映画のエキストラ募集で行ったら、落ちた。しかし、乗っていったバイクは採用された。しょうがないから徒歩で帰宅した。
これは、就職難の中国で実際に起きた変わった「就活体験談」である。
中国SNS(2月27日)のトレンド入りしたこの「事件」の背後に見え隠れするのは、中国映画製作業界の「暗黙の条件」だ。
採用された「バイク」
ある日、広東省に住む女性は映画(『愛是憤怒』)のエキストラの面接に、愛車の「電動バイク」を乗って駆け付けた。
面接の結果、女性は「落ちた」。しかし、「生活の味がする」ということで、愛車が「セット」の一部として採用されたのだ。
「私のバイクはとてもラッキーだ」と負け惜しみ(?)する女性だが、 「足」を取り上げられてしまったため、彼女は徒歩で帰宅するしかなかったという。
関連トピックスには「おめでとう、今後はバイクのマネージャーになれるじゃないか」といった皮肉たっぷりのコメントが目立つ。
「暗黙の条件」
現在、中国のエキストラ業界における競争は熾烈である。
中国のハリウッドこと、同国最大級の映画村「横店影視城」の場合、毎年のエキストラ新規登録者は10万を超える。しかし、平均的な需要は毎日約3千人ほどで、その時給は10〜20元(約200~400円)と低い。
そして、業界では「電動バイク」や「年代物の自転車」、「特別な小道具」など、シーンに合った衣装や小道具を持参できれば、ポイントアップ、いやエキストラ合否の分け目という暗黙のルールもある。
少しでも、制作コストを下げたいと願う制作チーム。かたや、何とかして採用されたいエキストラ希望者。
しかし、今回の場合、女性は「特別な小道具」を持参していったのに、エキストラ採用に落とされた。
「どんだけ就職難なんだ? 本人よりバイクが先に仕事を見つけるとは…」エキストラに落ちた女性には、同情と慰めが多く寄せられている。
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