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『スーパーモンキーボール』が500万本も売れているのが信じられないので“バナナランブル”Pに理由を訊く。失礼だという自覚はあるけれど。

byソムタム田井

byミス・ユースケ

更新
『スーパーモンキーボール』が500万本も売れているのが信じられないので“バナナランブル”Pに理由を訊く。失礼だという自覚はあるけれど。
 セガの『スーパーモンキーボール』シリーズはかなり売れているらしい。シリーズ累計の販売本数は500万本以上。
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この記事は『スーパーモンキーボール バナナランブル』の提供でお送りします。
 ほんとに?

 最新作『スーパーモンキーボール バナナランブル』が2024年6月25日に発売したばかりだというのに、疑ってかかってしまった。ゲームとしておもしろいのはわかる。でも、爆発的にヒットしているイメージは浮かばない。500万本も売れているのに。

 感覚的に把握できていない“何か”を解明したくて、
プロデューサーの鈴木信宏氏に話を伺った
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 インタビューはオンラインで行い、話に集中していたためにスクリーンショット撮影を失念。代わりに、日光さる軍団で有名な“おさるランド&アニタウン”視察時の写真を掲載いたします。
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『スーパーモンキーボール バナナランブル』はおサルが入ったボールを転がすアクションゲーム。転がってゴールを目指し、ときにはライバルにぶつかって妨害する。カジュアルなゲームでありつつ奥も深い。
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こういう写真が続きます。おじさんたちがきゃっきゃしていますが、何卒ご理解いただきますようお願いします。

鈴木信宏氏

『スーパーモンキーボール バナナランブル』プロデューサー。2000年の入社以来、セガ一筋。左にいるのはヤギ。文中では鈴木。

ミス・ユースケ

本記事の担当者。記事内ではインタビュアーを担当している。後ろにいるのはヤギ。

ゲームは喜怒哀楽むき出しで遊ぶと楽しい

――念のため確認させてください。『スーパーモンキーボール』シリーズはかなり売れているんですよね?

鈴木
 すごい角度から入ってきますね。日本にいるとわかりにくいのですが、『スーパーモンキーボール』は海外で好評で、とくに北米で売れているタイトルになります。前作の『たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク』も売り上げ比率を見てみると、かなりの割合が北米でした。ですので今回も、ひとまずの主戦場は北米であると捉えています。

――これもお聞きしたいです。なぜ売れるのでしょうか?

鈴木
 すごくプリミティブ(原始的)なんですよ。説明がほとんどいらない。スティックで地面を傾けてボールを転がすように操作するわけですけど、板の上でボールを転がすおもちゃみたいなものですからね。

 直感的だからゲームに不慣れな人でも何となく遊べる。シンプルな操作で誰でも楽しめて、でも簡単なわけじゃない。やり込むほどにハマる奥深さがある。失敗するとイライラするかもしれないけど、クリアーしたらそのぶん気持ちいい。
『スーパーモンキーボール』の魅力はこれに尽きます。
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鈴木
 基本ルールもシンプルです。60秒以内にゴールにたどり着けばクリアー。最初は簡単に思えますが、ステージ上には障害物などの仕掛けが多く、先に進むほどだんだん難しくなっていって。行けそうだけど行けない、ついやり直したくなる……。シンプルだからこそ極めたくなるやりごたえが本作ならではの深みであり、コアとなる魅力だと考えています。

――感情をストレートに出す人と相性がいいように思えます。

鈴木
 アメリカ人の子どもたちにプレイテストをしてもらったらすごく盛り上がっていましたよ。失敗したときはFワードを叫んだり

――最高だけど記事で書けない。

鈴木
 ゴールした際には大声で雄叫びをあげたり、反応がものすごく大きかったのが印象的でした。実際に会場へ行くことはできなかったのですが、子どもたちが遊んでいる様子をリアルタイムで視聴する形式で、現地の空気感を確認させてもらって。英語なので話している詳しい内容まではわかりませんが、どう感じているかは十分伝わってくるんですよ。
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鈴木
 我々としても初めての経験。なかなかおもしろいデータが取れたと思います。感情をあらわにしながらバトルモードをプレイするさまは印象的で、そこで改めて「おもしろいゲームを作れているぞ!」という実感が持てました。

――アメリカ人のテンションに加えて、“お子さんに人気”というのも重要なのでしょうか。

鈴木
 そういう一面もあると思います。みんなゲームを理解するのが速いですよね。短時間でどんどんうまくなって、なかなか先に進めない隣りの子にプレイのコツを教えてあげたり、いっさい説明をしていないのにコーデ機能をいじり始めたり、コミュニケーションボタンでほかの子とやり取りをする子もいました。

