日本の社会、特に現在の雇用形態がどうやって出来上がったのかを記す。おそらく名著。
おそらくというのは、長い間日本で会社勤めをしているにも関わらず、あまりに初耳な事柄が多かったため。本書が全面的に正しいとするなら、世間の言説はあたりに近視眼的で個人の経験以上のものではないということになる。
それと感じるのは、日本社会は戦後の困窮期までは社会正義があったが、そこからは各々が利益を追求するばかりで、社会として善なる打ち手が打てていなかったということ。正義を企図した政策は空振りし、長期目線の施策は反対され、経営者も労働者も問題を先送りしてきたという残念な事実が本書で浮き彫りになる。日本でサステナビリティが盛り上がらないのも同根なのかもしれない。
少なくとも日本の経営者は全員読むべきだろう。自らの発言が何を意味しているのか、影響力はどこまで及ぶのか、知っておくべきだから。あとマスコミやブロガーも本書を読んでから発信して欲しい。
文句なしの星5つ。
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日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書 2528) 新書 – 2019/7/17
小熊 英二
(著)
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「日本社会のしくみ」は、現代では、大きな閉塞感を生んでいる。女性や外国人に対する閉鎖性、「地方」や非正規雇用との格差などばかりではない。転職のしにくさ、高度人材獲得の困難、長時間労働のわりに生産性が低いこと、ワークライフバランスの悪さなど、多くの問題が指摘されている。
しかし、それに対する改革がなんども叫ばれているのに、なかなか変わっていかない。それはなぜなのか。そもそもこういう「社会のしくみ」は、どんな経緯でできあがってきたのか。この問題を探究することは、日本経済がピークだった時代から約30年が過ぎたいま、あらためて重要なことだろう。(中略)
本書が検証しているのは、雇用、教育、社会保障、政治、アイデンティティ、ライフスタイルまでを規定している「社会のしくみ」である。雇用慣行に記述の重点が置かれているが、それそのものが検証の対象ではない。そうではなく、日本社会の暗黙のルールとなっている「慣習の束」の解明こそが、本書の主題なのだ。 ――「序章」より
【本書の構成】
第1章 日本社会の「3つの生き方」
第2章 日本の働き方、世界の働き方
第3章 歴史のはたらき
第4章 「日本型雇用」の起源
第5章 慣行の形成
第6章 民主化と「社員の平等」
第7章 高度成長と「学歴」
第8章 「一億総中流」から「新たな二重構造」へ
終章 「社会のしくみ」と「正義」のありか
しかし、それに対する改革がなんども叫ばれているのに、なかなか変わっていかない。それはなぜなのか。そもそもこういう「社会のしくみ」は、どんな経緯でできあがってきたのか。この問題を探究することは、日本経済がピークだった時代から約30年が過ぎたいま、あらためて重要なことだろう。(中略)
本書が検証しているのは、雇用、教育、社会保障、政治、アイデンティティ、ライフスタイルまでを規定している「社会のしくみ」である。雇用慣行に記述の重点が置かれているが、それそのものが検証の対象ではない。そうではなく、日本社会の暗黙のルールとなっている「慣習の束」の解明こそが、本書の主題なのだ。 ――「序章」より
【本書の構成】
第1章 日本社会の「3つの生き方」
第2章 日本の働き方、世界の働き方
第3章 歴史のはたらき
第4章 「日本型雇用」の起源
第5章 慣行の形成
第6章 民主化と「社員の平等」
第7章 高度成長と「学歴」
第8章 「一億総中流」から「新たな二重構造」へ
終章 「社会のしくみ」と「正義」のありか
- 本の長さ608ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2019/7/17
- 寸法11.6 x 2.7 x 17.4 cm
- ISBN-104065154294
- ISBN-13978-4065154298
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商品の説明
著者について
1962年東京生まれ。東京大学農学部卒。出版社勤務を経て、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学総合政策学部教授。学術博士。主な著書に『単一民族神話の起源』(サントリー学芸賞)、『<民主>と<愛国>』(大仏次郎論壇賞、毎日出版文化賞、日本社会学会奨励賞)、『1968』(角川財団学芸賞)、『社会を変えるには』(新書大賞)、『生きて帰ってきた男』(小林秀雄賞)、A Genealogy of ‘Japanese’ Self-Imagesなど。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2019/7/17)
- 発売日 : 2019/7/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 608ページ
- ISBN-10 : 4065154294
- ISBN-13 : 978-4065154298
- 寸法 : 11.6 x 2.7 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,503位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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なぜ日本では今の働き方をしているのか
