コメの価格高騰が続く中、業者間での相対取引価格が記録的な上昇を見せている。農林水産省の発表によると、2025年1月の相対取引価格は、すべての銘柄の平均で60キロあたり2万5927円となり、前月から1262円(5%)上昇した。これは2006年に調査を開始して以来、5か月連続で最高値を更新したことになる。さらに、前年同月比では69%もの大幅な上昇となった。
相対取引価格とは、全国農業協同組合連合会(JA全農)などの出荷業者が、農家から集めたコメを卸売業者に販売する際の価格のことを指す。この価格は、コメ市場の動向を示す重要な指標として注目されている。
今回の価格高騰の背景には、複数の要因が絡んでいると考えられる。2024年の夏に発生した「令和の米騒動」以降、コメの流通量が減少し、需給バランスが崩れたことが大きな要因の一つだと農林水産省はみている。また、猛暑による高温障害や水不足なども影響していると見られている。一方、キヤノングローバル戦略研究所の研究主幹、山下一仁氏は、「需給バランス」についての農林水産省の見方は間違っており、「根本原因には、減反によるコメの生産量減少がある」と述べている。
この異常な価格上昇を受け、政府は対策に乗り出している。農林水産省は2025年2月14日、備蓄米21万トンの放出を決定した。これは流通が滞っている状況を改善するための緊急措置であり、3月下旬から4月上旬には店頭に並ぶ見込みだ。
コメ価格の高騰は、消費者の家計にも大きな影響を与えていて、総務省の調査によると、コシヒカリ5キロあたりの小売価格は2025年1月時点で4185円となり、1年前と比べて約1.7倍に跳ね上がっている。
今後、備蓄米の放出がコメ価格にどのような影響を与えるのか、また、農家や消費者にとってどのような影響があるのか、注視していく必要がある。
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