――自分でぐいぐいおもしろさを発見していく人に向いていると考えると、アメリカ人の子どもはバチっとイメージがハマります。

鈴木
 子どもたちが遊んでいるのを見て感じましたが、やっぱりゲームはシンプルに喜怒哀楽むき出しで遊ぶのがいちばん楽しいんですよ。これは16人対戦の“バトルモード”を入れた理由のひとつ。
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鈴木
 対戦なら感情を出しやすいですし、いまは配信で盛り上がっているのを観るのも楽しいじゃないですか。そういった視点を持てば、これまで以上に多くの地域や、いままで本シリーズを遊んだことがない人にも、『スーパーモンキーボール』を認知してもらえるのではないか……と考えています。

――原始的と言っておきながら、時代に沿った丁寧なアプローチ。

鈴木
 喜怒哀楽と言えば、対戦だけじゃなくて、アドベンチャーモードの設計にも気を使っています。これまでのシリーズ作では、ワールド3あたりから一気に難度が上がって、“怒”の感情をあおる仕様になっていたんですけど、本作ではそうしたバランスもかなり細かく調整していて。もう少し、“喜”や“楽”の感情も刺激しながら、いい塩梅で難しくなるように仕上げています。初心者の方は入りやすく、コアなファン層の方は簡単だと思っているうちに抜け出せなくなるような。

――アリ地獄みたいですね。
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――順番が前後してしまいましたが、鈴木さんの経歴を教えていただけますか。

鈴木
 2000年にセガに入社して以来、セガ一筋です。入社して最初に携わったタイトルは『J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう!3』で、『サカつく』シリーズを中心に制作を行ってきました。途中、スポーツタイトルを中心に制作していたスポーツデザイン研究開発部が解体され、『龍が如く』を中心に制作する現在の部署に合流。以降はRGGスタジオタイトルの開発を行っています。直近では『龍が如く ONLINE』を制作・運営していました。

――スポーツから男の生き様に行って、そのつぎはおサルに。どのような経緯で『スーパーモンキーボール』の新作を担当されることになったのでしょう?

鈴木
 前作の『たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク』が好評で、とくに北米では『スーパーモンキーボール』の人気が高いことがわかったんですよ。これを受けて、完全新作を制作しよう! ということになったのですが、ちょうどそのタイミングで当時のプロデューサーが退職することになりまして。

 その穴埋めも含め、事業部長より「新作をどうする?」という相談を受けているうちに、いつの間にか私が担当することになっていた……という次第です。
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――開発チームは何人くらいですか?

鈴木
 増減はありますが、多いときでも40人程度だったと思います。大規模開発が多くなっている昨今にしては、小さめの開発体制になりますね。前作のリリース後にAmazon Luna(Amazonのクラウドゲーミングサービス。アメリカで展開)版への移植を終えてからスタートしたので、開発期間は約2年。最初は「今度のモンキーボールはバトルも熱い!!」をコンセプトに掲げたんですよ。
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鈴木
 シリーズ全体を通して、見た目や操作性はカジュアルですが、ゲーム性はややコア寄りなところがあります。私たちからすると“シンプルな操作で誰でも楽しめる”ことや“やり込むほどにハマる奥深さがある”といった点を伝えたい。新規の方にも興味を持ってもらうには、これまでの延長的なやり方では難しいかもしれない。もっとライトに遊べる雰囲気を突き詰めて、最大16人でのオンラインマルチプレイができる“バトルモード”を新規要素として搭載してみました。

 みんなでギミック満載のステージに挑み、ぶつかり合って、わちゃわちゃ感を楽しんでもらう。そんな遊びを新しく追加することで、プレイして楽しいのはもちろん、見ていても楽しいゲームになれば……と思い、こちらのコンセプトを打ち出したわけです。
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――それが先ほど話題に挙がった“配信を観て楽しむ”にもつながってくると。コンセプトがこれまでとは変わるわけですよね。どういう点から開発に取り掛かったのでしょうか。

鈴木
 最初に作ったのは“ゲームのイメージ画像”です。コンセプトを掲げても、そこから連想するイメージは人によって異なりますからね。まずは開発陣にとっての“目指すべき完成形”を統一させたい。チーム内で話し合って作成したのが、こういった画像です。メディア体験会でもお見せしたかと。
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鈴木
 そこから各メンバーが要素を膨らませたり、具体化していくことで、ゲームを形づくっていきました。遠回りに思われるかもしれませんが、意思の統一をしていたからこそ、最初に作ったイメージ画像の雰囲気にかなり近いゲームができたと考えています。

――このイメージに近づけるにあたり、どういった点にこだわりましたか?

