【3月15日 AFP】エボラウイルス病(エボラ出血熱)に感染したサルは薬剤での治療が可能で、人に関しても実用的で手頃な価格の治療法につながる可能性があるとの研究結果が14日、米科学誌サイエンス・アドバンシズに掲載された。

1976年に初めて存在が確認され、コウモリが宿主とされるエボラウイルス病は、患者の体液との直接接触で感染する致死性のウイルス性疾患で、多臓器不全や場合によって全身性の出血を引き起こす。

しかし、感染拡大地域が主にサハラ以南のアフリカ諸国であるため、製薬会社は金銭面から治療薬の開発に二の足を踏み、発生も散発的なため、臨床試験が困難となっている。

新たな研究を主導した米テキサス大学医学部のウイルス学者トーマス・ガイスバート氏はAFPに、「私たちは、より実用的で利用しやすく、流行の予防・制御・封じ込めに役立つ治療薬を見つけ出そうとしている」と語った。

ガイスバート氏ら研究チームは、アカゲザルとカニクイザルを大量のエボラウイルスのマコナ株に暴露させた。

暴露から1日後、10匹のサルに10日間オベルデシビルを1日1錠投与。カニクイザルは80%、アカゲザルは100%治癒した。アカゲザルは生物学的に人に近い。

対照実験として治療を行わなかった3匹は死んだ。

オベルデシビルは、もともとは新型コロナウイルスの抗ウイルス薬として開発された点滴薬レムデシビルの経口薬。

ガイスバート氏は、実験に使われたサルの数は比較的少ないが、暴露したウイルス量は人の致死量の約3万倍に相当し、統計学的に極めて有意だと説明した。

ガイスバート氏はさらに、ドナルド・トランプ米政権下で多数の助成金が差し止められているとの報道を受け、国立衛生研究所(NIH)による資金提供の重要性を強調した。

「エボラをはじめ、さまざまな外来性ウイルスや病原体の薬やワクチンの開発資金の90%は、米国政府が拠出している」と指摘し、「エボラの治療法は必要だという理解は一般からも得られると思う」と付け加えた。(c)AFP