近年は、物価の高騰や共働きの一般化などで週末にまとめ買いをする人が増えており、それにともない冷蔵庫の大容量化が求められています。そのいっぽうで、空間の利用効率を意識する人も多く、特にシステムキッチンから飛び出さない薄型タイプの人気も上昇。そうしたニーズを受け、東芝の冷蔵庫「VEGETA(ベジータ)」のフラッグシップモデルが約10年ぶりにフルモデルチェンジしました。2025年4月中旬発売予定の「XFSシリーズ」3機種を紹介しましょう。
「XFSシリーズ」には、まとめ買いにも対応する大容量タイプ「GR-Y640XFS」「GR-Y600XFS」と、システムキッチンにすっきり置ける奥行き65cmの薄型タイプ「GR-Y540XFS」の3機種が用意されています。大容量タイプ「GR-Y640XFS」「GR-Y600XFS」は従来モデル(2024年モデル)と同じ本体幅・奥行きのまま容量を40L以上アップ。薄型タイプ「GR-Y540XFS」は、本体幅は大きくなったものの奥行きを薄くしながら大容量化を実現しました。
本体サイズは、容量643Lの「GR-Y640XFS」が685(幅)×745(奥行)×1,855(高さ)mm、595Lの「GR-Y600XFS」が685(幅)×699(奥行)×1,855(高さ)mm、543Lの「GR-Y540XFS」が685(幅)×650(奥行)×1,855(高さ)mm。市場想定価格は「GR-Y640XFS」が46万円前後(税込)、「GR-Y600XFS」が44万円前後(税込)、「GR-Y540XFS」が42万円前後(税込)です
「XFSシリーズ」の前モデル(2024年モデル)にあたる機種(FZSシリーズ)。「GR-Y640XFS」は前モデル「GR-W600FZS」と比べ容量が43Lアップ、「GR-Y540XFS」は前モデル「GR-W550FZS」と比べ容量が45Lアップ、「GR-Y540XFS」は前モデル「GR-W510FZS」と比べ幅が30mm広く、奥行きが49mm薄くなりながら容量は36Lアップしています
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「XFSシリーズ」の大容量タイプは2013年に発売された「GR-F56FXV」とも同じ本体幅・奥行きで、容量を87Lアップ。同じ設置スペースで大容量の冷蔵庫に買い替えられます
薄型&大容量化した「GR-Y540XFS」と前モデル「GR-W510FZS」をキッチン横に設置した様子。前モデルは奥行きが699mmだったので、システムキッチンから少し飛び出ています
少し斜めから見ると、奥行き650mmと699mmの差は明確。「GR-Y540XFS」は本体幅が685mmですが、システムキッチンの面と揃えて設置できます
冷蔵庫は外部からの熱の侵入を防ぐために、外側の内側に断熱材を配置しています。東芝はウレタン断熱材と真空断熱材を採用していますが、「XFSシリーズ」は背面を真空断熱材のみの構成に変更。側面も真空断熱材の被覆割合を限りなく増やすことで薄型化しています。「GR-Y640XFS」の場合、前モデルと比べ最大約40%薄壁化したそう。さらに、庫内を冷やす冷却ユニット(冷却器やファン)を小型化し、冷気の通り道の幅をスリム化することで本体幅・奥行きを変えずに容量を40L以上増量した大容量タイプと、奥行き65cmながら543Lの薄型タイプを実現しました。
通常、ウレタン断熱材と真空断熱材の2つを配置していますが、「XFSシリーズ」は背面(写真左側)にウレタン断熱材を使わない構成を採用。これは東芝だけの構成だそう。なお、真空断熱材の断熱性能はウレタンよりも高いため、性能が落ちることはありません
東芝の450L以上の冷蔵庫のほとんどは冷蔵ゾーン用と冷凍ゾーン用の2つの冷却ユニットを搭載しています。その2つの冷却ユニットを小型化。「GR-Y540XFS」の場合、前モデルと比べ冷却器の体積が約32%減しているそうです。もちろん、小型化しても現行モデル以上の冷却性能を維持しているとのこと
風が通る開口の形状や面積を最適化することでダクトをフラットでスリムにできたそう。「GR-Y640XFS」の場合、前モデルと比べ約45%のダクト幅のスリム化を実現
冷蔵室にあるチルドルームに、食材が凍る寸前の温度で凍らせずに保存する「Deliチルド」モードを新たに搭載。低温で保存するため、菌の繁殖が抑えられ、冷凍しないので解凍の手間や味・食感の変化も少なくて済みます。作り置きのおかずやあまったごはんを約7日間、おいしい状態のまま保存できるそう。