鈴木
 バトルモードの仕様ですね。コンセプトの話と重複しますが、シンプルな操作で誰でも楽しめる。しかしやり込むほどにハマる奥深さがある。そして新規の方も十分に(奥深さを)実感できる。言葉で言うのは簡単ですし、ゲーム開発者なら誰もがそれを実現したいはずですけど、これがまあ悩ましい。
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――あえて重要なポイントを挙げるとするなら?

鈴木
 “運”の要素です。おサルを操作するアクションゲームなので操作が上手なほど勝てるのは間違いないんですけど、100%テクニックで決まると興奮が少ないんですよ。うまい人にはどうやっても逆転できないですからね。運の要素もしっかり絡むようにゲームをデザインしています。

 ルールやステージ作成に関しては、作ってはテストプレイ、作ってはテストプレイ。そこで出た意見を参考にどんどん改善していき、いまの形に落ち着きました。ゴールハントの“ラストボーナス”や、ロボブレイカーの“ゴールデンロボ”といったギミックも、その一環で追加した要素です。アクションが苦手な人でも展開や運次第で逆転可能。そんな塩梅にうまくもっていけたんじゃないかなぁと思います。
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ゲームの最後にラストボーナス。チームのゴール1つにつき50ポイントが得られる(左)。
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終盤に登場するゴールデンロボを撃破すると高得点(左)。とてもわかりやすい逆転要素と言える。
――運で負けると、身に着けたテクニックがムダになったと感じてしまうのでは。

鈴木
 バトルモードで培ったスキルは別のモードで活かせるので、完全にムダにはならないと思いますよ。これまでの『スーパーモンキーボール』では、ミニゲームが完全に独立した別ゲームになっていましたが、今回のバトルモードは操作や挙動などの基本システムがアドベンチャーモードと共通。ふたつのモードはどちらから遊んでも経験がムダにならない設計になっています。

――共通点が多いということは、開発はスムーズに進んだのでしょうか?

鈴木
 アドベンチャーモードは過去の経験があるので、難度調整などの手は加えていますが、作業そのものはスムーズに進みました。それとは反対に、バトルモードの開発はなかなか……。とくにルールとステージの構成を固める作業はたいへんでした。
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鈴木
 たとえば、“レース”。見た目もやることもアドベンチャーモードに近いのですが、実際に作ってみると全然違うんですよ。人数が16人になるので道の幅から変えないといけないですし、コースの組み立て方も難しい。たとえば、ショートカットを狙ったら横からぶつかられてぎりぎり成功/失敗するバランスにするにはどうすればいいか。ベーシックな部分から正解を探りつつ形にする作業には苦労しました。

 あとはやっぱりテクニックと運のバランス。逆転の可能性を盛り込む調整にも骨が折れました。せっかくうまくなったのに運で負けるのはストレスになるので、どの程度まで運の要素を強めるか? というバランスの見極めは難しかったですね。

――対戦ゲームですけど、相手を直接攻撃して倒すような仕様は少ないと思います。これにはどんな理由が?

鈴木
 妨害用のアイテムがそれに当たりますけど、たしかに多くはないですね。最初はそういうアイデアがたくさん出ました。たとえば、見えないところからアイテムを食らってやられるとストレスじゃないですか。完全にゼロにするのも問題かなと思いますので、ミサイルが飛んできたらわかるようにしたり。それでいまのバランスになっているんです。
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鈴木
 今回はすごい回数の内部テストをやったんですよ。週2ペースでやって、アンケートを毎回取りました。おもしろさ何点、ステージ何点って。これはいいやり方だったと思います。大人数を集めたりテスト版が動かなかったり、たいへんなこともたくさんありましたけど。

――対戦ゲームはしつこいくらいに内部テストをやるのが大切なんですね、やっぱり。

鈴木
 前はテストプレイをして意見交換する感じでした。今回はしっかりアンケートを取ったのが地味だけど大切だったなと感じます。みんなで冷静に意見を出して反映される。透明性があるとチームの雰囲気もよくなるかなと。

 あとシンプルに、みんなでテストするのが楽しかったですね。RPGだとこういうテストはできないですから。昔のアーケードゲーム開発に近いかもしれせん。

――社内レクリエーション兼テストみたい。ただでさえバランス調整が難しいのに、新アクション“スピンダッシュ”が入っています。どういう経緯があったのでしょう?

