「はやぶさ」と「こまち」の連結が走行中に外れたトラブルを受け、連結での運行を中止していた東北新幹線は3月14日、8日ぶりに連結運転を再開した。対策は連結器を動かすレバーを金具で固定することだ。「安全」「時間に正確」というイメージが強い新幹線は近年、トラブルが相次いでいる。利用客の信頼を取り戻せるのか、JR東日本は正念場を迎えている。

8日ぶりに連結運転を再開
JR仙台駅のホームにも14日午前9時半ごろ、連結して東京へ向かう「はやぶさ・こまち10号」が到着。予定された通りの時刻に到着し、予定通り午前9時31分に仙台駅を出発した。この時点ですべての連結列車が運転を再開したわけではなかったが、順調に再開できている様子がうかがえた。

電気的な異常が発生か
今回のトラブルは3月6日、都内を走行していた「はやぶさ」と「こまち」の連結が外れ、自動的にブレーキがかかって緊急停車したもの。原因は「こまち」側に電気的な異常が発生し、連結器を分けるレバーが動いたためとみられている。トラブル直後に撮影されたJR東日本提供の映像には、停車後も「こまち」の連結器が動き続ける様子が映っていた。
運輸安全委員会も重大インシデントと認定。翌7日には宮城県利府町にある新幹線総合車両センターに調査官を派遣した。

連結器解錠の仕組みと推定経緯
JR東日本によると、連結が外れた経緯は以下のように推定されるという。
連結器は、こまち側のシリンダーを圧縮空気で動かすことで解錠できるようになっている。圧縮空気は、電気により空気管を開閉する電磁弁で送り込んでいて、電磁弁とシリンダーとの間にある空気管開閉器のレバーが「連結側」から「分割側」へ動くことで、シリンダーに圧縮空気が流れ、解錠の動作をする仕組みだ。
今回は、電磁弁が何らかの原因で動き、空気管開閉器のレバーが「分割側」に切り替わったことで、連結器が解錠されたとみられるという。

対策はレバーの固定
JR東日本が当面の対策として挙げたのが、運転室にある空気管開閉器のレバーを金具で固定することだ。
東北新幹線は、盛岡駅で秋田新幹線「こまち」と、福島駅で山形新幹線「つばさ」と連結して運転している。連結後に運転室に係員が入り、レバーを金具で固定する作業をすることで、走行中に誤って連結が外れることを防ぐという。
作業には数分かかるというが、JR東日本はダイヤの変更や遅れはないとしている。

利用客から不安の声も
JR東日本は運転再開前に盛岡駅から仙台駅の間で試験走行を行うなど、安全性を確認。3月14日から順次、連結運転を再開した。
利用客は「ちゃんと動くのか心配だった」「怖いなと思ったが、安全に再開すると聞いて来た」などと話し、生活になくてはならない新幹線への期待と不安を口にした。
東北新幹線は2024年にも連結が外れるトラブルやパンタグラフの故障、保守用車両からの油漏れなどトラブルが相次いだ。世界に誇る「日本の新幹線」の真価が今、問われている。
