2025年の十二支は、動物で“蛇”を表す「巳」(み)。そこで、蛇にゆかりのある神社や寺に初詣するのはどうだろうか?もしかしたら、御利益を得られるかもしれない。

行き先に迷っている人へ、都内の蛇にまつわる神社仏閣として、不忍池辯天堂と蛇窪神社を紹介する。

体は「蛇」顔は「人」の神様!?

まずは、台東区の上野恩賜公園にある「不忍池辯天堂」(しのばずのいけべんてんどう)。

不忍池辯天堂の本堂前(編集部撮影)
不忍池辯天堂の本堂前(編集部撮影)
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ここの本堂前で、蛇に関連する不思議な像が見られるのを知っているだろうか?

こちらが「宇賀神」の像(編集部撮影)
こちらが「宇賀神」の像(編集部撮影)

「宇賀神」という神様の像で、体はとぐろを巻いた蛇、顔は老人の姿をしているのだ。名前は日本古来の「ウカノミタマ」 という神が源流になっているとのこと。

「お顔は神様として分かりやすいよう、仙人に近い老人の姿になったのではないかと推測されます。お体が蛇なのは豊穣、豊かさを意味しているからですね」

寛永寺の執事・石川亮岳さん(編集部撮影)
寛永寺の執事・石川亮岳さん(編集部撮影)

こう説明するのは、寛永寺の執事・石川亮岳さん。不忍池辯天堂は、江戸時代の寛永年間(1624~1644年)に寛永寺が建立したもので、今も管理を担っているという。

諸説あるが「辯才天」(弁才天)の使いの動物が蛇であることなどから、宇賀神と辯才天には縁があり、どちらも財産や幸福などをもたらすとして、古くから信仰されてきたそうだ。

蛇に関連した2つのスポット

宇賀神に参拝するなら、像ではなく周囲に3つある「宝珠」(御利益が詰まった玉)をなでるのが望ましい作法だという。ただ作法だけでなく、石川さんは「心」も大事と語る。

宇賀神の周囲には「宝珠」が(編集部撮影)
宇賀神の周囲には「宝珠」が(編集部撮影)

「お寺は基本的に合掌礼拝となりますが、行為が大事なのではなく、内包されている精神性が大事です。姿勢や居住まいを正し、真摯な気持ちで手を合わせていただければ」

堂内に祀られた「辯才天」像(編集部撮影)
堂内に祀られた「辯才天」像(編集部撮影)

不忍池辯天堂にはこのほか、蛇に関連した2つのスポットがある。

(1)本堂内に祀られた「辯才天像」
肉眼で見るのは難しいが、頭上に小さな宇賀神が鎮座している。
(2)本堂内の天井に描かれた龍の絵
諸説あるが、現代の龍のイメージは、古代インドの“蛇信仰”がもとになったとみられるそう。

本堂内の天井に描かれた龍の絵(編集部撮影)
本堂内の天井に描かれた龍の絵(編集部撮影)

実際に訪れたときは、これらもチェックするといいかもしれない。

「蛇」に関連するお守りも

不忍池辯天堂では、初詣やお守りにも注目だ。

不忍池辯天堂(編集部撮影)
不忍池辯天堂(編集部撮影)

不忍池辯天堂の初詣は「二年参り」という形式がある。これは、12月31日~1月1日の“年またぎ”にかけてお参りすることで、旧年と新年、2年分の御利益があるとされる。

「お堂の中でお祈りを続けられるよう、夜中もお堂を開けております」

不忍池辯天堂のお守り(編集部撮影)
不忍池辯天堂のお守り(編集部撮影)

このほか通年で、辯才天、宇賀神をはじめとした「蛇」に関連するお守りを授与する。12日に1度の吉日「巳の日」のみ並ぶ、お守りもあるそうだ。