エノキ、腸に似た形と白い色が肺を助ける 秋の健康食材

 

になると、五行思想における「金」のエネルギーが強まり、に影響を与えると考えられています。そこで、肺を健康に保つことが大切であり、大腸も一緒にケアする必要があります。中医学では、肺と大腸は陰陽の関係にあり、どちらも「金」に属しています。「金」は白色に対応しており、肺が白い色をしているのと同じように、大腸も「白腸」と呼ばれています。この二つの臓器は、密接に関係していて、一緒に働くとされているのです。

肺と大腸は陰陽の関係にあり、どちらも「金」に属している(チャスコ / PIXTA)

 

興味深いことに、自然界は人間にとって優しい存在です。秋の乾燥した気候が肺や大腸に負担をかけないように、自然はたくさんの美味しいキノコを秋に育てます。その中でも、エノキは特に目を引きます。エノキは細長く、白く、中が空洞で、先端には「白い傘」のような部分があります。肺は「華蓋(かがい)」と呼ばれ、美しい傘の意味があるため、エノキは肺や大腸に通じる形に見立てられます。中医学の「形を補う」という考え方に基づき、エノキは肺を潤し、乾いた咳を和らげ、便通を良くし、胃腸の健康をサポートする効果が期待されます。

白い食材は、肺を助けると考えられているため、エノキ、鶏肉、豆腐などの白い食材を使い、さらに気血を巡らせ、体を温め、湿気を取り除くとされる緑の紫蘇を加えた、栄養たっぷりで低カロリー・低脂肪の秋の健康レシピを提案します。
 

「エノキと大葉のつくね」

材料(2-3人分)

鶏胸肉:200g

白いエノキ:150g

木綿豆腐:100g

卵:1個

大葉:5~7枚(お好みで調整)

小ねぎ:1本

生姜:10g

片栗粉またはコーンスターチ:大さじ2

胡椒:小さじ1/4

醤油:大さじ2

みりん:大さじ1(お好みで)

塩:適量

油:適量(つくねを焼くため)
 

作り方

1. 食材の準備

鶏胸肉を小さく切り、フードプロセッサーでひき肉にします。市販のひき肉を使う場合は、このステップは不要です。

エノキを洗い、根元を切り落とし、1~2cmの長さに切ります。

豆腐はキッチンペーパーで包み、軽く押して余分な水分を取り除き、つぶしておきます。

小ねぎはみじん切り、生姜は皮をむいてみじん切りにします。大葉は細かく刻みます。

2. 食材を混ぜる

大きなボウルに、鶏ひき肉、エノキ、つぶした豆腐、小ねぎ、生姜、大葉を入れます。

卵を割り入れ、片栗粉、醤油、みりん、胡椒、塩を加えます。

手や菜箸でしっかりと混ぜ、全ての材料が均一に混ざり、少し粘り気のある肉だねになるまで混ぜます。これによって、つくねがふんわりと柔らかく仕上がります。

3. つくねを作る

肉だねを2~3等分に分け(人数や好みに応じて大きさを調整)、手で丸型や楕円型に整えます。

フライパンに油を適量入れ、中火で熱します。

つくねをフライパンに入れ、片面を約4~5分焼きます。両面がこんがりと焼き色が付き、中まで火が通るようにします。蓋をして蒸し焼きにすると、早く火が通ります。

焼き上がったら、フライパンに少量の醤油と水(または酒)を加え、つくねに味を染み込ませます。煮汁がなくなるまで煮たら、お皿に盛り付けて完成です。
 

中医学に基づく養生効果の解説

エノキ:性質は穏やかで、肺、胃、大腸に働きかけるとされています。そのため、肺や胃腸の機能を優しく整える助けになると考えられています。
a. 肺を潤す:白い色は五行で「金」に属し、肺に作用するとされています。エノキは肺を潤し、乾いた咳や喉の乾燥を和らげ、呼吸器系の健康維持に役立つ可能性があります。
b. 便通を促す:大腸に働きかけ、腸を潤し、便通を促進します。また、豊富な食物繊維を含んでいるため、腸の動きを活発にし、便秘予防や体内の老廃物の排出に役立つとされています。
c. 胃腸を整える:胃に作用し、消化を助け、胃腸の機能をサポートします。食欲不振や消化不良の改善にも役立つとされています。
d. 免疫力を高める:エノキには多くのアミノ酸や多糖類が含まれており、これが免疫機能をサポートし、体の抵抗力を高める助けになると考えられています。
 

鶏胸肉:温性の食材で、白い色が肺に作用するとされています。また、脾や胃にも働きかけるため、胃腸をサポートし、気血を補う効果が期待できます。体力が弱い人や、気血が不足している人に適しており、消化吸収が良く、疲労回復や体力増強、美肌効果、免疫力の向上が期待できます。

鶏胸肉は肺に作用するとされ、脾や胃にも働きかけ胃腸をサポートし、気血を補う。
他にも疲労回復や体力増強、美肌効果、免疫力の向上などの効果があるとされている(Shutterstock)

 

豆腐:性質は涼性で、脾、胃、肺、大腸に働きかけるとされています。豆腐は胃腸を整え、体を冷やし、肌や内臓を潤す助けになります。また、消化機能の改善や夏の暑さによる体の熱を冷ます効果があり、秋に肺や大腸、肌、喉や鼻の乾燥を防ぐために特に適していると考えられています。

豆腐は胃腸を整え、体を冷やし、肌や内臓を潤す助けになる。秋には肺や大腸、肌、喉や鼻の乾燥を防ぐのに特に適していると考えられている(Shutterstock)

 

大葉(紫蘇):温性で、辛味があり、肺や脾に作用するとされています。大葉は胃腸を整え、体内の湿気を取り除き、肺や胃の冷えを和らげる助けになります。気血の流れを良くし、心肺機能をサポートし、秋に多い風邪の症状や胃腸の不調を改善し、食欲を増進する効果が期待できます。さらに、日常的な抗がん効果や心血管疾患の予防にも良いとされています。
 

結論

このつくねは、寒熱のバランスが取れた栄養豊富な一品であり、高カロリーや高脂肪の心配がありません。また、肺を潤し、便通を促し、胃腸を整え、気血の流れを良くするという中医学の養生効果が期待できます。そのため、秋の肺や胃腸のケアに最適であり、現代の高血圧、肥満、がん、心血管疾患を持つ方々にも健康的な選択肢として非常に適しています。

 

(翻訳編集 華山律)

 

白玉煕
文化面担当の編集者。中国の古典的な医療や漢方に深い見識があり、『黄帝内経』や『傷寒論』、『神農本草経』などの古文書を研究している。人体は小さな宇宙であるという中国古来の理論に基づき、漢方の奥深さをわかりやすく伝えている。