現在市場に流通しているタブレット端末のOSは、iPadを除けばWindows 7かAndroidが大半を占める。それ以外のOSもないわけではないが、ごく少数である。今回のCOMPUTEX TAIPEI 2011では、1台のタブレット端末にWindowsとAndroidの両OSを搭載するという展示がいくつかあった。
ViewSonicのデュアルOSタブレット「Viewpad 10Pro」。Windows 7上で(左)仮想環境を使い、Android 2.2を動作させる(右)。インテルのOak Trailプラットフォームを利用し、CPUはAtom Z670。3G通信機能も搭載している
WindowsとAndroidの双方にそれぞれのメリットがあるし、片方にしかないアプリケーションもある。また同一のサービスであっても、例えば「Evernote」のように、アプリケーションの使い勝手が大きく違うものもある。そう考えると両OSの「いいとこ取り」ができるのが、Windows/AndroidのデュアルOS機器のメリットといえよう。
タブレットのデュアルOS化には
3種類のアプローチがある
さて、2つのOSを使うマシンの構成には、大きく3つが考えられる。ひとつは「デュアルブート」、つまり2つのOSをインストールしておいて、起動時にどちらかを選ぶ方法だ。他方に切り替えるためには再起動が必要なためあまり実用的とはいえないが、実現には技術が必要というわけでもなく、比較的簡単に実現できる。
次の方法は、仮想化技術を使うものだ。今回のCOMPUTEXでは、ViewSonicがこの方式を採用する製品の展示を行なっていた(関連記事)。
x86系のプロセッサーには、仮想マシンを作り上げる仮想化技術が搭載されている。インテルCPUでは「Intel VT」、AMD CPUでは「AMD-V」がそれだ。これを使うと、Windowsの上でLinuxカーネルを動作させることが可能になるので、Androidを動かすこともできる。
ただし、仮想化技術はすべてのx86 CPUに搭載されているのではなく、一部の低価格帯向けCPUには搭載されていない。仮想化支援技術がなくても、仮想マシンを動かすことは可能だが、システムに過大な負荷を掛ける。そのため、ハードウェアに余力のあるデスクトップマシンなどには向いていても、タブレットのようなデバイスには向かない。
この方式の最大のメリットは、切り替えが簡単なことだ。Windows側からはひとつのアプリケーションのように見えるため、簡単に切り替えが可能だ。やろうと思えば、同時に処理をさせることもできる。
可能性としては、Windowsの上に直接Androidが動く環境を作ることも不可能ではない。AndroidのアプリケーションはJava環境で動作するため、下位のカーネルやCPUアーキテクチャーと分離されているからだ。ただし、消費電力やシステム負荷といった点でAndroidのメリットが生かせないため、2つの環境のアプリケーションを併用するといった使い方になる。
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