会場に溢れる日本感
しかし中国の報道からは感じられない
日本のコンテンツがこれでもかと溢れていた昆明の動漫節。ところが、これを報じるニュースの内容は「省主催、党のお偉いさんが開幕式に参加。観衆は25万人。37の店舗、300のコスプレグループが参加」「雲南の少数民族をテーマにした3Dアニメが、中国国民のアニメ旋風を吹かせた」「雲南のアニメ産業は人が足りない、資金も足りない」など、筆者が見て感じたものとはまったく異なるものだった。
これほど日本だらけだったのに、日本という文字を出しているニュースは数多くあるうちのひとつだけ(そこでは「濃厚な日本の雰囲気を醸し出していた。漫画を通してその背景にある日本の生活や文化をもっと知りたがっている人がいる」と報じられていた)。
一方、ブログやコスプレファンのサイトの中では多数筆者が見て感じた光景が撮影され、文字にされていた。だから日本を出すのはNGというわけではないようだ。
コスプレできるようなキャラが中国にはない?
中国各地におけるこの類のイベントニュースを見ても、コスプレイヤーで出るのは中国のオンラインゲームのキャラクターがベースの人ばかり。これに対して「タテマエの役割もあるね。実際日本のアニメからのコスプレイヤーは多いよ」と、とある中国のコスプレイヤーは言う。
そもそもとして、中国のアニメでヒットしているのはせいぜい幼児向けで、中高生以上にヒットしているものは皆無。中高生以上にヒットしている中国産コンテンツはオンラインゲームくらいである。
中国で日本のアニメがよく見られている上に、中国で人気のゲームはMMO RPGであり、それでは定番のキャラもポーズもないわけで、キャラクターがたっている日本のそれと同じ土俵にたたせて、キャラグッズを売ったりコスプレをすれば中国産コンテンツが負けるのは自然なことではないかと思うのだ。
そんなわけで、日本の風を見たアニメフェスタ。これをニュースだけで見て判断するととんだ勘違いをしてしまう。興味があればぜひ足を運んでみよう。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)
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