「男のポケットかどこかから金属製の筒が落ちたんですよね」

事件が起きたのは14日午後5時すぎ。財務省と桜田通りを挟んだ経産省の駐車場入り口付近だ。

立花氏は5時から街頭宣伝を行なうとSNSで予告しており、立花氏を待ち構えていたユーチューバーや聴衆ら数百人で歩道上はごった返していた。

車で到着した立花氏が「まず、せっかくお越しいただいたんで、しゃべるよりもまず写真撮影を先にさせていただきます」と言って歩道の経産省側に移動し、撮影を始めた直後に異変が起きた。

「撮影の列に並んでいた男が、突然何かを振りかぶった後、立花さんの頭に振り下ろすように見えました。男はもう一度手を振り上げました。そこで周りにいた人がその腕にしがみついて取り押さえたんです。警察の方だったのではないかと思います」

立花孝志NHK党党首を襲撃し、現行犯逮捕された宮西詩音容疑者(撮影/集英社オンライン)
立花孝志NHK党党首を襲撃し、現行犯逮捕された宮西詩音容疑者(撮影/集英社オンライン)
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そう話すのは直近で目撃した女性・Aさんだ。一回目に振り下ろしたものが何かは分からなかったが、男がもう一度振り上げた手には刃物が握られていたという。

「ナタのような形をした刃物でした。もう一瞬のことでした。男は立花さんを襲ったときは何も言葉を発しなかったと思います」(Aさん)

もう一人の直近での目撃者で50代の男性・Bさんも、凶器はナタに見えたと話した。

「男は、写真撮影の列の前のほうに並んでいました。写真撮影は一人あたり5秒とか10秒くらいしかかからないでしょう。男はたぶん5人目くらいの順番で、すぐに撮影の順番がきて、その瞬間に襲い掛かったんです。

手を振り上げるのと同時かその直前に、何かブザーのような音が鳴り響いて、男のポケットかどこかから金属製の筒が落ちたんですよね。手を振り下ろして襲ったのは、私には1回に見えました。

男が襲ったときに何を持っていたかは見えなかったんだけど、その直後に刃物が転がっていて、お巡りさんが3人、携帯電話で写真を撮っていました。刃渡りは15センチ、持ち手の部分は10センチくらいの長さかな。持ち手には広い布が巻いてあった。

血が付いていたかどうかは記憶にないんだけど、刃の部分がキラキラ反射して虹色のような光を放っているように見えました」(Bさん)

現場に落ちていた金属製の筒
現場に落ちていた金属製の筒

現場にはBさんが言うように金属製の筒と小さな血だまりが2か所残されていた。

その場で警察官に取り押さえられ殺人未遂の疑いで現行犯逮捕されたのは宮西詩音容疑者(30)。カーキ色のシャツにリュックサックを背負っていた。立花氏の支持者から「お前何やってんだ!」「名前を言え」と怒号が飛ぶのを感情をうかがわせない表情で無視していた。

「宮西容疑者は警視庁の調べに『殺そうと思いナタを振り下ろした』と殺意を認める供述をしています。取り押さえられた直後には『失敗しちゃった』というようなことを口にしていたとの情報もあります」と警視庁担当記者は話す。