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今度こそ「素手もほこりも、ぜったい禁止」にしたら…なんと、大量に降り注いできた隕石から「核酸の材料」が見つかった

右手型と左手型のアミノ酸

タンパク質をつくるのには20種類のアミノ酸が使われますが、そのうちグリシン以外の19種類のアミノ酸は、鏡に映すと別の構造の分子になる「鏡像異性体」を持っていて、左手型と右手型があります(図「アミノ酸の鏡像異性体」)。両者は左右逆になった鏡合わせの関係にありますが、化学的な性質はほぼ同じです。

【図】アミノ酸の鏡像異性体アミノ酸の鏡像異性体

しかし、地球生物がタンパク質を合成するときはなぜか、左手型のアミノ酸のみを結合させています。両者を混ぜてしまうと、アミノ酸がつながったものはできますが、タンパク質のような球状の構造をとったり、酵素として働いたりできなくなるのです。どのようにして地球生物が左手型のアミノ酸のみを選び出しているのかは、生命の起源研究において大きな問題となっています。

GC/MS法による分析では、アミノ酸の右手型と左手型の比率もわかります。マーチソン隕石中のアミノ酸(グリシンなどの鏡像異性体を持たないものは除く)を分析した結果、地球上にほとんど存在しない右手型が、地球上に大量にある左手型とほぼ同量、含まれていることがわかりました。このようなものを「ラセミ体」といいます。このことから、隕石は宇宙起源のアミノ酸を含んでいることが確かになったのです。

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一方、同じ年に落下したアエンデ隕石も炭素質コンドライトでしたが、分析の結果、アミノ酸含量は非常に少ないことがわかりました。炭素質コンドライトの中にも、アミノ酸の多いもの、少ないものと種類があったのです。

また、このアミノ酸の量の大小は、隕石のもとになった小惑星がたどってきた歴史によることも、のちにわかってきました。南極で収集された炭素質コンドライトにも、アミノ酸含量が多いものはいくつか存在し、隕石中の有機物研究で活躍しました。

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