洋ゲーライター“BRZRK”による連載“BRZRKの「うるせー洋ゲーこれをやれ(仮)」”の最新回をお届け。今回は懐かしいB級洋ゲー感があふれる一人称視点アクションアドベンチャー『Atomfall』をレビュー。
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ドモー、今年も花粉にワカラされてるBRZRKです。こないだ年が明けたばっかだと思ったらもう4月が目前って恐ろしい次第。こうやって人は老いていくんだなぁ。
さて、今回取り扱うタイトルは『SNIPER ELITE』『ZOMBIE ARMY』といったクセのあるFPS/TPSを世に送りだしてきたRebellionが開発する、セミオープンワールドの一人称視点アクションアドベンチャーゲーム『Atomfall』だ。(※PS5/PS4、Xbox Series/Xbox One/PC、Game Pass対応。本日よりデラックス版アーリーアクセスが開始)
閉鎖地域となったイギリスのド田舎で謎の真相を追え
その世界観は良くも悪くもB級SFで、“1960年代イギリスの田舎”版『Atomic Heart』といった感じだ。舞台はなんらかの原因により軍によって隔離され数年が経過した北イングランドの田舎の村。プレイヤーはその中にある謎の施設内で突如目覚め、記憶喪失状態でさまようことになる。
そしてこのゲーム、ミステリーな作りが特徴のひとつだ。仮面をつけたヤベーアウトローたちが歩き回り、近所の村は軍の二足歩行ロボがのっしのっし歩いており、赤い電話ボックスに一方的にかかってくる電話からは意味深な謎の声が聞こえる……という中で事態把握のための手掛かりをつかんでいかないといけない。結局は事態の真相を追いつつ安全な場所への脱出を目指すわけだけどね。
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ゲームの作りとしては一応は『S.T.A.L.K.E.R.』や『フォールアウト』シリーズなどにも近くて、行く先々で出会ったNPCとの会話や探索で発見したメモなどで“手掛かり”が更新され、それを追っていくことで物語の真相に迫っていくようになっている。オープンワールドゲーの作品によくある構造と似ているんだけど、一見繋がりのなさそうなバラバラな手掛かりが同じ人物や場所に結びついてたりすることもある、という感じだ。
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複数のオープンフィールドで構成された探索重視アドベンチャー
さて、本作についてはセミオープンワールドと前述したが、本作はいくつかのオープンエリアのマップが組み合わさってひとつの世界を構成している。完全なシームレスではなく、エリアを跨いだり大きな施設に入ろうとするとロードを挟む構造だ。まぁ「オープンワールド“風”」と言ったほうが伝わりやすいだろうか。でもプレイヤーに探索を促す視線誘導はいい塩梅で「あれは何だろうか?」とプレイヤーの注意を自然と引くようになっていた。
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また本作では、スキル習得による強化も探索とかなり深く結びついている。色々な場所を探訪していると目に入るのがトレーニングマニュアルやブループリントだ。トレーニングマニュアルは新たなスキルの習得条件のひとつで、ブループリントはクラフト可能な物資が増えるアイテムだ。
最初は何も知らない状態なのだが、色々な場所を探訪していると手に入るトレーニングマニュアル(隠されているスキルを習得可能な状態にする)、そしてこちらも探索で手に入る“訓練用興奮剤”(スキルを習得する)を使うことで、罠解除や武器強化などの追加アクションや、投擲武器強化などのスキルを習得できるのだ。
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そしてクラフト可能な消費アイテムを増やすレシピアイテムの“ブループリント”も重要。フィールド上で拾える布やアルコールをはじめとした素材を使って薬品や即席の武器を作れるようになる。これらのアイテムは意外な場所に配置されているケースもあるので、さまざまな場所を探索して主人公を強化していくといいだろう。
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ちなみに、これらのアイテムは商人から入手できることもある。ただし本作には金銭の概念はなく、商人NPCとは物々交換でアイテムのやりとりをすることになる。交渉相手によって何を欲しているかの差異はあるのだが、交換レートは渋めなので利用頻度は低いかな。探索中に出くわす建造物やキャンプ跡に弾薬やクラフト素材、食料などが多数配置されているので、スカベンジしまくっていれば事足りた。
