米、南ア大使に国外退去要請 「トランプ氏を憎悪」
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【3月15日 AFP】マルコ・ルビオ米国務長官は14日、南アフリカのエブラヒム・ラスール駐米大使が米国とドナルド・トランプ大統領を憎悪しているとして、「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定して国外退去を求めたと明らかにした。
ルビオ氏はX(旧ツイッター)でラスール氏について、「わが国ではもはや歓迎されない」「米国と米大統領を憎悪する人種差別的な政治家だ」と批判。
「彼と話し合うことは何もないので、ペルソナ・ノン・グラータと見なしている」と続けた。
米国が外国大使を国外退去させるのは極めて異例。
トランプ政権と南ア政府は、南アの土地収用法をめぐって対立している。
トランプ氏は2月、1月に署名された法律により南ア政府は白人農場主の農地を補償なしで押収できるようになると批判し、対南ア支援を停止した。
先週には、南ア政府が白人農場主から土地を「没収」していると非難し、土地を奪われた農場主が米国に移住することを歓迎すると表明。
自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「安全上の理由で南アを逃れようとしている農場主は誰でも(その家族も!)米国に招待する。市民権も迅速に取得できる」と投稿した。
トランプ氏の側近の一人、イーロン・マスク氏も、自らの出身国である南アのシリル・ラマポーザ政権が「あからさまに人種差別的な土地収用法」を施行していると批判している。
南アで土地所有権は論争の的になっている。同国はかつて、多数派の黒人から政治的・経済的権利を剥奪する残忍な人種隔離政策「アパルトヘイト」の下で、英国系とオランダ系の白人入植者に支配されていた。アパルトヘイトは1994年に撤廃されたが、それから30年以上が経過した今も、少数派の白人が農地の大半を所有しており、政府は改革を迫られている。
ルビオ氏がXへの投稿に記事のリンクを貼った保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」は、ラスール氏が14日にライブ配信型の外交政策セミナーで発言した内容を取り上げている。
ブライトバートによれば、ラスール氏は、「トランプ氏は白人至上主義に突き動かされ、『現在の世界の覇権秩序』を『軽んじている』」と主張し、トランプ氏の「MAGA(米国を再び偉大に)」運動についても、「米国の人口統計上、多様性が増大している現状への白人至上主義の反発」との見方を示している。
若い頃に反アパルトヘイト運動に参加していたラスール氏は、パレスチナ自治区ガザ地区の紛争をめぐってもイスラエル政府に怒りを表明している。
2月にはニュースサイト「ゼテオ」のインタビューで、南ア人がアパルトヘイト下で経験したことが「パレスチナでさらにひどい形で行われている」と語っていた。(c)AFP