江藤農林水産大臣記者会見概要
日時 | 令和7年3月4日(火曜日)11時58分~12時20分 於:本省会見室 |
---|---|
主な質疑事項 |
|
冒頭発言
大臣
冒頭、私から3点、報告があります。先日公表したとおり、大手の集荷業者の1月末の集荷量が、12月末の21万トン減から、さらに減少して23万トンとなりました。昨日、21万トンの備蓄米の売渡しのうち、初回の15万トン分の入札公告を実施しました。3月半ばには、引渡しを開始する予定です。初回の入札手続きに入ったばかりですが、残りの6万トンは、2万トン増えた状況を受けて、事務方には速やかに入札の準備を進めるように指示しました。
これまでも申し上げていたとおり、21万トンの売渡しを円滑に行います。その上で、今回、集荷量の減少が23万トンとなったことも踏まえ、販売量の拡大を検討します。買い戻しの時期は、基本的には、概算金の動向を見て、早くとも、出来秋以降に買い戻すことを想定しています。この21万トンを受けて、急落するような場面があれば、その限りではありません。需要動向によっては、1年以内にこだわらず、1年を超えて買い戻すことも柔軟に対応します。
3月に入り、気温も上がってまいりました。政府備蓄米の引渡しは、3月半ばには行われます。今申し上げた通り、早ければ1週間から、遅くとも2週間ぐらいで店頭に並ぶ予定です。精米を美味しく食べていただける目安は、常温で1か月程度と言われています。消費者の皆様には、日頃からお買い求めになっている、信頼できる業者から、必要な量をお買い求めいただき、大量買いするのではなくて、必要な量を買っていただくとありがたいと思います。それが流通の安定化にも繋がるということを、ご理解いただくよう、よろしくお願いいたします。
2点目は、福岡県産牛肉の米国への輸出です。米国は、昨年12月からランピースキン病ワクチンを接種する、福岡県産の牛肉の輸入を禁止していましたが、日米当局間の協議の結果、輸出が再開されることになりました。事務的な手続きが終わり次第にはなりますが、とてもありがたい、嬉しいことです。
3点目は、3月10日は、「農山漁村女性の日」です。農山漁村については、女性の活躍を幅広く知っていただくため、農業女子フェアを開催します。例えば、農水省内のあふ食堂では、女性農業者の食材を用いた、期間限定メニューの提供を行いますので、ぜひ皆様もご賞味いただければありがたいです。このほか、全国で94の関連行事が行われます。詳細は、この後、プレスリリースいたします。冒頭は以上です。
質疑応答
記者
先ほど冒頭発言にあった備蓄米について、21万トンから上積みする意向があるとのことですが、6万トンは早めに公告され、上積みを追加するタイミングはいつが適切だとお考えですか。
大臣
まずは、3月半ばまでに(集荷業者に)渡り、店頭にも3月末には出る。その反応を見る必要があると思っています。価格にコミットするものではないと申し上げてきましたが、流通が改善することによって、(価格が)安定することを求めています。21万トンを出した以上、政策効果がなければ意味がありませんので、21万トンでは流通の改善が見られないということが確認されれば、機動的に追加を行うことを考えています。その時期と量については、状況を見極めた上で、ということになります。
記者
21万トンのうち6万トンの放出について、速やかに入札手続きを準備するように指示されたということですが、今後の入札公告、入札のスケジュールはどのような見通しでしょうか。
大臣
まだ決めていませんが、正直なところ、15万トンを出してしばらく様子を見ようと思って、いつでも出せるように準備しておくように指示していました。しばし様子を見ることも必要と思っていましたけれども、さらに2万トン、集荷業者に集まっていないエビデンスが揃いましたので、早めに追加することの方が正しいだろうと判断しました。ですから、いつとは申し上げられませんが、できるだけ早く対応するということです。
記者
年度内にもということでしょうか。
大臣
それも含めて考えます。年度内にできればやるかもしれませんが、まずは、この入札を無事に終えて、そのあとですので、今の段階で年度内に行うと申し上げませんけれども、それも含めて、可能性としては排除せずに、できる限り早く行う準備を進めてまいります。
記者
話題が変わりますが、完成後、想定を上回る漏水が続いている、熊本県産山村(うぶやまむら)の国営大蘇(おおそ)ダムについてお尋ねします。先週2月26日に九州農政局で開かれた、大蘇ダムの安全性評価委員会で、調査の結果、漏水の要因について、これまで対策していないような上流部のほか、対策を施したコンクリートの継ぎ目からも漏水が確認されたことが明らかにされました。大蘇ダムは大分と熊本の農業用水供給を目的に、1979年に建設が始まったものの、2008年には試験湛水で漏水が発覚し、対策工事を行ったにもかかわらず、2020年に再び漏水が発覚しました。今回調査の結果、対策を実施したエリアを含めて、貯水池全体から漏水していたことが確認されたわけですが、そのことについての受け止めと、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
大臣
