ストレージベンダーの3PARは、すでに販売されているハイエンドモデルの仮想SANストレージアレイ「InServ Tクラス」の機能を継承しつつ、低価格化を図った製品「InServ Fクラス」を5月29日に発表した。「3PAR InServ F200」及び「F400」の2モデルが用意されている。
上位機種のいいとこ取りした下位モデル
InServはシャーシ内にチャネルアダプタやディスクコントローラ、キャッシュを持つコントローラノードと、実際にデータを記録する物理ディスクで構成されており、両者がバックプレーンを介して接続されている。InServ Fクラスは、コントローラノードのハードウェアスペックを抑えることにより、上位のInServ Tクラスよりも低価格化したもの。たとえばキャッシュ最大容量はInServ Tクラスでは128GBだが、Fクラスでは最大40GBなどとなっている。またノード数もInServ Tクラスが最大で8ノードをサポートするのに対し、Fクラスは4ノードまでとなる。
ただし機能面では両者に差はない。まず各コントローラノードはInServ Tクラスと同様にフルメッシュで接続されており、スケーラビリティや障害発生時のパフォーマンスを向上させている。もちろんInServシリーズの特徴である「ワイドストライピング」も継承する。InServでは物理ディスクの256MBを1単位とする「チャンクレット」としてブロックに切り分けて扱う。LUN(論理ディスク)は各々の物理ディスクから切り出されたチャンクレットで構成されるわけだ。こうしてデータを各物理ディスクに分散することで、I/O処理を高速化するのがワイドストライピング技術だ。
ストレージ管理を軽減する
独自技術を満載
InServでは、ボリューム容量は「シンプロビジョニング」機能によって仮想化されており、容量の拡張は必要に応じて自動的に行なえる。これによって物理ディスクの効率的な利用が可能となる。さらにInServ Tクラスと同様、独自開発の「3PAR Gen3 ASIC」が各コントローラノードに実装されている。このASICによって、RAID5を高速化する「Fast RAID5」や、シーケンス処理とトランザクション処理を混在させてもパフォーマンスを維持する「Thin Built In」技術を実現している。
さらに筐体内の各コントローラに対して自動的にボリュームを割り当てる「メッシュ・アクティブ・コントローラ」技術も盛り込まれている。通常、ミッドレンジクラスのディスクアレイ装置では、各ボリュームは手動で割り当てられた単一のコントローラでのみアクティブとなるアクティブ-アクティブの構成になる。この場合、各々のコントローラの負荷を考えながらボリュームを割り当てる必要があるが、メッシュ・アクティブ・コントローラでは動的にコントローラを割り当てるため、負荷分散や並列処理の精度を向上している。
同社ワールドワイド・マーケティング担当副社長のクレッグ・ヌネス氏
発表会の席上において、同社ワールドワイド・マーケティング担当副社長のクレッグ・ヌネス氏は、「ソフトウェアは上位クラスのInServ Tクラスと同じ。このハイエンドのクラスタアレイの機能をコストを下げて実現したのがInServ Fクラス」と説明、コストパフォーマンスの高さを訴えた。