(掲載情報について)
2019年7月23日掲載
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)という住宅を皆さんはご存じでしょうか。スマートハウス、エコハウスのようにネット・ゼロ・エネルギー・ハウスも電気代やガス代などの光熱費を節約する住宅です。ここではその特徴やメリットについてご紹介します。
これらの単語は最近テレビやインターネットでよく見かける言葉ですが、その意味をご存じですか?「太陽光発電」とは、敷地内に設置したソーラーパネルで発電する仕組みのことを指します。「スマートハウス」とは、「太陽光発電」などがつくる電力や電力会社からの電力、蓄電池に貯めた電力など、家のエネルギーを“賢く(スマート)”使う住宅のことを言います。賢く使うためにHEMS(ヘムス:ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を利用するのが特徴です。最後の「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」とは、1年間の消費エネルギーより住宅でつくったエネルギーのほうが多い、または差がゼロになる住宅のことです。現在住宅でつくるエネルギーは、太陽光発電が中心です。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)はスマートハウス同様、ムダを省く「省エネ」、太陽光発電などでエネルギーをつくる「創エネ」と、蓄電池に貯める「蓄エネ」、エネルギーの状態を見えるようにする「HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」を組み合わせて活用します。ただしスマートハウスと違うのは、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は先述のように1年間の消費エネルギー≦創エネルギーになる住宅を指します。それだけ創エネルギー量が大きい、または省エネ性が高いといえます。
一次エネルギーとは、天然ガスや石油など、加工せずに自然にあるままの状態で得られるエネルギー。これの消費量には「冷暖房」「給湯」「換気」「照明」に使用するエネルギーが含まれる(その他の家電消費エネルギーは含まない)
日本に限らず、世界の至る所で低炭素社会を目指したネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの推進がなされています。まさに、日常生活において無駄なエネルギーを排し節約に努めることは世界基準となってきています。
さて、日本政府が今後、省エネルギー対策についてどのようなスケジュールで何を進めていくのかを経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー対策課 課長補佐・中村幹さんにお話を伺いました。
政府では、必要性などについて十分に検討した上で、2030年には新築住宅の平均でネット・ゼロ・エネルギーを目指す計画です。
つまり住宅を取得するなら、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスが当たり前になる時代がもうすぐそこまで来ているということになります。
国の支援策を受けて住宅メーカーなどが相次いでネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを商品化し、補助金の公募にも多くの申請が集まっています。
まず必須なのは、電気をつくるための設備。いわゆる再生可能エネルギーを利用した発電としては風力発電や地熱発電なども開発が進んでいますが、家庭において最も一般的なのは太陽光発電システムです。太陽光発電システム自体は補助金の対象外ですが、すでに普及が進んでおり設置コストも低くなっています。
また、都市ガスなどから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて、電気とお湯をつくるエネファームなども有効な設備です。
このほか発電した電気を貯めておく蓄電池システムや、住宅全体や機器ごとのエネルギー使用量を計測してスマホやタブレットなどに表示するHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)などが挙げられます。
設備機器だけでなく、住宅そのものの省エネ化も重要です。断熱材の性能を高めたり、窓にエコガラス(Low-Eガラス)や断熱サッシを設置すると、住宅の断熱性能が高まり、少ないエネルギーでも家全体を快適な温度に保つことができます。また建物内の通風に配慮したり、軒の出を大きくして夏の日差しを遮るといった、機械に頼らない「パッシブ」な省エネ技術を導入するケースも少なくありません。
「日本では北海道を除くと欧州などと比べて気候が温暖なためか、住宅の省エネ化についての理解がまだ進んでいないのが現状です。しかし断熱性能の高い家は建物内の温度差が小さく結露も起きにくいなど、健康にもよいのでぜひ検討してほしいですね」(中村さん)
ゼロエネルギー化にはすごくお金がかかりそう!という印象の方もいると思いますが、太陽光発電システムなどでつくったエネルギーを電力会社に売電し、収入を得ることができます。
初期費用は多少かかりますが、建築費だけで判断せず、長期的な視点でZEH対応住宅と一般住宅にかかる光熱費などのコストを比較すると逆にお得になる場合もあります。
太陽光発電に対する国や都道府県の補助金とは別に、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス建築主に対する補助金制度が経済産業省により発せられました。補助対象となり交付要件を満たす住宅であれば、さらにお得に住宅を取得することができます。補助金の対象となる設備は 「省エネ設備:空調設備・給湯設備・換気設備・照明器具など」「建物の断熱化」「蓄電システム」などが含まれています。
補助金制度にはいくつか種類があり、それぞれ補助金額や採択方式、公募スケジュールが異なります。
興味のある方は各省庁のホームページを見たり、施工会社に相談したりしてみましょう。