ここ最近、ステイホームでテレビを見る時間が増えている人が多いようです。ならば、これを機に改めてプッシュしたいのが、一部のレコーダーやテレビに搭載される「全録」(ゼンロク)=全自動録画機能。AV家電に詳しい人にとっては以前からある当たり前の機能ですが、筆者の周りの主婦友だちと話していると、意外とその存在自体を知らない人もまだまだ多い模様。全録機能について説明すると、「そんなに便利なものがあるの?」と驚かれることもよくあります。
そうです、全録って便利なんです。誰しもが1度使ったらそれがない生活には戻れない(はず)。今回は、家事の合間に全録ライフを満喫しているイチ主婦(筆者)の目線で、最近特に実感する全録の魅力や、価格.comで買える対応機器の種類をまとめてご紹介します。
「全録」とは、地デジやBS/CSなど、複数のテレビ放送チャンネルを同時に全自動録画し続ける機能のこと。一般的には、地上波チューナーを6チャンネル以上搭載する製品を「全録」と言います。たとえば7chの地上波チューナーを搭載する全録機対応レコーダーを使うと、NHK+NHK Eテレ+民放キー局5chの地上波7chを24時間ずっと録画しておくといったことが可能になります。
なので、全録機器を持っていると、放送していることを知らなかった番組でもあとからさかのぼって自由に視聴できます。予約録画機能を使う手間もないですし、自分の人生から「見たいテレビ番組を見逃す」という失敗がほぼなくなります。
これ、1度体験すると本当に便利。我が家では、のちほど紹介する東芝の4Kテレビ「REGZA」に搭載される全録機能「タイムシフトマシン」を使っているのですが、はっきり言ってうちの家族はもう一生、全録生活から抜け出せないです(断言)。
筆者宅で使用している「REGZA」の場合は、テレビ付属リモコンの「過去番組表」ボタンを押すだけで、自動録画された過去の番組一覧を表示させて、すぐに視聴することができます
過去のテレビ放送をあとからさかのぼって視聴できるということは、「決まった放送時間にテレビの前にいなくてはならない」という、放送視聴ならではの縛りがなくなるわけです。
我が家へ遊びに来た主婦友だちに、「家事の合間の空いた時間に、見たい番組を見られる」ということを伝えると、大体感動されます。わかります。ひとり暮らしならいざ知らず、仕事をしながら家事をしたり、子育てで忙しかったりすると、自分が自由にテレビを見られるタイミングってそこまで多くはありません。
仕事、趣味、自分の生活に関係する番組や、好きな芸能人が出ている番組、放送後にSNSやネットニュースで話題になっている番組……日々の生活の中でふと時間ができたときに、それらをまとめて見られるのがすごく便利なのです。特に2020年〜2021年は、コロナ関連でチェックしたいニュースや特番も多く、放送後にSNSなどで知った番組をあとから視聴するのに役立っています。
また最近よく思うのは、全録生活をしていると、「Netflix」などの映像配信サービスと同じ感覚でテレビ放送を見ている自分がいること。自由なタイミングでテレビ番組を視聴できるという全録の特徴は、映像配信サービスの使い勝手と近いわけです。配信コンテンツにアクセスするのと同じ感覚で、テレビ番組も視聴できちゃうというわけ。映像配信が当たり前になった今だからこそ、全録機能の魅力を改めて実感します。
テレビリモコンの「過去番組表」ボタン(左)を押して自動録画された過去の番組を視聴。その次には「Netflix」ボタンを押して(右)映像配信サービスを楽しむ。全録コンテンツも配信コンテンツも、同じ感覚でスムーズにアクセスできちゃいます
<余談ですが……>
全録ユーザーあるあるとして、実家に帰ったときや旅行先のホテルで悲劇が起こりがち……というのがあると思います。実家に帰ったとき、放送済みの番組を見ようとテレビをつけて「しまった、実家は全録対応してないんだった……」と愕然とした経験、筆者は1度や2度ではありません(笑)。それくらい、全録は生活の中にあって当然なものになります!