供用開始が令和2年です。その後も、貯留水の想定以上の浸透が判明し、その後も継続していることは、極めて遺憾です。水がなければ、農業はやっていけません。田植えの時期も近づいていることですから、極めて遺憾です。しかし、新たなものが見つかったということではないと思います。この浸透の原因究明、対応策の検討を本年度までに実施します。来年度からは、追加の浸透抑制対策、用水確保対策を組み合わせて実施することを考えています。それによって、必要な農業用水がしっかり確保されるように努力します。
記者
冒頭の備蓄米について、6万トンの準備ですけれども、2回目の入札で6万トン全量かけるという理解でよろしいでしょうか。
大臣
そうです。
記者
ということは、2回目の入札は、この6万トンと初回入札の落札残を合わせたものか。
大臣
落札残が出るかまだわかりません。全量落札されることを期待しています。落札残が出るかどうかは、今、コメントすることは間違いだと思います。それを想定しているかのような話になりますから。
記者
2回目の入札に、6万トンに加えて、21万トンから積み上げる部分が一緒に入札にかけられることはあるんでしょうか。
大臣
今は考えていません。2万トンを減った分を足して、8万トンとしたらどうかというご意見ですか。考えなかったわけではありませんが、一度しっかりとした報告を発表しましたので、量については、21万トンというラインを一度守らせていただく。追加すると併せて発表しているわけですから、このタイミングで2万トン増やすこともよりも、まずは予定通り6万トンを早めに出す努力をする方がいいと判断しました。
記者
岩手県大船渡市での大規模林野火災について、隣家への延焼ということも確認されていて、市民の方が不安に思っておられると思います。これについての受けとめと、農林水産業への被害状況と今後の対応方針についてお伺いできればと思います。
大臣
山火事は怖いです。私も子供の頃は、よく山火事がありました。アメリカでもそうでしたけど、これだけ技術が発達しても、これだけ乾燥するとなかなか鎮火が難しい。そして、お亡くなりになった方も出てしまいました。本日(4日)の朝の6時現在で、延焼面積は2600ヘクタール以上、建物被害が84棟以上、1200人以上の方が、避難所に避難をされているという状況です。総理からは、その避難所の住環境も含めて、スフィア(基準)に準じて、しっかり整えるよう指示が官邸会議でも出たところです。2月28日から、岩手県庁にマフサット(MAFF-SAT)を派遣しています。関係省庁や自治体、現地と連絡を密にすることが大事だと思っており、被害状況の把握を行っています。(被災した森林は)民有林ですけれども。災害対応が速やかに図れるように対応します。やはり林野庁としては、まず鎮火しないと、なかなか職員が現場に入るということも現実的に難しいので、我々のできることを模索しながら対応しているというのが正直なところです。
記者
米の目詰まりをめぐって、これまで備蓄米の放出量の目安としている21万トン、あるいは今日追加で考えを示された23万トン、いずれも大手集荷業者の対前年比の集荷量のマイナスを、目詰まりと定義してきたと思うのですが、本当にその21、23というのか、目詰まりを示しているのかということは実はよくわからないのではないかと。なかなか概算払い金が上がっていない中で、むしろ他の業者の方々が買っておられる。その買ったものが本当に目詰まりをしているのかというと、卸売業者の在庫量は別に前年に比べて減ってないと。川下ということを考えると、その考え方自体が、正しいのかどうかということもささやかれている状況だと思います。そういう中で、26日の国会答弁で、24年産18万トン増産になったけれども、どこに行っているかというのが概ねわかり始めていますというご答弁されたと思います。その主旨について、少し説明いただけるとありがたいです。
大臣
毎月、食糧法に基づいて調査しているわけですが、大きなところ、実績のあるところについてやっていました。生産者のところはあまり調べてなかったのですが、小規模な集荷業者、卸業者の方々の在庫状況も1月の31日に調査を開始して、2月の下旬までには本省に報告をするということで今、お願いをしているところです。これは集計、分析もしなければいけませんので、調査結果をできるだけ早く(公表)したいと思いますが、3月の中頃か下旬ぐらいには大体信頼できるものとして、データを公表できると思っています。私がこのあいだ答弁したのは、随時、役所の方から報告を受けております。その逐次報告の中で、ああなるほどそういうことなのかと、そういう現象起こっているのだなということを、自分の情報として掴んでいましたので、「だんだんわかってきました」という言い方をしました。その前段で、この21万トンが本当に適量なのかどうか。新たなプレーヤーも入ってきたということがあれば、それがしっかり21万トンを受けて、通常の正規のルートに近いところで流通に乗るかどうか。それは非常に難しいところです。ただ、施策決定するにおいては、やはりエビデンスに基づいて決定しなければなりませんので、我々が掴んでいる定量的な数字のエビデンスとしては、21万トンという数字がありますから、まずはこれを根拠としては決定をさせていただきました。ですから、信頼のできるところから、ぜひ米を買っていただきたい。それは消費者の方々だけではなく、例えば、飲食店の方々とかも。コクゾウムシって見たことありますか。私は何度も見たことあるのです、すごいですよ。それだけ取れば食べられるのですけれども、とても普通の人では、それ見たら食べようという気にならないような、すさまじい状況です。1匹、2匹出てくるのではなくてブワーッと出てくるのです。ですから、消費者の方々も米の賞味期限を考えていただいて買っていただく。もう一つは、信頼のできるところから買っていただくことがとても大事なので、それをお願いしたいと思っています。
