参院選直前に意味深? 岸田首相がトヨタ工場訪問、真のねらいは

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小林圭 松山紫乃
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 岸田文雄首相は17日午前、愛知県豊田市トヨタ自動車元町工場などを訪れた。自民党の首相が豊田市の同社を訪れるのは異例だ。しかも、参院選(22日公示、7月10日投開票)を間近に控えた意味ありげなタイミング。首相の真の狙いはどこにあるのか。

 豊田市の元町工場では、電気自動車(EV)やハイブリッド車燃料電池車などを生産している。首相は自動車の製造工程などを視察し、同社の豊田章男社長ら自動車業界幹部らと懇談した。

 首相は懇談後、記者団の取材に「懇談の中では、自動車産業の成長と分配への貢献について議論をいたしました」と紹介。豊田氏らからは、賃上げに取り組んだ今年の春闘についての説明があったとし、「政府としても、官民が連携して賃上げのトレンドはしっかりと維持し、より発展させていくよう努力をしていかなければならないと感じた」と述べた。

記事の最後では岸田首相と記者団との詳しいやりとりも紹介しています。「異例」ともいわれる今回の視察について、首相はなんと答えたのでしょうか?

 賃上げは政権にとって喫緊の課題だ。物価高騰が続くなか、賃金が上がらなければ消費は減り、景気が後退する恐れがある。参院選の争点にもなっており、首相は15日の会見で、原油や物価高騰に対応するための「物価・賃金・生活総合対策本部」を立ち上げると表明したばかり。党幹部は「製造業は利益があっても労働者に分配していなかった。それを企業内で分配していかないといけない」と強調する。

 だが、国会が閉会し、参院選が事実上スタートしたなかでの来訪には、別の思惑を指摘する声もある。

 自民の愛知県連幹部は「労組は嫌がるだろうが、賃上げは政府のお陰だということが組合員も分かるだろう」「自民党が労働者のことを考えていることを示せた」などと評価。党幹部は「労使協調で応援してほしい」と参院選での支援に期待する。

 こうした首相の動きに神経をとがらせるのが、一部野党とそれを支援する労組側だ。

 トヨタでは長らく経営側は自…

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