鈴木
 完全新作を作るにあたり、ユーザーの皆さんにやり甲斐や遊びの幅を感じていただける要素がほしかったんですよ。それはやっぱり“テクニック”だろうと。16人対戦のバトルを実装するうえでも、操作テクニックに依存する部分を増やすことは必須だとも考えました。操作がうまくいって勝てるとうれしいじゃないですか。
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鈴木
 スピンダッシュはおはじきみたいに狙った方向にダッシュするアクションです。シンプルなわりに、初心者にとっては手軽にダッシュやジャンプができる爽快な要素として、上級者にとってはショートカットやクリアータイム短縮のためのやり込み要素として、使いどころが多いんですよね。遊びにほどよいエッセンスを加えることができたと思っています。

 複雑でかっこいいアクションを入れることもできると思います。ただ、それだと
『スーパーモンキーボール』シリーズのおもしろさを阻害しかねないんですよ。
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――対応機種にNintendo Switchを選んだのは操作性のためですか? 昨今ではマルチプラットフォームのタイトルが増えていますが。

鈴木
 いちばんの理由は、今作のウリである16人でのオンライン対戦を安定したクオリティでお届けするためです。ハードを絞ることでより細かく、お客様に楽しんでいただけるレベルに調整できたんじゃないかと思います。

 ほかのハードではなくSwitchを選んだ理由はシンプルです。前作をご購入いただいたお客様が遊ばれていたハードはSwitchがいちばん多かったんですよ。お客様からのご要望があれば、将来的なプラットフォーム拡大も検討していけると思いますので、
『スーパーモンキーボール バナナランブル』の応援、何卒よろしくお願いします!
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――となると、国内の人気も高めていきたいですね。何か施策はお考えですか?

鈴木
 そもそもの認知度を高めるために、ゲーム以外の展開を検討しています。マンガ、アニメ、グッズのリリースなども行うことでキャラクターの魅力をアピールできれば、ゲームの売り上げにもつながってくるのではないかと。とはいえ、予算が潤沢にあるわけではないので、いまは下地を作って種を仕込む作業をコツコツ続けている感じですね。

――マンガやキャラクター展開というと、ターゲットは若年層ですか?

鈴木
 そういった感覚もありますね。セガのゲームとしては、数少ない“お子様やファミリー層向けのタイトル”になります。アメリカで売れているという点も含めて、方向性としては『ソニック』シリーズに近く、将来的に『ソニック』に準ずるタイトルになってくれることを期待しています。
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鈴木
 ちょっと表現は難しいんですけど、セガっぽくないと言いますか、任天堂さんのハードにマッチするタイトルだな……とも思っていまして。過去に任天堂ハードのローンチタイトルとして出させていただいたこともあるので、お客様の中には本シリーズを任天堂さんのタイトルだと思っている方もけっこういらっしゃるみたいです。

――任天堂的な雰囲気のあるポストソニック……。ふしぎな立ち位置のゲームですね。

おさるランド&アニタウンの動物はかわいい

 この記事の写真を見ているうちに動物たちと触れあいたくなったはず。栃木県のおさるランド&アニタウンは動物たちに会えるスポット。日光さる軍団のショーはしっかりしたコントになっていて驚いてしまった。

 とてもかわいいので、みなさんもぜひ。
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「疲れちゃった~」とお兄さんに甘えるおさる。

おさるランド&アニタウン所在地

栃木県日光市柄倉763

[電車・バス利用の場合]
鬼怒川温泉駅 3番のりば
“おさるの学校・日光江戸村”行き(約15分)

新高徳駅 のりば
“日光江戸村”行き(約5分)

営業時間

  • 平日:10時~16時(最終入園15時)
  • 休日・祝日:9時~16時(最終入園15時)

入園料金

「おさるランド&アニタウン」パスポートプラン
 メインステージの観覧、サブステージの観覧、アニタウン(ペンギンガーデン・ねむり猫カピ屋敷・アニマルバレー)の入場が含まれる。この記事の写真みたいなことを楽しみたいならこちら。

  • 大人(中学生以上) 当日券:3000円 / 前売券:2700円
  • 小人(4歳以上) 当日券:1800円 / 前売券:1600円
  • シニア(65歳以上) 2500円

[障がい者割引チケット]
  • 大人(中学生以上):2000円 / 小人(4歳以上):1200円

「おさるランドショー」プラン
ステージショーだけを楽しみたいならこちら。

  • 大人(中学生以上) 当日券:2300円 / 前売券:2000円
  • 小人(4歳以上) 当日券:1100円 / 前売券:900円
  • シニア(65歳以上) 1800円

[障がい者割引チケット]
  • 大人(中学生以上):1500円 / 小人(4歳以上):700円

[団体割引チケット(20名以上)]
  • 大人(中学生以上):2000円 / 小人(4歳以上):1000円
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