記者
要するに大手出荷業者、卸売業者に限定していた調査を今少し広げてという、緊急に調査をやっておられると。その途中経過の報告が上がってきているという中で、その中で大手が集められなかった部分が、どこに行っているのか何となくこうじゃないかっていうことがわかり始めているんだということをおっしゃられたという趣旨だと思うのですが、具体的にはやはり目詰まりが起きていることが、推認されるような、途中報告が上がってきているということなのでしょうか。もう少し具体的に伺えると幸いです。
大臣
それはしっかり集計して発表すると申し上げましたが、今のところは、そうであろうという段階です。こういう報告は上がってきています、こういう事例を掴みましたという、個別具体的な報告は聞いていますが、それが全国的なトレンドで捉えていいものか。全体的な評価としていいものなのかということは、また別の話です。1つ1つの事例を積み上げていって、一定の量になって初めて統計としての意味合いを成すわけですから。1つ1つのものを拾うと、なるほどそんなことがあったのかというのはたくさんあります。毎日、米チームとは、1日2回も3回も会議をやっていますので。その度に、様々な情報を入れてくれますから。私の中では、こういうことなのだなと。なるほどなというのはありますが、ただ、ここで申し上げることは不確実性も含みますので、まだ控えさせていただきたい。
記者
先ほど米の品質について、虫がわいてしまったりとおっしゃっていたかと思います。この新規に参入した業者というのは、米の品質管理とかそういった部分については、本当に、流通に乗せていい品質のものなのかわからないところが、多々あるかと思います。流通業者からもそういった米の品質についての安全性を懸念する声が幾つか聞かれているのですが、その品質安全性については、どのように考えていらっしゃるかと、食の安全を守る所管省庁として、こちらの安全性というところには何か対策を立てていかれるのでしょうか。
大臣
難しい質問ですね。お米は、例えばコクゾウムシがわいた米袋について、それは食べられないのかと言われれば食べられるんです。ただ食べたくないですよね。そういうものを、例えば飲食店でもお客さんには出したくないですよね、店の信用にかかわりますから。もっと悪くなると、カビが生えてしまいます。そうなるともうアウトですよね。特にロットが小さい方々、例えば、30袋、20袋持っていますという人がどこにいるか我々としてはわかりません。そういう人に対して行政指導する権限があるのかというと、確かにおっしゃるように、農林水産省は食の安全に責任を持つ役所ではあります。しかし、そこにたどり着くことがまず現実的になかなか難しいです。ですから、ある意味では、消費者の方々に、先ほど申し上げましたように信頼のおける方から買ってくださいと。もしかしたら、これから3月末にいよいよ店頭に並ぶという時期になってくると、暖かくなってくる状況を見た人たち、もうとにかく原価割れしていいから売ってしまおう人もというのが出てくるかもしれません。その人たちの米の品質が悪いということ、良いとは到底思いませんが、やはりそれは買い手の良識、判断もしっかり働いて欲しいと思います。私としては、このような令和の米騒動とか言われているようなことが二度と起こらないようにしたいと思っています。やはり流通が安定して、信頼のできる商流が確保されることが消費者にとっても一番大事なことだと思っていますので。21万トン出して、15万トンの追加の6万トンも出す覚悟を決めて、そういう国の確固たる姿勢を示す。ちゃんとお米は使おうというニュープレイヤーはいいのです。ちゃんと米を扱おうと、保管庫も用意して、ちゃんとやろうという人はいいのです。そうではなく、例えば町のレンタルコンテナとか、コンテナ倉庫とかに積んでしまうような方々は、やはりこの主食である米にはあまりタッチして欲しくないというのは正直な気持ちであります。
記者
買い手というか卸や小売りに何か対策を立てていかれることはないのでしょうか。
大臣
その人たちには、役所として、あまり変なとこに手出さないでねというのは、大臣通達になると、大げさなので局長になるのか、通知になるか、それはちょっと米チームとよく相談をしますが、今回の事案を受けて、一般消費者の手元に、質の悪い米が大量に流れたということになり、それが農林水産省の責任かと言われれば、それはまたちょっとという気もしますけど、なるべくそうならないように卸や小売の方々に、何らかのお知らせは検討してみたいと思います。
報道官
よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。
以上