なぜ日本では今のような働き方(雇用制度、人事制度)が主流になっているのか、近代史のプロセスを紐解き一般人にも非常にわかりやすく解説してくれる素晴らしい本だと思います。実際にまさに日本社会の中で働いている人達にとって面白いと思える視点・切り口で書かれています。「働き方改革」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、高等教育(大学)の制度、企業の雇用方法、企業の人事制度、組織体制、働き方は社会の仕組みとしてつながっているため、これらの連携を考慮せずにどれか一つだけ現場レベルでの変更を試みたのでは「改革」は実現できないと思います。歴史社会学が意義があるのは、どのようなプロセスをたどって現在の仕組みが出来上がったのかを理解することで、現在の雇用制度・人事制度のしくみを理解することに役立ち、さらに、現在の雇用制度・人事制度のしくみをよりよく変更するためにはどのようにすればいいかを考えることに役立つためです。誰でも変化は嫌いだし怖い。が、人口の劇的な減少も受け、今の日本の働き方を続けていくと生活水準を維持できないことは、皆が気づいているのだと思います。読んだ後にどのような選択肢を選び、そこに向かっていくかについて、他の方と話し合い議論できればいいなあと感じます。私はこういった議論のプロセスが国民による選択と改革につながると信じています。
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- 2024年6月16日に日本でレビュー済みAmazonで購入
- 2025年1月26日に日本でレビュー済みAmazonで購入現在の日本の雇用環境がどのような経緯を、たどって成立したか。明治以降の雇用の歴史を、中心にたどると共に、他国との制度の違いを通して考察。
さらに現在の社会の変化に即して制度をアップデートするために必要な事柄を提案。他国の制度の良いとこどりをするのでは変えて行くことはできず、会社と労働者の合意形成が必要なことを説く。そのために労働者が積極的に発言していかなければならないのである。
- 2024年5月19日に日本でレビュー済みAmazonで購入まさに標題通りの読後感です。
新書にしては相当の値段で、かつ分厚いので本書を購読することにかなりのためらいがありました。
ですが、最初の序章を読んだだけで本書の魅力にトリツカレたのか、一気読みでした。確かにところどころ難しい箇所もありますが、全体的には我々一般の読者レベルでも分かるように図解を取り入れたり、各章ごとに最初のページに要点として記述内容の要約をまとめてくれているので、我々にも理解できるようにするための著者の配慮に助けられ、「日本社会のしくみ」の全貌、本書の副題、「雇用・教育・福祉の歴史社会学」の中心論点、雇用、日本独特の終身雇用と年功序列の賃金がいかにして定着することになったかよく理解できました。
本来は戦前のエリートとその周辺の下級職員層だけの特権を戦後の民主化と労働運動をうけて、一般の労働者にも認められた極めて特異なものです。勿論、これは官庁と大企業だけで、中小企業以下はこの恩恵をあまり受けられないのかな。
そして高度経済成長が終わってバブルもはじけたら、もう維持することが極めて困難になって、非正規雇用、特に派遣に頼るようになって、コア部分の職員のみに限定されて現在に至っているという理解でよいのかな!
結論から言えば、私も著者の意見とほぼ同じです。
職務給を原則(年功序列は止める。)にして、それによって生じる社会問題(経済格差の広がり。)は社会政策で対応する。勿論、この選択をしたら、予算が増大し、国民の負担も増えるので、そのための国民的合意を得る必要はある。本書の一番最後、576頁、「あなた自身の結論」の問いかけを読んで下さい。著者らしくてとても素敵です。
私の感想はとても書ききれません。是非とも本書の購読をお勧めします。思わず、そうだったのか!とうならせられる紙面の連続になりますよ。
個人的には、507ページの「残余の形成」がわが身につまされて面白かったです。特に「東大出とはなにか。」、ここが一番かな。他の読者もお気に入りの一番が必ずあるはずですから。まあ、こういう感じで全編、面白いところだらけなので楽しい読書タイムになるはずです。
ここまで拝読させて申し訳ありません。深謝します。一家に一冊の名著になる価値のある本書です。
- 2023年1月10日に日本でレビュー済みAmazonで購入現代の雇用、労働について興味があり、どのようにして改善していくかが知りたかったが、この本では単に雇用の歴史、過去のことなので読む本を間違えたなと思った。過去や成り立ちを知りたい人はおすすめ。現代の雇用についての改善案とかが知りたい人には、おすすめしない。
- 2024年6月5日に日本でレビュー済みAmazonで購入驚くのは、各章の内容に対する脚注が驚くほど膨大であるということである。
あとがきで、筆者は日本社会の全貌をひもときたいという思いを持っていたことも頷ける。
日本の労働市場がどのように変遷したのかはもちろんであるが、社会そのものがどのように形成されていくのか、そのメカニズムと変化に対する筆者の結論にも納得がいく。
労働市場を通じて社会を歴史的に捉える方法を示してくれる良書である。
- 2024年11月22日に日本でレビュー済み誤字を指摘すると怒る人もいますが、いい本に誤字があると残念に思います。
197ページ4行目
従弟→徒弟
- 2023年12月20日に日本でレビュー済みAmazonで購入学術書って感じでした。文章がちょっと読みづらかったかな。内容は面白くはありました。
- 2023年9月5日に日本でレビュー済みAmazonで購入良い買い物でした