【インタビュー】DEZERT、武道館初ワンマンを振り返り2025年の新たな覚悟を語る「自分の強さを信じる。バンドの強さを信じる」

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DEZERTが2024年12月27日、自身初の日本武道館ワンマン<DEZERT SPECIAL ONEMAN LIVE at NIPPON BUDOKAN「君の心臓を触る」>を開催した。2階席の最上段まで鈴なりの客席は、2019年12月の渋谷CLUB QUATTRO公演MCで千秋(Vo)が「必ず満員の武道館でライヴを」と語ったヴィジョンを有言実行したかたちだ。演奏されたアンコールを含む全21曲のすべてが名場面。記念すべきこの夜にステージも客席も希望の光を浴び続けた。それから約1ヵ月が過ぎた頃に実施したのが、このインタビューとなる。

◆DEZERT 画像 / 動画

ついに実現した舞台上で、メンバー4人は何を思っていたのか。2025年が開けた今、彼らの視線の先には何があるのか。あの日を振り返るアフターインタビューはもとより、当日会場でCDを無料配布し、先ごろ配信スタートした「オーディナリー」に込められた思い、そして47都道府県ツアーをはじめとした2025年の展望など、次へのステップへ歩み始めた彼らがすべてを語ったロングインタビューをお届けしたい。


   ◆   ◆   ◆

■僕は武道館当日を迎えるのが
■すごく嫌だったんですよ


──初の日本武道館ワンマン<DEZERT SPECIAL ONEMAN LIVE at NIPPON BUDOKAN「君の心臓を触る」>から1ヵ月が経ちましたが、改めてどんなライヴであり、どんな1日だったかをお訊きできればと思っています。千秋さん、いかがでしたか。

千秋:終わった後に、“DEZERTって部活なんだな”ってめっちゃ思ったんですよ。僕はいろいろなインタビューで「武道館は終着点じゃないし、かといって通過点でもなく、今の最高地点」という話をしていたんですけど、終わった後は特に達成感もなく。なんか、全国大会の一回戦みたいな感じというか。県内では強くて有名だけど、全国ではまだ知られてない強豪校ってあるじゃないですか。そういう学校が全国大会に出たっていうイメージ。そこでの勝ち負けはついてないんですよ。あくまでも一回戦に出たという感じ。

──DEZERTの最高地点は、現時点では全国大会一回戦だと?

千秋:これは武道館が終わってからしか言えなかったことですけど、今の時代、目指すところって、CDの売り上げだけではないじゃないですか。CD100万枚セールスとかそういうことだけではなくて、分かりやすいのがやっぱり、ライヴ会場のキャパシティだと思うんですよ。もちろん「キャパとか関係ないよ」って言う人たちもいっぱいいて、そういうシーンもあるし、それはそれでカッコいいと思うんです。だけどやっぱり、武道館公演だから今回来てくれた人もいるわけで。

──特別感はありますよね。

千秋:ただ僕らは、“その次に行くために武道館をやる”って決めていたので、もともと武道館が最高地点ではないんですよ、絶対に。とはいえ、今のところは全国大会一回戦なんで、まだまだだなっていう感じですね。

──「勝ち負けはついてない」とおっしゃってましたが、その手応えは?

千秋:っていうよりも、一回戦に出たってことが今回の武道館なんです。


▲千秋(Vo)

──では、SORAさんはいかがですか。あの1日を振り返って。

SORA:あの1日だけでは振り返れないですね、やっぱり。一連の流れがあっての武道館だったから。渋谷公会堂で武道館ワンマンを発表して…なんならその前の渋谷CLUB QUATTROの千秋のMCから導火線に火が点いて、ROAD to 武道館じゃないけど、そこに向かって活動してきたから。そういう意味では、感動はしましたけどね。俺らが連れて行ったとか、俺らが連れて来てもらったとかじゃなくて。みんなで過ごした1日って感じだったんで。でも、終わった後は焦りしか感じなかったです。

──焦りですか? やはり達成感ではなく。

SORA:俺、今年で34歳になるんですけど、死ぬまでバンドを続けたいんですよ。そう考えると、“俺はあと20年とか30年とか、こうやってファンをワクワクさせることや、俺ら自身が興奮することを考え続けなきゃいけないんだな……え、それってやばくない?”っていう焦りです。当日はもちろん感動したし、武道館ライヴをやることによって新たな出会いも再会もあったから、そのことにはすごく感謝しているんですよ。ただ、たとえ次にどこでやるにしても、ファンがそのために仕事を頑張ろうと思えたり、その1日に対して自分たち自身がワクワクしたりとか、そういったものを今後も提供し続けないといけない。さっきの千秋の言葉を借りるなら、全国大会って、そういうことをマジで毎日考えないといけないんですよ。だから、やっぱ焦りますよね。もちろんいい意味で。

──今後について真摯に考えることができたということでもありますか?