というわけで、あるとすごく便利な全録機器なのですが、選ぶときに2点ほど確認すべき点があるので説明したいと思います。
ひとつは、放送受信チューナーの搭載数について。詳しくは後述しますが、全録機器にはいくつか種類があり、製品によって搭載される放送受信チューナーの数が異なります。これにより、全録できる最大チャンネル数が8ch分、7ch分、6ch分の製品がそれぞれあるのです。
我が家のREGZAの場合、全録できるのは最大6ch分まで。なので、NHK 2ch+民法キー局5chのうち、Eテレを外して残りの6chを全録する設定にしています。先ほど「見たい番組を見逃すという失敗が“ほぼ”なくなる」と記載しましたが、我が家ではEテレの番組だけ見逃す場合もあります(笑)
もうひとつは、内蔵HDDの容量。全録機器で自動録画されるテレビ番組は、HDD容量の上限を超えると、古い録画データから自動的に上書きされていく仕組みになっています。なので、できるだけ大容量のHDDを選んでおくべき。大体、製品のパッケージやカタログに、「最大○日分」「最大○○時間分」といった感じで番組を保存できる目安が記載してあります。全録レコーダーを使う場合は、別売の外付けHDDを接続して容量を拡張するという手もあります。
写真はパナソニックのUltra HD Blu-rayレコーダー「DMR-4X1000」の背面端子部。通常録画とチャンネル録画のHDD容量をそれぞれ増設できるように、USBポートを2つ備えています
なお、録画時に低画質モードにするか高画質モードにするかで、保存可能な日数は変わってくるので注意が必要。高画質モードにすると、製品パッケージ等に記載されている保存目安期限より短くなる場合もあります。HDDの容量対策としては、自動録画を有効にする時間を調整するのもよいでしょう。朝から晩まで24時間録画するのではなく、毎日AM8時〜AM0時まで時間を限定して録画するとか、平日5日間は夕方以降しか録画しないとか、いろいろな録画設定を工夫できます。
たとえば、2TBのHDDで「平日:PM19:00〜翌日AM1:00/土日:AM8:00〜翌日AM1:00」の設定にしたところ、約8〜10日分を保存しておくことが可能になりました
ここからは、価格.comで買える全録対応機器の種類をご紹介します。大きく3ジャンルに分けて、それぞれ代表的なモデルをピックアップしてみました。
全録機器の選択肢と言えば、まずオーソドックスなのはレコーダー製品。なお、搭載される放送受信チューナーの数は機種によって異なり、地デジとBS/CSをあわせて最大6ch分、7ch分、8ch分を自動録画できる機種がそれぞれあります。特に「地上波をあまさず全録して楽しみたい!」という人は、最大7ch以上を全録できる製品を選ぶといいでしょう。上述の通り、別売の外付けHDDを接続すれば、容量を拡張することもできます。
パナソニックが展開するUltra HD Blu-rayレコーダーのうち、「全自動DIGA」をうたうのが全録対応機種です。ここでご紹介する「DMR-4X1000」は、10TBのHDDを内蔵するハイグレードモデル。放送受信チューナーは、全録機能専用の地デジ(専用)×5、地デジ/BS/110°CS×3、全録/通常録画兼用の地デジ/BS/110°CS×2、BS 4K/8K×1、通常録画用の地デジ/BS/110°CS×1、 BS 4K/8K×1を搭載し、地デジとBS/CSを最大8chまで全録できます(BS/CSは最大3chまで選択可)。保存期間の目安は、ハイビジョン放送の場合で最大8chを28日間分(15倍録モードの場合)。そのほか、独自のエンコーダー技術により、新4K衛星放送を高精細で長時間録画(1chのみ)することも可能です。
「レグザタイムシフトマシン」シリーズは、東芝独自の全録機能「タイムマシン」を搭載するBlu-rayレコーダーです。ここでご紹介する「DBR-M4010」は4TBのHDDを内蔵するモデルで、高画質化技術「クラウドAI高画質テクノロジー」を搭載するのが特徴。放送受信チューナーは、全録機能専用の地デジ×4、BS/110°CS×3、全録/通常録画兼用の地デジ/BS/110°CS×3を搭載しており、地デジ7chとBS/CS 6chから最大7chを全録できます。また、6チューナーは全録用、1チューナーは通常録画用といったように割り当てを変えて組み合わせることも可能。全録する場合の目安期間は、公式で約15日間分とアナウンスされています(6ch分の場合)。
ちょうどテレビを買い換える時期が来ている人なら、全録機能に対応したテレビを購入するのもアリ。この場合は、全録機能「タイムシフトマシン」に対応する東芝のテレビ「REGZA」シリーズが候補になります。テレビの背面に装備されているタイムシフトマシン用のUSBポートに、別売の外付けHDDを接続して、テレビのタイムシフトマシン設定をONにすれば全録が可能に。外付けHDDはテレビの背面に置くことになるので、ほとんど場所を取らないのがメリットです。使っていると、テレビ単体で全録しているような感覚になります。
REGZAシリーズには有機ELモデルと液晶モデルがありますが、いずれにも全録対応機種をラインアップしています(なかには非対応の機種もあります)。なお、全録できるチャンネル数はテレビ側の搭載チューナー数に依存します。ここでご紹介している有機ELモデル「X9400」シリーズと液晶モデル「Z740XS」シリーズの場合は、地デジ×9、BS/110°CS×3、BS4K×2を搭載しており、地デジ最大6ch分をタイムシフトマシン機能で録画可能。全録した番組を保存できる時間の目安は、ハイビジョン番組の場合で約80時間分とアナウンスされています(レグザ純正USB-HDD「THD-500D2」を使用して、地上デジ放送のHD番組(17Mbps)をまるごと録画した場合)。
(※2022/1/8追記:タイムシフトマシン録画可能な放送の記載に一部誤りがありましたので、記事を訂正いたしました)
「自宅のテレビを全録環境にしたいけれど、今使っているレコーダーやテレビの買い換え時期はまだ先なんだよなあ……」という人も多いでしょう。そんなときにうれしいのが、全録非対応のテレビに接続して使える全録対応HDDです。手持ちのテレビに追加すれば、気楽に全録生活をスタートできます。
東芝の全録機能「タイムシフトマシン」に特化した2TBのテレビ用HDDです。Blu-rayドライブは非搭載。放送受信チューナーは、全録専用の地デジ×4、BS/110°CS×3、全録/通常録画兼用の地デジ/BS/110°CS×2を搭載しており、地デジとBS/CSから最大6ch分を約1週間分録画できるとアナウンスされています。価格.com最安価格で5万円を切る価格帯で手が届きやすいうえ、東芝製のテレビではなくても使えるのが超便利。
というわけで、今だからこそ改めて実感する「全録の魅力」をテーマに紹介してみました。ネットを見ていると「全録機器を買ったら生活が変わった」という人も結構多いのですが、これは決してオーバーな表現ではありません。昔と比べれば娯楽の種類が多くなったこともあって、「テレビ離れ・視聴者離れ」とよく言われる最近ですが、自分の好きな時間に視聴できるのであれば、なんだかんだで見たい番組は多くなってくるのです。それに、今まで知らなかった番組を発見したり、新しく好きなタレントができたりすることも。ぜひとも全録生活始めてみませんか。