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農林水産省

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江藤農林水産大臣記者会見概要

日時 令和7年3月11日(火曜日)10時41分~10時52分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • 東日本大震災から14年を迎えて
  • 米の需給と今後の水田政策について
  • 米国大統領の示した海外産農産物の関税引き上げ方針について

質疑応答

記者

  今日で東日本大震災から14年となりましたが、被災地の現状や農林水産業の復旧に向けた課題解決に向けて、今後の対応をお願いします。

大臣

  11月に閣僚になり、(福島に)2回行かせていただきました。見違えるような姿もある一方、時間が止まったような風景もそこにはあります。帰還困難区域もまだ多く残り、農地もまだ5割程度しか復旧はできていない。そういう状況を見ると、まだまだ道半ばというより、まだ随分時間がかかると思います。しかし、元の姿に戻れるように、元の姿よりもさらに良く、特に農林水産業においては、先進的な地域となれるよう支援をしたいと思います。
  もう14年経ったのかと思います。私は発災直後にまいりました。何度もまいりましたが、あの時の地獄のような悲惨な光景は、目に焼きついて離れません。そこから立ち上がってこられた方々のお気持ちに寄り添って、できるだけのことをしたいと思います。大事なことは、時間の経過とともに被災地の求めているものの質も内容も変わってくるわけですから、できるだけこまめに、東北農政局とも連絡を密にして、現場の要望に沿った支援を続けていきたいと考えています。


記者

  米は需要に応じた生産がされており、今は需要の見通しを国が示しています。主食用米以外の、水田で作る作物への交付金もあり、需要と生産が、かなり近接している水準に見受けられ、需要の上振れが急にあった場合に対応しにくいという指摘や、需給が引き締まるという指摘もあります。農家がもっと自由に米を生産できる仕組みに、という要望の声も聞こえますが、受け止めと、今後の政策についての考えを伺います。

大臣

  まず、基本的に申し上げておかなければいけないのが、米の生産は今でも自由です。国がキャップをはめることはありません。平成30年に生産数量の割当てもやめました。それ以降は、食糧法に基づいて、人口動態や1人当たりの消費量の動向といった様々なデータや、審議会の答申もいただいた上で、国内の需要量の見通しを、農家の方々にデータをお送りし、それに基づいて、各地の再生協議会や農家の方々が、自主的な判断で生産をしています。かつての減反政策の時には、減反をしなければ、次の年にはさらに厳しいキャップをはめて、国の補助事業でも採択しないと、厳しいペナルティーを課して、米から引き離していましたが、(今は)そんなことは全くしていないです。米を作ることをやめさせているような政策を行っていることは大いなる誤解ですから、やめていただきたいと思います。
  水田から他の作物に転換した場合に支援をする政策について、一部の方は批判されていると思います。私がずっと農政をやってきて思うことは、なかなか米では食っていけない、米だけではやっていけない、他の作物に転換しなければお金もかかって、他の作物に転換もできないという方々が多くおられるという声がたくさんありました。水田以外のことを本当はやりたいとの声を受けて、畑地化促進事業をやりました。1年目が14万円で、それから5年間は2万円ずつお配りする事業を作り、私たちの希望の倍も手が挙がりました。強制したものではなく、水稲を作付けた方々が、畑地化したいという希望のもと、畑地転換を自主的にご判断された農家の自主性です。国内需要が若干上振れしたとか、インバウンドとか、米の値段が下がったことによって、パンと比較して値ごろ感が出て、国内需要が予想よりも上振れすることはあるかもしれませんが、米の生産量だけではなく、民間の在庫も含めたものが、国民に対する米の供給力です。これを見たときに、決して米がないということはないです。
  昨年と圧倒的に違うことは、価格はとても高くてご苦労をおかけしていますが、店頭に米はあります。それが圧倒的に違う。スーパーや小売の方々は高い値段で仕入れを行っています。そういう方々は、今後、仕入価格に見合った値段で売らなければ利益が出ないのが当たり前ですので、在庫がある程度捌けるまでは、店頭価格が下がらないという事情はあるかもしれません。しかし、今は入札の最中ですから、この結果では、いい方向に需給が緩和されて、価格も安定することを望んでいます。重ねて申し上げますが、実質的な生産調整の「実質的な」という意味が、無理やり国が生産調整をしていると決めつけたい意図を感じて、違和感を感じていると申し上げておきます。


記者

  今年の作付面積は増える見込みですが、需要よりも生産が上回った場合は、米の価格が下落するのではないかと懸念の声もあります。その点に関して、「需要に応じた生産」についても考えを聞かせてください。

大臣

  何度も申し上げますが、それぞれの生産者の方々がご判断されることです。私の地元でもいろいろ話を聞きました。29道県が生産を拡大するとの報告でしたが、私の地元でも、「あまり作っても困りそうだからやめておこう」という声もかなり出てきました。農家は冷静です。米余りになって、価格が暴落することを恐れている農家の方々もたくさんおられる。その結果については、農家のご判断だから私は知らないとか言うつもりは全くありませんが、できる限り正確な情報を農家の方々にお伝えしたい。(米に限らず)何でもそうですが、需給のバランスが崩れれば価格は変動するわけですから、正確な情報を農家の方々に伝える努力を、今年はより細やかにしていきたいと思います。

記者

  トランプ大統領について、先週の施政方針演説で海外産の農産物に対して、4月2日から関税を引き上げる方針を示されましたが、受け止めと対応があれば聞かせてください。

大臣

  4月2日から開始するという報道を見ました。対象国、対象品目、税率などについては、現在米国で検討中です。アメリカで検討しているのですから、今のところ手出しのしようがないです。しかし今、経産大臣が行って、懸命にUSTR(通商代表部)も含めて交渉しています。前回のトランプ政権の時も、日本はタフな外交交渉をして、結果を出した実績がありますので、ぜひ武藤経産大臣には頑張っていただきたいと思います。我々としては、日本は対象にすべきではないと思っており、それが基本的な姿勢です。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上