日本学術会議の歴代会長6人 特殊法人化法案に反対声明

2025/02/19 更新: 2025/02/19

日本学術会議の歴代会長6人が、政府の特殊法人化法案に対して強い懸念を表明し、その撤回を求める声明を発表した。2025年2月18日、東京都の日本記者クラブで開かれた記者会見で、この声明が公表された。

声明を発表したのは、吉川弘之、黒川清、広渡清吾、大西隆、山極寿一、梶田隆章の6氏である。これらの歴代会長は、政府が今通常国会に提出を目指している、日本学術会議を「国の特別機関」から「特殊法人」に移行させる法案について、「政府からの独立性と自主性を損なうことを強く懸念せざるを得ない」と述べている。

記者会見には、吉川氏と山極氏を除く4人が出席した。

この声明は、2020年に当時の菅義偉首相が学術会議の推薦した会員候補6人の任命を拒否したことを発端とする組織見直しの動きに対する反応である。歴代会長が反対声明を出すのは、2023年、2024年に続いて3回目となる。

政府は3月上旬にも法案を閣議決定し、今国会で成立させたい考えを示している。しかし、歴代会長らは、この法案では国の干渉が強まり、日本学術会議の独自性・自主性が保てず、科学者アカデミーとしての責務を果たすことができないとして、撤回を求めている。

2020年、菅義偉首相(当時)が日本学術会議の新会員候補6人の任命を拒否した理由について、明確には述べていないが、「総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から判断した」と述べている。任命拒否された6名の研究者は、過去に、安全保障関連法案、特定秘密保護法案、共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案などに反対の立場を表明してきた点が共通しているとの指摘がある。政府は、日本学術会議が内閣総理大臣の所管であり、首相が会員の人事等を通じて一定の監督権を行使することは法律上可能であるとの立場をとっている。

この問題は、学術の独立性と政府の関与のバランスをめぐる議論を引き起こしており、今後の展開が注目される。

大紀元日本の記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
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