日本の富裕層・超富裕層 過去最多の165万世帯に増加 格差拡大

2025/02/18 更新: 2025/02/18

野村総合研究所は2025年2月13日、日本の富裕層と超富裕層の世帯数が合計約165万世帯に達し、その純金融資産の総額が約469兆円に上るとの推計結果を発表した。

この調査は、預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯が保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた「純金融資産保有額」を基に行われた。総世帯を5つの階層に分類し、各階層の世帯数と資産保有額を推計している。

調査結果によると、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」と、5億円以上の「超富裕層」を合わせた世帯数は165.3万世帯となった。これは2021年の148.5万世帯から11.3%の増加となる。内訳を見ると、富裕層が153.5万世帯、超富裕層が11.8万世帯であった。

野村総合研究所によれば、2023年の富裕層・超富裕層の合計世帯数は、この推計を開始した2005年以降、増加傾向を続けているという。特に2013年以降は、富裕層と超富裕層のそれぞれの世帯数が一貫して増加している。

また、富裕層・超富裕層が保有する純金融資産の総額も増加を続けている。2021年から2023年にかけて、富裕層の純金融資産総額は29.0%増加して334兆円に、超富裕層は28.6%増加して135兆円になった。両者を合わせた総額は28.8%増加し、469兆円に達した。

この増加傾向の背景には、株式や投資信託などの資産価値の上昇が挙げられる。リスク性資産の比率が高い富裕層・超富裕層の保有資産額が増加したことに加え、準富裕層の一部が富裕層に、富裕層の一部が超富裕層に移行したことも要因とされている。

さらに、2023年は株価の急騰や円安の進行により、リスク性資産や外貨建て資産の価値が大きく増加したことも、富裕層・超富裕層の世帯数および純金融資産総額の伸長に寄与したと考えられている。

この調査結果は、日本の富裕層拡大の傾向を示唆する。一方で、国民の平均所得額は長期間にわたって減少してきており、富裕層と一般世帯との格差が拡大している可能性も指摘されているものとして注目される。

今後、コロナ禍からの経済回復が進む中、富裕層・超富裕層の動向が日本経済に与える影響について、さらなる分析が求められる。

大紀元日本の記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
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