第十二話 『禁断の♡感想件数分析♡』①

＜＜　読者の反応を表す数値について　＞＞

読者の反応を示す数値の代表的なものとして『ポイント数』と『ブックマーク数』が挙げられます。

これまでの考察では『ポイント数』や『ブックマーク数』といった観点からみれば『R-18サイトは、なろう本家と比べて読者の反応を得やすい環境である』ということが明らかとなりました。

しかし読者の反応を示すものとして、もう一つ忘れてはいけない重要なものがあります。

それは『感想』です。

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『感想』は作品に対する直(・)接(・)的(・)な反応であり、作者にとってそれを得ることが執筆のモチベーションに繋がることは間違いありません。

しかし、なろう系サイトにおいて『感想』はブクマやポイントより得難い傾向にあることは確かなようですが、その詳しい実態についてはあまり明らかとなっていません。

なぜなら感想に関するデータはなろう小説APIで取得できるデータに含まれていないため「どこでどのようなやりとりがされているのか」が把握しづらいという事情があるからです。

また「R-18サイトでは、なろう本家と比べてよく感想を貰える」と言った俗説をよく聞くことがありますが、実際にそのことを裏付ける数字はあまり表に上がっておらず、実態が明らかではないというのが現状です。

そこで今回は”なろう本家と比較して、R-18サイトではよく感想が貰える説”が本当に正しいのかどうか？について調べていきたいと思います。

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【　禁断の♡感想♡件数の分析　】

今回は『なろう本家と比較して、R-18サイトはどうなのか？』という事を知ることが目的であるため『なろう本家に投稿されている全作品』および『R-18サイトに投稿されている全作品』を対象に検討を行います。

＜＜　解析データについて　＞＞

□データ収集方法

感想件数のデータはなろう１８禁APIで取得出来るデータには含まれていないため、感想件数のデータを得るためには、実際に小説情報ページに1件1件アクセスして感想件数を確認していくしか方法はありません。

そこで今回は”スクレイピング”というwebページから特定の情報をザァーと抜き出す技術を使って、全数取得を行いました。

□データ取得結果

取得データの内訳（なろう本家）：

2019年5月28日時点でになろう小説APIを全数取得した全６５万６３７２作品分のNコード（作品固有のコード）を元に感想件数を全数取得。

６５万６３７２作品中　６５万６０６５作品の取得に成功（99.9％）

取得データの内訳（R-18サイト）：

2019年5月31日になろう18禁APIを用いて全数取得した全６万３３０４作品のNコードを元に同様に感想件数を全数取得。

６万３３０４作品中　６万３３０４作品の取得に成功（100%)

※なお感想件数データの取得にはとてもつもなく時間が掛かるため、最初に取得したデータと最後に取得したデータでは取得日時に約5日間の差があります。

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＜＜　結果の要約　＞＞

【　「感想0・感想1以上の割合」について　】

まず最初に感想0・感想1以上の作品がサイトごとにどれぐらいの割合となっているのかについて示していきたいと思います。

[　結果　]

・なろう本家

なろう本家は６９%もの作品が感想0作品となっていることが分かります。

ちなみになろうにおける各種0の中でも最も０割合が高いのは「レビュー０の９７％」であり、感想０はそれに次ぐ０割合となっています。

参考：なろうにおける各種の０割合

レビュー０　　９７％　

感想０　　　　６９％

ブックマーク０　５３％

ポイント０　　４２％

なろうにおいて『感想は希少である』ということは、数字の面から見ても確かな事実の様です。

・R-18サイト全体

R-18サイトを全体的に見ると「感想０が５４％、感想１以上が４６％」であり、本(・)家(・)と(・)比(・)べ(・)て(・)も(・)よ(・)り(・)多(・)く(・)の(・)作(・)品(・)が(・)感(・)想(・)を(・)得(・)て(・)い(・)る(・)ということが分かりました。

この結果から『R-18サイトではよく感想が貰える説は事(・)実(・)』ということが明らかとなりました。

R-18サイトではよく感想が貰えるというのもまた数字の面からみて明らかな事実と言えます。

ただしこれまでの考察で見てきたように、R-18サイトと言っても、サイトごとに傾向はかなり異なります。

なので次はサイトごとにより詳しくみていきたいと思います。

・各R-18サイト

　　　　　　　　　　　感想０　　感想１以上

ノクターンノベルズ　　４８％　　　　５２％

ムーンライト（女性）　５６％　　　　４４％

ムーンライト（ＢＬ）　５９％　　　　４１％

ミッドナイトノベルズ　７８％　　　　２２％

サイトごとに分けてみていくと、もっとも感想1以上作品の割合が高いのは『ノクターンノベルズ』であることが分かりました。

『ノクターンノベルズ』では全体の５２％の作品が１以上の感想を得ており、つまり２(・)作(・)品(・)に(・)１(・)作(・)品(・)は(・)な(・)ん(・)ら(・)か(・)の(・)感(・)想(・)が(・)書(・)か(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)ということになります。

これはなろう本家と比較しても圧(・)倒(・)的(・)に(・)高(・)い(・)数(・)字(・)と言えます。

◇

『ムーンライトノベルズ』では女性向けで４４％、BLで４１％の作品が感想１以上を得ている様です。

この数字だけで見ると、「BL」は「女性向け」と比べると若干感想が書かれる割合が低いことが窺えます。

ただ、なろう本家と比較すると、やはり多くの感想を得ていると言えます。

◇

『ミッドナイトノベルズ』は他のR-18サイトと真逆の結果となり、なろう本家と比べても感想０割合が高いと言うことも明らかとなってしまいました……。

やはりミッドナイトノベルズは修羅の民が住まう世界なのかもしれませんね……。

・まとめ

＜＜　ここまでのまとめ　＞＞

R-18サイトは感想がたくさんもらえる説は事実だった！（ミッドナイトノベルズを除く）

もっとも感想１以上作品の割合が多いのは『ノクターンノベルズ』である。

『ムーンライトノベルズ』では「BL」より「女性向け」の方がより感想１以上作品の割合が高い。

ミッドナイトノベルズは……。

＜＜　続くっ！　＞＞

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＜＜　次回予告　＞＞

層別化感想数でみる各種サイトの傾向！

数字で明らかとなる禁断の『感想格差社会』の実態とは！？

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補足：なろう本家におけるジャンル別の感想０作品割合

ジャンル別に見ると『エッセイ〔その他〕』が最も感想0割合が少なく「エッセイを書くと高確率で感想が貰える」ということが分かります。

『歴史』『VRゲーム』『童話』も感想０割合が少なく、この結果から見ると読者総数がどうこうというより「そのジャンルに積極的に感想を書いている人が居るかどうか」がこの違いを生んでいる様に思います。

逆に最も感想がもらえていないのは『アクション〔文芸〕』ということも分かりました。これは少し意外な結果に思えます。