目を集めるのがパリ五輪に出場した太田海也(岡山/121期・25歳)と中野慎詞(岩手/121期・25歳)、昨年の「ヤンググランプリ」を制した纐纈洸翔(愛知/121期・22歳)。メキメキと力をつけてきているこの3人のほかにも121期の気鋭が多数出場、地区の先輩たちを背に果敢に駆けることだろう。ラインが3車ではなく2車の細切れ戦が多くなると予想される今大会で彼らは積極的に動く。打鐘を待たずしての激しい仕掛け合い、スリルに満ちたバトルは必至だ。サバイバルレースの末に121期のホープたちがどこまで勝ち上がれるのかに注目が集まる。

 そして主役となるのは、やはりS級S班の強者たち。

 昨年のグランプリ王者・古性優作(大阪/100期・34歳)、東京五輪代表で前年「ウィナーズカップ」覇者の脇本雄太(福井/94期・35歳)、第1回優勝者の郡司、唯一大会連覇(第5・6回)を果たしている清水裕友(山口/105期・30歳)らだ。さらにS級1班筆頭格、地元の深谷知広(静岡/96期・35歳)がここに割って入る。深谷にとって伊東温泉競輪場は4年前に区切りの300勝を達成した縁起のよいバンク。地元ファンの声援を背に一昨年の「共同通信社杯」に続く5度目のGII制覇を狙う。

 展開に恵まれるのを待つのではなく、自ら展開を作ることができる選手が勝つのが「ウィナーズカップ」。過去8大会を紐解けば優勝者はS級S班か、後にそこに到達する地力兼備の選手である。

 流れを振り返ると初日、2日目は新世代の積極的な走りが目を引き、準決勝には実績豊富な実力者が勝ち進むことが多かった。優勝最有力は脇本とラインを組める利点もある「絶対王者」の古性と見られるが果たしてどうか? 121期の大器、太田と中野が飛躍する大会となるのか?

「ウィナーズカップ」が1周333mの短走路で行なわれるのは今回が初。また伊東温泉競輪場は丘に囲まれているためバンクに風が吹き込みにくく、これらは先行選手にとって大きな利点となる。これまで逃げ切って「ウィナーズカップ」を制した選手は一人もいないが今回は高速レースを堪能した末に、まさかの結末が待っているのかもしれない。

 果たして今年初のGIIレースで波乱は起きるか――。

第9回ウィナーズカップは3月20日から「伊東温泉けいりん」で開催!

 レースの醍醐味は、ライブ観戦でこそ味わえるもの。暖かくなる季節、春の「ウィナーズカップ」は、伊東温泉競輪場へ足を運んでの観戦がオススメだ。

 今年76年目を迎える同競輪場でGIIレースが開催されるのは2020年9月「共同通信社杯」以来4年半ぶり。その時はコロナ禍で入場者数制限もあり盛り上がりを欠いたが今回は違う。

 2018年平昌五輪スピードスケート金メダリスト髙木菜那さんのトークショー、ものまねライブが行なわれるほか、軽自動車や伊東市内ホテルの宿泊券が当たる抽選会など華やかな催しも準備されている。

 また、メインスタンドの売店も「伊東温泉横丁」として2021年9月にリニューアル。昭和の雰囲気が醸され、昔ながらの中華そばが人気だ。入場口付近の「ミカリンサイクルパーク」と名付けられた公園空間は天気の良い日は陽射しが暖かく開放的で、ビギナーにとっても集いやすい場所となっている。

 ガールズケイリンを題材としたテレビアニメ「リンカイ!」の中心舞台でもある伊東温泉競輪場にぜひ訪れてもらいたい。

伊東温泉けいりんが1950年9月に第1回競輪を開催してから75年。競輪の売上は、未来を担う子供たちの教育費に重点を置きながら、学校給食センター建設事業をはじめ、小中学校の電子黒板の設置や幼稚園空調設備の整備など、公共施設の充実に役立てられており、静岡県伊東市の財政運営に大きな役割を果たしている。

競輪とオートレースの売上の一部は機械工業の振興や社会福祉等に役立てられています。

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