SORA:ここからどうするかっていうのは、たぶんみんなそれぞれ明確にあるんですよ。だけど、そこに向かっていくために、それをどう伝えて、どう続けていくのか。これからずっとそれを考えていかなくちゃいけないから…僕が選んだお仕事は大変だなって(笑)。


──(笑)。Sacchanはいかがでしょうか?

Sacchan:あの1日だけに対して、だいそれた感想を持ってるわけではない、という部分では僕も同じですね。もちろんすごく素敵な日だったことに間違いないし、皆さんが言ってくれているように、いいライヴができたんじゃないかなっていう手応えがある、というぐらいで。なんかね、僕は武道館当日を迎えるのがすごく嫌だったんですよ。

──なぜですか?

Sacchan:武道館でライヴをした後に自分の気持ちがどうなるのか…なんとなく整理できてない部分があって、それが本番が近づくにつれてどんどん顕在化してきて。別にバンドをやめたいとかじゃなくてね。終わった瞬間に、もっと気持ちが上向いていけるのか、ちょっと不安だったんですよ、個人的には。だから千秋君の言葉を借りるなら、全国大会に行きましたと──。

千秋:結構引用されてるな、全国大会……うん、いい例えだった。

Sacchan:うん、しっくりきてる(笑)。今までは県大会の準決勝とか決勝で負けてたけど、今回初めて全国大会に行きましたと。で、“全国大会にいけてよかったね”で終わっちゃうチームもあるわけじゃないですか。もしそうなったら嫌だなと思っていたんですけど、1ヵ月経って、気持ちの整理も今のところしっかりできている。自分の中で今後の展開をいろいろ考えていくにつれて、“まず全国大会の常連校になりたい”と思えたので。そういう意味で、今はすごく安心している状態ですね。もちろん次も安定的に出られるというわけではないですし。まず常連校になりたいという気持ちがあるという。

千秋:闘志があるってことだよね。

Sacchan:そう。また県大会で終わりたくないなっていう。


▲Miyako (G)

──Miyakoさんは?

Miyako:武道館の前からいろいろな場面で感謝を感じていたので、その気持ちを持ってステージに立とうと思っていたんです。だけど、いざステージで曲を演奏したときに、オーディエンスのパワーをものすごく感じて。今まで所属事務所のイベントで武道館のステージに立ったことは何回かあったけど、その時以上のパワーを感じたんですね。

──なるほど。

Miyako:たぶんそれは、俺らが武道館ワンマンを発表してから、ツアーをまわったりCDをリリースしたりとか、ここまで作り上げてきた道筋をお客さんも分かっていたからこそ生まれたものなのかなって。そう感じたときに、やっぱりすごく幸せな気持ちになったし、もっとそういうパワーをたくさん感じられるライヴをやりたいと思ったし、自分たちがそれを出せるステージをしたいなって強く感じたんです。

──いいですね。

Miyako:だからやっぱり、この武道館では終われないし、また武道館をやりたいなと思うし、DEZERTはその先に進むべきバンドなんだなって、メンバーながら思いました。そのためにも、自分自身もバンドも、もっと成長しなきゃいけない。武道館まですごく頑張ってきたけど、もっと頑張らないといけないんだなって、ポジティヴな気持ちでとらえましたね。それが自分の中で一番の収穫だったと思います。

──ちなみに当日のライヴ映像って、振り返って確認したりとかは?

千秋:僕は観てないです。


──SORAさんは武道館映像を使った「オーディナリー」のリリックビデオを編集されていますね。

SORA:リリックビデオ用に編集した動画はカメラマンさんが撮った素材なので、ライヴ映像っていう感じではなかったんですけどね。でも、PA席からの引きの定点映像は観ました。

Miyako:俺も演出はどうだったんだろう?”とか、気になってたところだけ飛ばしながら観ました。ステージで感じている印象と、外から見た印象ってだいぶ違うので。

──Sacchanは?

Sacchan:頭、中盤、終わりは観ました。それも引きの映像だったし、自分を見たというよりも、演出がどんな感じだったのかなと思って、その確認だけしました。照明さん、PAさん、映像さんとか、他にももっとたくさん関わってくれたスタッフがいるんですけど、ステージ演出のスタッフが和気あいあいとすごくいいコミュニケーションを取りながら取り組んでいたんですよ。だから、どれくらいのものができたんだろうなっていう興味がすごくあったので。

──実際に演出はかなり力が入ってましたよね。一丸となったスタッフチームの“絶対にいいものにするんだ”っていう気持ちも伝わってきましたので。Sacchanは客観的に観てどんな感想を?

Sacchan:よかったと思います。感謝ですね。

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