このページの本文へ

松本典子の「はじめよう!Azure Logic Apps/Power Automateでノーコード/ローコード」 第46回

繰り返しメールを送信する手間を省きながら、確実にメール送信できる

SharePointリストとExcelを活用して、効率的な「お知らせメール」送信フローを作ろう

2025年02月04日 11時00分更新

文● 松本典子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 こんにちは、Microsoft MVP(Business Applications)の松本典子です。

 日々の業務の中では、多数の関係者にお知らせを一斉通知する場面があります。日常的な連絡や軽いリマインダーであれば、Teams通知などのチャットツールで手軽に済ませることができますが、もっと確実に当人が見るよう通知したい内容もあると思います。そうした通知がたびたび発生すると、手間がかかって面倒でもあります。

 今回は、SharePointリストに「お知らせ」内容を登録するだけで、Excelで管理している送信者リストにメールが自動送信されるフローを作ってみます。この仕組みを使えば、手作業の手間を省きながら、対象者への確実な通知が実現できます。

1. 事前準備

 お知らせを投稿するためのSharePointリストを作成しておきます。

作成したSharePointリスト

 筆者は「NotificationList」という名前でSharePointリスト作成しました。このリストには、「お知らせ内容」と「送信日」の列を作成します。

列の追加、列の表示と非表示

 SharePointリストの列作成時の注意点については、第44回の「1. 事前準備と注意点」に記載していますので、そちらも参考にしてください。IDとタイトルの列は、「ビューの列の編集」でチェックを入れて表示します。

 (1)お知らせ内容
   種類:複数行テキスト
   その他のオプション:拡張リッチテキストを使用を「はい」に変更
 (2)送信日
   種類:「日付と時刻」を選択
 (3)列の表示と非表示を切り替える
   ID、タイトル、送信日にチェックを入れる

 以上の内容のSharePointリストを作成しておきます。

2. 今回作成するワークフロー

今回作成するワークフロー

 今回、Power Automateで作成するワークフローは上図のようになります。

 SharePointリストにお知らせを新規登録すると、それをトリガーとして、Excelの送信者リストにあるメールアドレスにメールを自動送信します。

 なお、今回はクラシックデザイナーの画面で説明していますが、モダンデザイナーでも同じようにフローを作成できます。

2-1. トリガーの設定

 トリガーには、「SharePoint」コネクタの「項目が作成されたとき」トリガーを利用します。このトリガーは、指定したSharePointリストに新規アイテムの追加があった際に軌道します。

 検索窓に「SharePoint」と入力し、SharePointコネクタをクリックしたうえで、トリガー一覧から「項目が作成されたとき」を選択します。

トリガーの設定

 (1)サイトのアドレス:「1. 事前準備」で作成したSharePointリストがあるサイトを選択
 (2)リスト名:「1. 事前準備」で作成したSharePointリスト名を選択

2-2. アクションの設定:表内に存在する行を一覧表示

 今回は、以下のような「送信者リスト(Excelファイル)」を利用します。なお、クラウドフローで利用可能なExcelに関しては第45回で解説していますので、そちらも参考にしてください。

Excelで作成した送信者リスト

 検索窓に「Excel」と入力し、「Excel」コネクタをクリックします。アクション一覧から「表内に存在する行を一覧表示」を選択します。

アクションの設定:表内に存在する行を一覧表示

 (1)場所:送信者リスト(Excelファイル)を保存している場所を選択(OneDriveまたはSharePoint)
 (2)ドキュメント ライブラリ:「OneDrive」(またはSharePoint)を選択
 (3)ファイル:送信者リストのパスを選択
 (4)テーブル:テーブル名を選択

2-3. アクションの設定:メールの送信 (V2)

 最後に、送信リストのメールアドレス宛に、メールを送信するステップを作成します。

 検索窓に「Outlook」と入力し、「Outlook」コネクタをクリックし、アクション一覧から「メールの送信 (V2)」を選択します。

アクションの設定:メールの送信 (V2)

 すべての項目で動的なコンテンツを利用したいのですが、デフォルトでは「宛先」のフィールドでは動的なコンテンツが選択できません。

メールの送信 (V2)の宛先

 「宛先」フィールドをクリックし、右上に表示される矢印アイコンを押すと、動的なコンテンツと式が入力できるようになります。

宛先に動的なコンテンツを入力する

 (1)宛先:動的なコンテンツ「メールアドレス」を選択
 (2)件名:SPOリストの「タイトル」を選択
 (3)本文:メールを受信した人が分かる内容を設定します。今回は「送信者リスト(Excelファイル)」の名前、SPOリストの「お知らせ内容」を設定しました。

「Applyt to each」が自動で設定される

 なお、宛先に動的なコンテンツを設定すると、自動的に「Apply to each」が追加されます。

 「Apply to each」は、複数の値(配列)を処理する必要がある場合に、自動的に挿入されます。ここでは、複数の「メールアドレス」と「名前」の組み合わせを1つずつ順に取り込み、繰り返しメール送信処理(ループ処理)をする必要があるので、「Apply to each」が追加されたわけです。

 以上でフローが完成しました。最後は忘れずに、フローに名前を付けて「保存」します。筆者は「お知らせ送信フロー」というフロー名にしました。

3. 実行結果

 フローが完成したので、さっそく試してみましょう。

 今回はSharePointコネクタの「項目が作成されたとき」トリガーを利用しています。まずはSharePointリストで「+ 新しいアイテムを追加」をクリックし、お知らせしたいメールの内容を新規登録します。

SharePointリストに新規登録

 なお、「1. 事前準備」でSharePointリストを作成した際、「お知らせ内容」の項目は「拡張リッチテキストを使用」を「はい」にしてあります。これにより、登録した内容の改行を残した状態でメールが送信できます。

登録内容

 上図のとおり、SharePointリストに新規アイテムが追加されました。

 正しく送信されたかどうか、Excelの送信者リストに載っているアドレスのメールボックスを開いて、メールを確認してみましょう。

送信されたメール

 このように、SharePointリストに登録した内容が、改行も含めて送信されます。

さいごに

 今回は、SharePointリストとExcelを活用して、お知らせ内容を管理し、メールで自動送信するシンプルなフローの作り方をご紹介しました。さまざまな内容のお知らせメールを、繰り返し送信するような場合に役立つと思います。

 日常的な連絡はTeams通知、個別に確認が必要な情報はメール通知、といった使い分けをすることで、効率的かつ効果的な情報共有が可能になると思います。ぜひ、この記事を参考に色々とチャレンジしてみてください!

カテゴリートップへ

この連載の記事
ピックアップ