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んでそうやって色々探索してたその過程でどこぞの鍵や文章を見つけて、中断してたクエストや気になってた場所への道が開けたりなんかも。なので、やっぱこのゲームは探索が超大事。ちょっとした横道とかに「何かねぇかな?」って見に行って期待を裏切られたり裏切られなかったりをしながらウロウロするのは普通に楽しい。
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ただし残念なことに本作にはファストトラベルがないため、次に訪れようと思っている場所がマップを跨いでいたりすると、そのたびに各マップをつなぐ地下施設や下水道などを通っていくことになる。
ファストトラベルに慣れすぎた現代病なのかもしれないけど、筆者個人の所感としては結構な距離の移動があるし、かつ敵のリポップ(復活)もあいまってプレイに対するモチベーションが一気に萎えるんだよね。
FPS/TPSスタジオの作品だが、実はシューター/ステルス要素は微妙
さて開発のRebellionがクセのあるユニークなFPS/TPSを作ってきたスタジオであることは冒頭で触れたが、正直に言うと、実は本作の戦闘要素はシューターとしては結構微妙だ。
使用できる武器はヴァリエーションがあまりなく、ステルス系のゲームでありがちなサイレンサーやスコープなどのカスタム要素もない。それに敵のAIが結構ゆるめで、マップ内を集団で周回していたりするのは厄介だが、そこまで深追いしてこない。重要な施設内に侵入している時でもない限り、ちょっと距離のあるところから警告している間にさっさと立ち去ればやり過ごせたりしてしまう。
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ちなみにプレイヤーが利用できるのは銃器、近接武器、弓矢などだ。そのどれも性能としてはあまり信頼の置けないもので、携行できる弾薬もあまり多くないというサバイバルホラー的な作り。
なので、基本的に避けられる戦闘は敵との距離を取って移動したり、雑草に隠れるステルスで回避し、それ以外の仕方ない状況では致し方なく戦うというプレイスタイルが基本となるだろう。多くのゲームに存在するようなボスとの戦闘も筆者は遭遇しなかったため、終始銃撃戦についてはメチャクチャ薄味という印象。まぁこのゲームではフォーカスしたい部分のプライオリティが違うってことでしょうな。
なお本作には、走っての移動やジャンプ、近接攻撃などスタミナを消費する行動を行うと心拍数が上がり、戦闘アクションに影響が出るというシステムが組み込まれている。視界が少し悪くなり心臓の鼓動が大きく聞こえるようになると、次の近接攻撃を出すまでに間が空いてしまったり、銃撃がブレたりといったデメリットが生まれる。なので、スタミナについては若干気を配りながら探索や戦闘をこなすようにしておくことが大事だ。
B級なカルトSF感と、ちょっと懐かしいラフな洋ゲー感を楽しめ
さて、ぶっちゃけ本作はどうなのか? という点だが、あくまでB級のオープンワールド風アドベンチャーゲームとして遊ぶことを前提としておけば楽しめる作品なのではないだろうか。
ゲーム中には物語の結末に関わるキーマンが数名居るのだが、その誰に肩入れをして物語を進めるかでエンディングが変わる。ただ、その過程でも他の勢力と行動することでそれまで見えなかった側面が知れたりするので、あまり無駄なクエストというのは存在しない印象だ。
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ただ、デフォルトではクエストマーカーなどが表示されず、クエストの目的地等が分かりにくい。難度を変更すれば画面表示するヒントを増やせるのだが、その方法を取らない場合はあっちこっちへフラフラしながら進むためやたら時間がかかるゲームと感じるだろう。今回筆者は時間との都合で探索要素に関連する項目は難度をさげてプレイしたのだが、まぁこれがなければ正直シンドいかなと思った次第。
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筆者のクリア時間は12時間30分ほどだが、これはあくまでもクリアを優先して未消化クエストが多めでの数字。あえて開発の意図どおりに上記のようなヒント要素を排除してじっくり探索をし、クエストもほぼ完遂を狙うのであればさらに多くの時間がかかるだろう。春休みのシーズンにガッツリとアドベンチャーをしてみるのであれば、難度をあげてプレイしてみてはどうだろうか?
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著者近況:ニンテンドースイッチ2は欲しいけどどんなゲームがラインナップされるのか気になるところ。