富山湾で最も多く獲れている魚はなんだと思いますか?

答えは、実はイワシで6800トンあまりとダントツで多くなっています。

そして、イワシの漁獲量の推移を見ると、ここ5年間は毎年多く漁獲されています。
いったいなぜなのか、その理由を取材しました。


先月21日ー。
*中田アナウンサー
「午前1時半の岩瀬漁港です。寒波の影響もあり現在の気温は、氷点下1度以下となっています。この寒さのなか漁師たちがこれから港を出港します。」

先月下旬、岩瀬漁港の定置網漁船にのせてもらい、今、富山湾で何が起きているのか取材しました。

出港して15分ほどで定置網がしかけられた場所に到着。
2隻の船で網をたぐりよせていきます。

*中田アナ
「定置網が水面近くまであげられてきました。網の表面にはおびただしい数のイワシが見えます。表面のほうでピチピチと跳ねています。」

見えてきたのは、群れで泳ぐイワシです。

*中田アナ
「網のなかから次々に魚が引き上げられていますが、網の中のほとんどの魚はイワシです。大量のイワシが次々に引き上げられています。」
「とにかく網のなかにはイワシ、イワシ、イワシです。」

こうした状況に漁師は…

*漁師
「(Qきょうのイワシの数は?)いつもは倍くらい。きょうは少ない。
(今年は)イワシはすごく多い。」

*漁師
「(Qウマヅラハギは最近少ない?)最近少なくなった。」

*深曳漁業 小林貴幸組合長
「ここ5年くらいはずっとイワシが続いていて、例年だとスルメイカやカワハギの時期だが、ここ5年はずっとイワシが大量。」

こうした状況は、岩瀬漁港だけではありません。

今月1日の滑川漁港。ホタルイカ漁解禁の日も…。

初日はイワシが大漁に入り、ホタルイカの漁獲はわずかとなりました。

県水産研究所の調べによりますと、イワシの中でもマイワシが最も多く、漁獲量は2020年以降ここ5年間、毎年4000トンを超えています。

*県水産研究所・海洋資源課 瀬戸陽一副主幹研究員
「富山県においては2012年くらいから本格的にマイワシの大量漁獲が起きて、2000トンを超えるレベルでの漁獲が続いていたが、2020年以降においては毎年4000トンを上回る漁獲量がある。」

また、直近の4カ月で比較してみると、12月まではほとんど漁獲されていなかったなか、2月は約4000トンに急増。

なぜ、各漁港でこの時期多く漁獲されるようになったのか…、マイワシが富山湾に回遊するしくみについて、現在研究が進められています。

*県水産研究所 海洋資源課 瀬戸陽一副主幹研究員
「(マイワシは)2月~3月くらいに大量来遊することが多いが、ここ3年は2月上旬に富山湾に大量来遊してくるパターンが続いている。」

そのうえで、瀬戸研究員は一部のマイワシの群れが太平洋から津軽海峡を通り、日本海に入り込んだと仮説をたてています。

太平洋北部の海水温が8度以上の日数が多くなると、富山湾で獲れるマイワシ漁獲量が増える相関関係があることがわかっていて、海水温が上昇すると、津軽海峡を通り抜けやすくなり、日本海に入り込む群れが増えるのではないかとみています。

*県水産研究所・海洋資源課瀬戸陽一副主幹研究員
「まだ仮説ではあるが、太平洋からマイワシが来ているという科学的根拠をもった仮説が示されている。太平洋からの来遊がポイントだと考えている。太平洋から日本海への来遊のひとつの影響する要因としては太平洋北部の水温が関係してくるのではないか。近年、太平洋北部においても水温が上がってきているというデータもあり、そういったことから考えると日本海にマイワシが来遊しやすい条件になってきている。富山湾への来遊も増えてきていると考えている。」

太平洋北部の海水温の上昇が影響していると見られるマイワシの豊漁。

これから最盛期を迎えるホタルイカ漁に影響することが心配されますが、岩瀬漁港の定置網の漁師は「海の恵みには変わりがない」と、富山湾の変化を受け入れています。

*深曳漁業 小林貴幸組合長
「売り上げは(イワシは)あまり単価が安いので…」
「スルメイカやカワハギの方が単価が良いので、売り上げ的には良いが、何も水揚げがないよりはイワシが入ってくれた方が助かる。」

この時期のマイワシは、脂ものっていて非常に美味しいということです。
値段も安く手に入りますので、ぜひ皆さん大漁のイワシを食べて、地元の定置網漁師さんたちを応援するというのもいいのではないかと思います。

富山テレビ
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