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農林水産省

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江藤農林水産大臣記者会見概要

日時 令和7年3月7日(金曜日)8時38分~8時50分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案の閣議決定について
  • 食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案について
  • 今年の新米を買い急ぐ動きが出ていることについて
  • 新規就農者への支援事業における要件の見直しについて
  • 政府備蓄米の買戻し条件付売渡しについて

冒頭発言

大臣

   本日、私からは1点、報告がございます。本日の閣議において、食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案が閣議決定されました。この法律案は、食料の持続的な供給の実現を図るため、費用を考慮した価格形成と、食品産業による付加価値向上等を一体として推進し、コスト割れの抑止と消費者の理解醸成を図るため、改正を行うものです。私からは以上です。
 

質疑応答

記者

   食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律案について、改めて法律の意義、期待と効果を伺います。

大臣

  大きなチャレンジだと思います。フランスのエガリム法の評価については申し上げませんが、さまざま言われています。しかし、日本の農家は、作ることは一流ですが、価格の形成にほぼ関与ができない。もちろん、今は直売とか様々な販売手法が確立していますが、そういったところに問題があり、不満もあるということでした。116万人から30万人まで、農業人口が減ってしまうと予見もされています。そのトレンドを止めるつもりです。そういう状態のもと、このままの商慣習が続けば、最終的には、生産者の方々にあまりにも負担が行き過ぎて、生産現場が壊れ、食料の安全保障が危うくなってしまうおそれがあるので、約2年、足かけ3年かけて、この法律について議論してまいりました。最初は極めて限られた品目のみ、牛乳と納豆、豆腐から試験的にやるということでしたが、今話題になっている米とか、野菜もすべてではありませんが、一部、玉ねぎとかじゃがいもは対象にしています。オープンプライス形式でできるとは思っていません。取引の段階では、それぞれの事業者の方々が、会社の競争力や、これまでのお付き合い等によって価格形成されますから、すべての情報がオープンになって交渉ができるとは思いません。しかし、あまりにも理不尽な優越的地位の濫用とかが行われている場合は、生産、流通、消費、それぞれの段階で、農水省に意見を言うことができるようになります。それに基づいて、指導・勧告もできますから、一定の効果を発揮できると思います。これについては、Gメンも配置して、実効性を高めていこうと思いますので、まずは(衆、参の農林水産)委員会でしっかりと議論した上で、早期の法施行に向けて努力していきたいと思います。


記者

  米について、入札の手続きも始まっていますが、まだ価格への影響等は見られていないと思います。価格の高騰が続いている状況の中で、消費者が今後の米の入手に不安を覚えて、今年の新米(令和7年産米)についても、買い急ぐような動きが取材の中で見られています。直販サイトや生産者の中でも、今年の新米が既に販売を終了する例も見られています。このような買い急ぎなどの動きについて、考え、受け止めと対応をお願いします。

大臣

  昨日の(参議院予算)委員会でも答弁させていただきましたが、生産量は18万トン余計に作っている。在庫も合わせると100万トン以上の余裕があるわけです。そういう状況を見ると、我々の情報発信が不十分なのかなと思います。米の生産量に現在の在庫量を合わせたものが、米の消費者の方々に対する供給量です。これを見ていただければ、全く不安視する必要はないと固く信じています。しかし、主食である米ですから、ご家庭を守ってらっしゃる主婦の皆様は、お米がなくなったら困るから、早めに手当をしておこうという気持ちになることはわかります。あまりにも今が高い。スーパーに行けば、値札にシールが貼られるのを待つ方々もいるのが現実です。そういう気持ちはわかりますが、ぜひ不安にならないでいただきたい。今年の出来秋はわかりません。もちろん冷害が起こるかもしれないし、酷暑で精米した時の歩留まりが下がるかもしれません。それは自然のことだからわかりません。ただ、昨年の生産量と今の民間在庫量を合わせれば、そんなに買い急がなければいけない状況ではないことは、あらゆる機会で、消費者の皆様にお伝えしなければならない。そういう動きが表面化したということであれば、我々の努力も足りないのではないかと思います。