チルドルームは2段構造。上段は一般的なチルドルームで、下段を「Deliチルド」モードに設定して使えます
炊飯器で作った炊き込みごはんを冷凍と「Deliチルド」モードで7日間保存し、電子レンジで解凍したもの。冷凍保存したほうは乾燥して食材が縮んでいます
同じように、煮物を冷凍と「Deliチルド」モードで1日保存し、電子レンジで温めたもの。冷凍保存したほうはこんにゃくやにんじんの形状が崩れており、れんこんは変色しています。実際に食べてみても食感の差は歴然。「Deliチルド」モードで保存したほうがれんこんのシャキシャキ感やこんにゃくの歯ごたえがあり、にんじんの甘みや香りも強く感じました
なお、下段のチルドルームは「Deliチルド」のほか、「氷結晶チルド」と「解凍」の3モードに切り替え可能。調理したものの保存は「Deliチルド」モード、生鮮食品の保存は「氷結晶チルド」モードというように、保存する食品に合わせて使い分けましょう
また、下段のチルドルームが2つに分割されているのもポイント。片側のドアを開けるだけで、チルドルームから食材を取り出せます。
片側だけ開けて取り出せるので、省エネ性にも貢献します
大容量化するだけでなく、庫内に入れたものを整理しやすく、取り出しやすいように工夫されています。
棚の高さを7段階で調整できるようにし、庫内を照らすLEDが改良されました。
冷蔵室の最上段に入れる際にじゃまにならないようにLEDはフラットな形状。さらにLEDの数を従来モデルの約3倍に増やし、光源を拡散するシェードを新たに採用することで奥まで見やすくなりました
食品の高さに合わせて棚の位置を7段で調整可能。3段目の棚は、前側を取り外して重ねて収納できます。40通りのレイアウトが作れるそう
ワンタッチでドアポケットの高さが変えられる「フリードアポケット」も継承
従来モデルにも搭載されていますが、冷蔵室のドアはタッチオープン式。下の動画のように、ドア下部のスイッチのある部分をタッチするだけで開くので、両手がふさがっているときに役立つでしょう。もちろん、手動でもドアを開けられます。
野菜室は従来モデルと同じ「もっと潤う 摘みたて野菜室」。0.0004μm以下の細かい水蒸気粒子だけを通す「ミストチャージユニット」を搭載しているので、乾燥の原因となる風を防いで潤いたっぷりの冷気だけが野菜室に送り込まれます。さらに、野菜などから出るエチレンガスを分解することで野菜の劣化を抑制。ビタミンCやβ-カロチンなどの栄養素がアップする効果もあるそう。
冷気が流れてくる部分に「ミストチャージユニット」を配置。風を防ぎつつ、水分を多く含んだ冷気だけを送り込むので、下の動画のように高湿度状態で野菜の鮮度が持続します
一般的な「真ん中野菜室」レイアウトの冷蔵庫は製氷室の下に配置されていますが、東芝は冷蔵室の下に配置しているのもポイントです
野菜室の底には「おそうじ口」が設けられているので、この口を開けて野菜くずなどを出せます
そして、野菜室に入れて使用する「使い切り野菜BOX」が片手でも開けられる構造に変わりました。
従来の「使い切り野菜BOX」は両手で開ける仕様でしたが……
片手で簡単に開けられる仕様に一新
ちなみに、「使い切り野菜BOX」には「もっと潤う 摘みたて野菜室」と同様に「ミストチャージユニット」を搭載しているので、ボックス内の湿度も最適にコントロールされます。カットした野菜などは、野菜室にそのまま入れておくより「使い切り野菜BOX」に入れたほうが鮮度が長持ちするそう。
野菜室に入れたカット野菜と、「使い切り野菜BOX」に入れて野菜室で保存したカット野菜。保存期間は7日間ですが、「使い切り野菜BOX」に入れたほうはカットしたばかりように変化も変色もしていません
当然、冷蔵室で保存するより、野菜室+「使い切り野菜BOX」で保存したほうが鮮度がキープできます
前モデル「FZSシリーズ」では2段だった下段冷凍室が3段構造になりました。3段目は冷凍食品などを立てて収納できる深さがあるので、たっぷり収納できるうえ、整理しやすいでしょう。
下段冷凍室の容量は「GR-Y640XFS」が133L、「GR-Y600XFS」が122L、「GR-Y540XFS」が110Lと、従来モデルよりも大きめに構成されています
下段冷凍室の上に製氷室と上段冷凍室を配置。上段冷凍室では強力な冷気で食材を素早く凍らせる「おいしさ密封急冷凍」が使えます