米バスケットボール協会(NBA)のエネス・カンター選手は最近、中共による人権侵害について連日非難し、注目を浴びています。カンター選手は先日米国の市民権を取得した際に、苗字を「フリーダム(FREEDOM)」に改名しました。
トルコ出身で、今年29歳のカンター選手は、ボストン・セルティックスのセンターです。11月29日、米国の市民権を取得した際に「フリーダム(FREEDOM)」をラストネームとし、正式名は「エネス・カンター・フリーダム」になりました。
NBAボストン・セルティックス エネス・カンター選手
「『自由』は私が生涯をかけて挑戦するものの1つです。私が米国に来たとき、とても驚きました。米国には言論の自由、宗教の自由、表現の自由、報道の自由がありますが、トルコにはそれらがありませんでした。『自由』は人間が持つことのできる最も偉大なものであり、だからこそ、この言葉を自分の一部にして、どこへ行くにも持ち歩きたいと思ったのです」
12月2日の試合で着用したユニフォームには、背中に「フリーダム」が印字されています。
カナダのバスケットボールコーチを務める鞠浜(きく・ひん)氏は、カンター選手の行動について賞賛を惜しみません。
カナダのバスケットボールコーチ 鞠浜氏
「カンター選手も権威主義体制を経験している。だから、中国共産党を批判する発言をしており、明らかに彼の決意は非常に固い。彼はNBAの腐敗した状況も指摘した。ある有名人が中国共産党から金をもらって中共への支持を表明しているなども暴いた。さらに、臓器摘出の画像も服や靴にプリントした」
元バスケットボール中国代表選手の陳凱(ちん・がい)氏も、カンター選手は中共の人権侵害を非難しているだけでなく、独裁政権に対し沈黙を守っている人々に対しても、道徳的な課題を投げかけたと述べています。
元バスケットボール中国代表選手 陳凱氏
「これはとても重要なことだ。FBにも書いたが、米国を批判するのは安全であり、何の代償も伴わない。しかし、中国共産党を批判する場合、経済的な代償を覚悟しなければならない。本当にそんなことをする度胸があるのかどうか。この世で お金よりも大切なものはあるのか。お金さえあれば、何でも買えるのか。覚悟が必要だ」
陳凱氏は、カンター選手の行動は、経済利益のためなら道徳的良心を捨てて、独裁政権の人権迫害の共犯者になってもかまわないのかという問題について考えさせられると述べています。
11月20日、カンター氏はウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿し、中国のテニス選手彭帅(ポン・シュアイ)さんに声援を送るとともに、アスリートたちに北京オリンピックのボイコットを呼びかけました。さらに、「全ての金メダルに、自分のモラル、価値観、理念を中国共産党に売り渡すほどの価値はない」と記しました。
11月1日、カンター選手は「No Beijing 2022」と書かれたスニーカーを履いて、試合に臨みました。インタビューを受けた際、「人々は私が政治に関与していると思っているが、私が関与しているのは政治ではなく、人権なのだ」と述べました。