記者

   新規就農者への支援事業について、先の予算委員会で、49歳以下の年齢制限の見直しに意欲を示す発言があったと思いますが、見直す場合の課題と、今後の見直しのスケジュール感があれば教えてください。

大臣

  気持ちを申し上げますが、やりたいと思っています。しかし、今回、新規就農支援、親元就農の要件の見直しだけでも、農水省の中で大激論しました。まず、どれぐらいの手が上がるかわからない。私の地元だけでも、そういう声がものすごく多い。予算を気にせずに政策を、というトレンドがありますけれども、どれだけの予算手当ができるかは大事です。例えば、100億用意したとして、300億の応募がきたということであれば、要望に応えきれないということになりかねない。3分の1に支援内容を削るかというと、そうもできない。まずは49歳以下の要件を守った上で、今の要件の緩和で、どれぐらい手が上がるかをしっかりみたいと思います。ただ、最初に申し上げましたように、やりたいなと思っているのは、今は雇用の流動化の時代です。予算委員会では、長く同じ企業で働くことの弊害だったり、いろんなことが議論されていますけれども、若い人を中心に、同じ会社で勤めて、自分の人生をここでフィックスすることをあまり考えない方が増えていると思います。早期退職を受けるとすれば、50歳とか55歳とかです。健康寿命は今、長いです。昔の50歳と今の50歳は全然違って十分元気で、若い頃は親元で、子供の頃から農業のお手伝いをし、親の背中を見て、親の苦労も農業の良さも知っている方々がいます。そういう人が、例えば、退職金を新しく投資に向けようと、帰ってきたいという方は、できれば応援したいという気持ちはあります。農業人口が116万人から30万人に減るトレンドを考えると、年齢制限等を勘案せずに、広く人材を求めることについての理論的な整合性といいますか。十分にメイクセンスすると思っていますが、そこまで広げたときに、どこまでの予算規模になるのか、もう少し見極める必要があると思います。


記者

   米について、スーパーでの小売価格の上昇がまだ続いており、業者の買い付け競争も、早くも始まっているという話もあります。今後の対応について、先日の会見で放出量の拡大も検討するという話でしたが、どういう状況を見て、検討、判断をするのか。今後もずっと価格が下がらなかった場合は、備蓄米の放出という方法での対応になるのか、それ以外で何か対応策を考えるのか、このあたりをお願いします。

大臣

  備蓄米の放出以外の方策ですが、なかなか難しいです。民間の取引ですから。その小売の方々に無理繰り下げて、例えばガソリンのように、元売りにお金を入れるという話ではありません。あまりにも枝が広過ぎ、なかなか現実的ではない。放出するにしても、(政府備蓄米の在庫量は)91万トンで、そこから21万トン出すと、70万トンしか残らない。いずれはタマが尽きる。マーケットを見ている人たちは、いずれチキンレースみたいな感じで粘れば、政府も全部は出せないだろうと。備蓄米は緊急事態に備えるための米ですからと。宮崎弁で言うと、「出し切らんやろう」という読みをするのではないかと思う。私はいろんなことを考えます。 一方で、備蓄米の量が極端に減ることについて、国民がどう評価するのか。備蓄米は食糧法の中で、国民の皆様に不安を与えないよう、不測の事態に備えるための米だとはっきり書いてあるわけです。それが、例えば在庫20万トンしかありません、10万トンしかありませんという状況を、農水省として是とするのかと言われれば、それは正しくないと思います。ここでは申し上げませんが、総量については、いろんなことを考えています。また大きく報道されますから言いませんが、備蓄米の本来の趣旨である不測の事態に備える一定の水準を保ちながら、国民の皆様方が苦しんでいる流通の混乱を収めるために、21万トン出すことを決めたわけです。これで政策効果がないからやめると、21万トン出した意味がないということになりますので、当然追加はしますが、どこまで減らせるのか、どこまで出せるのかは、私自身も一生懸命、水準をどう保つか考えています。いずれ6万トンを出しますので、その後の価格の変動等を見ながら、追加を機動的に考えますが、その先の放出になったら、新たな方策を、皆様の前で発表する機会があるかもしれません。今日の段階では、まだ私の頭の中にあるとご理解いただければと思います。





報道官

  それでは、大臣会見を終わります。

以上