富裕層や企業向けのビジネスユースだけでなく、アウトドア派にとっても“目指したい存在”の1台といえます。そのVクラスが2024年に大幅なアップデート(マイナーチェンジ)を受け、日本に上陸しました。
より存在感を高めた外観と、上質さを向上させた内装、そして洗練度を増した乗り心地など、これまで以上に水準を高めた「キング・オブ・ミニバン」の変身ぶりをチェックしてみましょう。
Vクラスってどんなクルマ?

5本のクロームルーバーを備えた新デザインをデザインを採用。

ガラス面を広くとったリアゲートが特徴。
1996年に商用VANの「Vito」の乗用バージョンとして登場。ワイドでスクエアなスタイリングと、商用ならではの広く使い勝手のいい室内空間を高級仕様に仕上げ、さらにはアレンジ自在な3列シートによって多人数乗車を可能にして“プレミアムミニバン”という新セグメントを創出したのが、「Vクラス」です。
1998年には欧州製のミニバンとして日本に初上陸。「メルセデス・ベンツのミニバン」という新たな価値観は、大きな注目を浴びました。
たっぷり積めて、人も乗れ、その走りと安全性、そして上質な作りはメルセデスの基準をクリアしたVクラスはその後、2003年に2代目、そして2015年に3代目とフルモデルチェンジを経て、進化を遂げてきました。
どの世代もメルセデスの名に相応しい快適性と機能性を備え、さらに日本のユーザーのニーズにあわせた装備や専用アクセサリーの拡充を図ったことで、日本での累計販売台数は約3万台を達成したロングセラーモデルです。
今回は好評を維持している3代目のビッグマイナーチェンジ版。ボディはこれまでどおり「標準」、「ロング」、そして「エクストラロング」の3種類が用意されていて、エンジンは燃費性能が12.6km/l (WLTCモード)という2.0Lディーゼルエンジンのみという構成です。
機能はそのままに内外装のデザインを刷新

リアコンビネーションランプのデザイン変更のほかに「Mercedes-Benz」のレタリング、ブラックインサートが入って引き締まった印象に。
今回のマイナーチェンジで中心となったのは、内外装のブラッシュアップによって上質感、存在感が向上したことです。まず外見で注目したいのはフロントマスク。堂々たる存在感を放つ大きなグリルには5本のクロームルーバーを配し、その下には左右のマルチビームLEDヘッドライトを結ぶ帯のように「ハイグロス(光沢)ブラックパネル」が備えられています。
さらにボンネットの先端にはスリーポインテッドスターのマスコットが採用され、ほかにもリアコンビネーションランプのデザイン変更などを行い、引き締まった印象に仕上がっています。
3つのボディタイプを選択可

標準、ロング、そしてエクストラロングといった全長の違う3タイプのボディから選択可能。今回テストしたのはロング。
アウトドア好きにとって気になる点といえば、最上級クラスの使い勝手と表される実用性です。まずVクラスの大きな特徴である“用途に合わせて3つのボディサイズから選択可能”という利点は、今回も引き継がれています。全幅(1,930mm)と全高(1,880mm)は共通ですが、全長は標準仕様(4,895mm)、ロング(5,140mm)、エクストラロング(5,370mm)が用意されています。
今回試乗したロングでも運転のしやすさには大きな違いはなく、特別なストレスも感じることはありませんでした。それ以上に、標準ボディを越えた広さや使い勝手の良さは大きな魅力に。満足度の方が大きいのです。
さすがにエクストラロングを私用車として乗り回すのは大変ですが、仮に自宅ガレージなどの問題がなければロングボディは十分に魅力的な選択であり、アウトドアでの可能性も広げてくれます。
ラグジュアリーなバンライフを切り拓く積載能力

開閉式リアウインドウを採用。荷室を上下2分割する、脱着式の「ラゲッジルームセパレーター」を使えば、小物やバッグなどを置くときにも重宝。
テールゲートはガラス部分が独立して開閉できる方式。狭い駐車場などでも荷物の積み下ろしがしやすいです。荷室はフル乗車(7人)で1,030L。最大4,650Lまで拡大できます。参考までに荷室容量の増減は標準ボディで610~4,200L、最長ボディのエクストラロングは1,410~5,010Lです。

