自己肯定感の高い子に育てるにはどうすればいいか。児童精神科医・佐々木正美さんは「小さいころに親に『大切にしてもらった』という経験が、自分自身を大切にしようとする気持ちにつながり、自尊心や自己肯定感を高めていく」という。著書『子育てのきほん 新装版』(ポプラ社)より、一部を紹介する――。(第2回/全2回)
ハートを差し出す人
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子どもはいくらでも抱っこしてあげればいい

国によっても子育ての習慣はさまざまです。日本とよく比較されるのは欧米ですね。たとえば欧米のお母さんは夜赤ちゃんが泣いても添い寝をしない、早くから子ども部屋でひとりで寝かせる、といったものです。

世代によっても考え方に違いがあります。若い世代のお母さんが、孫が泣くとすぐに抱っこをするおばあちゃんに「抱きぐせがつくから困るわ」と苦情を言うこともあるかもしれません。

けれど、こうしたことにあまりとらわれる必要はないと思います。

抱きぐせというのは、どういうものをいうのかよくわからないけれど、だいたいは「甘えて抱っこをせがむ回数が増える」「抱っこしつづけていないと泣く」それによって、親が困るというようなことでしょう。

でも可能な範囲でいくらでも抱っこしてあげればいいと思います。おばあちゃん、おじいちゃんに抱いてもらって喜んでいるのなら、むりにやめさせることはありません。

おばあちゃん子、おじいちゃん子でも心配無用

そもそも「おばあちゃん子、おじいちゃん子」というのは、抱っこされたり、かまってもらったりする回数が父母だけに育てられた場合よりずっと多くなります。親も祖父母も手をかけて育てた子どもというのは、間違いなく、人間関係のコミュニケーションに困難を感じることが少ない。

「おばあちゃん子は三文安い」などと言われたことがあります。親よりも祖父母は孫を甘やかすからわがままになる、といったような意味ですが、乳幼児期におばあちゃん、おじいちゃんにたくさんかまってもらって、抱っこをしてもらうことを「わがままになる」とか「抱きぐせがつく」と心配する必要はまったくありません。