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UNDER30 Award受賞の注目起業家と語らう夜〜次世代リーダーの描く未来像とは〜 AI Startups Career Night #8(全6記事)

学生起業し3年で1億円調達 人手不足の中小工場を救う、筑波大発ロボットスタートアップの展望

AI関連の専門家や起業家が最先端のトピックについて講演を行う、AI Startups Career Night。2025年1月の第8回では、「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出された株式会社Closer CEO 樋口翔太氏、株式会社Yanekara COO 吉岡大地氏、株式会社ACES CEO 田村浩一郎氏が登壇。 本記事では中小規模の工場にも導入できる産業用ロボットサービスを展開する、株式会社Closer 樋口氏のプレゼンをお届けします。

パソコンのようにロボットを大衆化させたい

司会者:それでは、メインのプレゼンに移れたらと思っています。今日登壇いただく3名の方ですね。Closerの樋口さんと、Yanekaraの吉岡さんと、ACESの田村さんになります。

まずは簡単に5分、10分ぐらい、おのおのから事業紹介していただけたらなと思っていますので、最初は樋口さんからお願いします。

(会場拍手)

樋口翔太氏(以下、樋口):株式会社Closerといいます。弊社は、中小規模の工場の生産ラインを自動化するロボットパッケージを作っているスタートアップになります。

会社は、茨城県つくば市の、筑波大学の近くにあるんですけれども、自分が筑波大学出身で、筑波大学大学院の修士2年生の時に創業しました。今は4期目に入っています。

弊社のミッションは、「パーソナルロボットを実現する。」です。昔は一部の方にしか使えなかった産業コンピューターが、小型化や低コスト化して、いろいろな方々が使えるようになったように、ロボットもそうしていきたいという思いがあります。

今は、産業ロボットは人型ロボットとかいろいろ出てきて、SNSではよく見るかもしれないですけど、実際に現場を見るとぜんぜん自動化されていない状況です。自動車とか電機・電子産業はロボットが導入されているんですけれども、そうじゃない業界はなかなかロボットが導入されていないところがあります。

そういった、食品、医薬品……三品産業(食品・化粧品・医薬品産業のこと)とか言われるところだったりとか、中小の工場にも導入していきたいというところで、パーソナルコンピューターのようなロボットを作っていきたい思いがあります。

幼少期からの興味が起業のきっかけに

樋口:私自身は、もともと新潟の長岡高専出身で、そこから筑波大学に行きました。幼い頃からずっとロボットを作っていたんですけど、この経験をより社会に活かしていきたいという思いで会社を立ち上げました。

そういったロボット製作をずっとやってきた若いメンバーだったり、IPA(情報処理推進機構)の未踏事業(独創的なアイデアと優れた技術を持つ25歳未満の若いIT人材を発掘・育成するプロジェクト)に採択されているメンバーだったり、最近では生産のほうで自動車とかのメーカー出身のメンバーがそろってきています。

今、創業して3年経って、まだシードラウンドで1億円を調達した段階なんですけども、最近はようやくロボットの導入が進んでPMF(プロダクト・マーケット・フィット = 顧客が満足する商品を最適な市場で提供できている状態)してきたかたちです。

DEEPCOREさんは、リード投資家としてシードラウンドに出資をいただいております。工場というのは、この動画や写真のように、想像以上に手作業に依存しているのが現状でして、こういう単純作業だったり、けっこうつらい作業というのは、人がなかなか集まらない状態になってきています。

特に工場は都心よりは地方にありますので、売上を上げたくても人が集まらなくて生産力を伸ばせないところがあります。

やはり産業用ロボットは自動車や家電の成長に伴ってできた産業ですので、中小規模の工場や食品工場になかなか入れない課題があります。

産業用ロボットの導入課題を解決

樋口:ロボット産業には大きく分けて4つの課題があります。1つが、自動車・電機・電子産業であれば、その会社が独自で生産ラインを立ち上げるレベルです。

でも、自動化が進んでいないところはロボットの人材が不足していたり、大型投資が困難だったり、1つのラインで複数の品種を作ったりとか。そもそもロボットが大きすぎて製造ラインに入れられないといった課題を解決するロボットを作っています。

1つ目が、製品が出来上がった後の包装をやって、その後の段ボールを積み上げるという、最後のほうの作業を自動化する2つのパッケージを作っています。両方とも、「つかんで置く」といったコア技術をもとに展開しています。

特徴としては、同じハードウェアでもソフトウェアをいろいろと変えることで、1つの工場だけではなく、幅広い工場に展開していくところをターゲットにしています。1つ目の「小袋移載ロボット」は、バラ積みのコンテナカートをつかんで置くみたいなもので、いろんなところでやられています。

具体的にはざるそば弁当の、麺つゆとかワサビとか海苔とか、いまだに手作業で詰められているところを自動化したいと考えています。

あとは、段ボールを積み上げる工程もかなり手作業に依存しているので、人と同程度のサイズ感のところに入れるような、簡単に導入できるロボットを作っています。

日本の強みを活かし、世界で戦えるプロダクトを目指す

樋口:今、特に引き合いがあるのは、この段ボールを積み上げるロボットです。いまだにこういったロボットは、座標を指定して動作を覚え込ませる、いわゆるロボットティーチングと言われる技術で導入されているのが一般的です。

これは段ボールとパレットのサイズを入力するだけで、自動で積み付け方を計算し、経路も自動生成してくれる機能を作っています。

トラックにロボットを載せて、現場に設置して2〜3時間でデモができてしまうようなロボットを実現することができまして、こんな感じでシームレスに導入のためのデモができるロボットは、今までなかったのかなと思っています。

いろいろなスーパーとかに行っても見るようなレベルの企業の製造ラインでも手作業に依存しています。

大手企業の本当に一部の、ポテトチップスとか調味料は完全自動ラインがあるんですけど、けっこうコンビニやスーパーで売られているものでも手作業で積まれたり包装されたりというのが現状ですので、大手から中小まで、特にその中の中小規模ラインがうちのターゲットになっています。

最後に、特に日本は産業用ロボットが非常に強いので、町工場で簡単に部品などを作ってもらえます。そういった日本ならではの強みやアセット、ネットワークを活かしながら、再び世界と戦える産業やプロダクトを作っていきたいと考えております。以上で終わります。ありがとうございました。

(会場拍手)

司会者:ありがとうございます。ロボット関連で何かあったらCloserということで、この後いろいろ聞いていただけたらと思っています。

樋口:そうですね。ロボットのソフトウェアエンジニアなどの採用を強化しているので、もし興味があったらお声掛けいただけるとうれしいです。

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