シートをすべて立てた状態でもソロキャンプ程度の荷物なら積める。
3列目シートを前方へとスライドさせ、さらに折りたたむことができるので、グループキャンプでも十分に対応できるほどの積載能力です。ヨーロッパではベース車両が商用車としても活躍していることを、改めて思い出させてくれます。
ただし、1点だけ問題があるとすれば操作性です。シートのスライドや折りたたみにはそれなりに力が必要で、非力な人は苦労しそうです。このあたりの操作性の良さは日本のミニバンがやはり優れていると感じます。

3列目シートを前にスライドしておりたたんだ状態。広い!
リムジン級のくつろぎシートで長距離も楽々

撮影した「V 220 d EXCLUSIVE long Platinum Suite」は、煌びやかな「アルミニウムインテリアトリム」と全席ナッパレザーシートを採用。カップホルダー、USBポート、スマートフォン用トレイ、小物入れが備わる。
次にシートアレンジについて。今回試乗したロングは、「プラチナムスイート」という仕様で、すべてのシートに柔らかな風合いのナッパレザーを採用。「これこそメルセデス」といいたくなるほどの座り心地を実現しています。
ロングドライブになるほど、その出来の良さを実感する作りです。とくに2人がけの2列目シートは左右独立式のエクスクルーシブシートが標準。フットレストやリクライニング、ヒーター、ベンチレーション、リラクゼーション機能など、快適機能が満載です。フロントシートの背もたれ裏側にあるピクニックテーブルを引き出せば、まさにファーストクラスのような極上の環境に。

ピクニックテーブルもがっちりとした作り。さすが!
3列目はさすがにゆとり十分とはいえませんが、よくあるエマージェンシーシートのような窮屈さはありません。ナッパレザーのシートは3座が独立していて、3 点式シートベルトもそれぞれに一体化で装備しています。
さらに足元空間も広く、Vクラスならではの快適な3列目シートを実現しています。なお、豪華な2列目も含め、3列目シートは取り外すことができまです。しかし、シートがしっかり作られているぶん、相応の作業になることは記しておきます。
走行中の安定感が高いから疲れにくい

メーター用(12.3インチ)とインフォテインメント用(12.3インチ)のスクリーンが繫がって一体化した前面パネルを採用。対話型インフォテインメントシステム「MBUX」を標準装備。ボイスコントロールは「ハイ、メルセデス」をキーワードとして起動。
Vクラスに搭載されるエンジンは、2Lの直列4気筒クリーンディーゼルのみですが、優れた効率を実現する燃焼システムなど、メルセデス最先端のテクノロジーが投入されています。最高水準のクリーン性能とともに、アクセルを踏み込んだ瞬間からレスポンスの良さと力強いトルク、スムーズな吹け上がりを体験できます。
最高出力は163馬力(120kW)、最大トルク380Nmで、決して強烈ではありませんが、スタートから不足を感じることがありません。トランスミッションは9 速で、適切なギアを自動でセレクトしながら加速するフィールは実に心地いいものです。燃費はロングで12.6km/l(WLTCモード)。優れたエネルギー効率と快適性を実現したパワートレーンです。

ディーゼルエンジンは燃費性能だけでなく振動、騒音も低減。
さらに走りで感心したのは、ロングとエクストラロングに標準で装備されているエアサスペンションの乗り味です。高速走行時には車高を下げることで、スポーティなドライビングが愉しめます。コーナリングにもフラット感のある走りを実現し、ミニバンにありがちな腰高感も抑えられています。
そして未舗装の道では、車高を上げることで走行時の安心感を高めます。エアサスペンションならではの極上の乗り心地と適応力の高さは、レジャービークルとしても重宝する機能です。
使い勝手のいい荷室にたっぷりとキャンプ道具を積み込み、快適なキャビンで快適な乗り心地に身を委ねながらのドライブは、遊び疲れた体を癒してくれること確実です。
【Mercedes-Benz V 220 d EXCLUSIVE long Platinum Suite 】
- 全長×全幅×全高=5,140×1,930×1,880mm
- ホイールベース:3,200mm
- 最小回転半径:5.6m
- ッ車両重量:2,530kg
- 駆動方式:後輪駆動
- エンジン:直列4気筒ディーゼルエンジン
- 最高出力:120kW(163PS)/3,800~4,400rpm
- 最大トルク:380N・m(38.7kgf・m)/1600-2400rpm
- 一充電走行距離:12.6km /L(WLTCモード)
- 車両本体価格:¥13,550,000~(税込み)
問い合わせ先 :メルセデス・ベンツ
TEL:0120-190-610